ドナルド・トランプ新大統領(President Donald Trump) が就任してから未だ1週間だが、次々と重要な「大統領令」に署名をし続けている。★「大統領令(Executive Order)」とは: 議会の承認や立法を経ずに直接、連邦政府や軍に発令する命令で法律と同等の効力をもつ強力な権限(the full force of law)。ただし、連邦最高裁判所が違憲判断を出したり、連邦議会が反対する法律を作って大統領令に対抗することはできる。
主な発令に:
■TPP・環大平洋経済連帯協定《Trans-Pacific Partnership Agreement》からの離脱
(The withdrawal from TPP negotiations and agreement)
■パイプラインの建設促進で、カナダから米国に原油を輸送する「キーストーンXL・パイプライン」とノースダコタ州に石油パイプライン「ダコタ・アクセス」の建設
(To advance the construction of "the Keystone XL Pipeline" and "the Dakota Access Pipeline")
■不法移民対策の強化(Border Security and Immigration Enforcement Improvements)
□メキシコ国境沿いの壁の建設(The construction of a US-Mexico border wall)
□一部の都市が不法移民に対して強制送還などに協力的ではないとして、それらの都市への連邦補助金の廃止
(The stripping of federal grant money to sanctuary cities)
□5,000人の国境警備隊の増強(Hiring 5,000 Boarder Patrol agents)
□不法移民・滞在者、犯罪人などの強制送還(Deportations of illegal immigrants, criminals, etc.)
■オバマケア撤廃を目指す
医療保険制度改革(通称・オバマケア ObamaCare) による経済的負担を軽減
非常に無謀な命令の数々だが、新大統領と同じ年代で、最近まで米国民だった自分としては若干、理解できるところもある。この半世紀の米国の社会を振り返ってみると、一口で言うと人々が『アメリカ人としての自信』をなくし、生活に余裕がなくなり、『良きアメリカの時代』を完全に失っている感がある。大きな理由は(1)第二次世界大戦以降、世界中の地域紛争・戦争に介入しすぎたこと、(2)移民、不法入国者に寛容しすぎたことである。それらによって『世界での米国の地位』、そして米国の経済・社会秩序は以前と比べるとかなりひどくなっているからである。オバマ前政権と180度違った政策が世界でどこまで通用するのか、世界がどの様に変わるのか、日本の対応は...これからが大変不安である。◇YS
参考ブログ
「米国とメキシコの国境・不法移民」(2016.2.24)
「なぜ米国が世界で嫌われるのか?」(2012.7.28)
「アメリカ合衆国という国を理解するには?」(2012.4.27)
「米国の都市ーメンフィス、サンアントニオ、サンタフェ、ティファナ(サンディエゴ)」(2010.1.28)
「不法在留外国人」(2009.4.17)