幼少の頃から、また10代の頃から、精神面(夢・希望)と経済面(複数の仕事)で人生70数年のほとんどをアメリカ合衆国の世話になった者にとって the US の良い面だけを取り上げるのはよくないと思っている。現実に起こっていることに向き合い、より better で健全な民主主義を持った国々(米国、日本、欧州諸国など)が世界に増えることに期待したい。
残念ながら一言でいうと、現在の米国でのレイプ(強姦) 、殺人事件、エイズ患者はケタはずれに(=be in a complete different class) 多い。日本の人口の約3倍弱の3億3千万人と人が多いからではない。ただ単に発生率がバカ多いのである。
〔レイプ Rape〕
米司法省、FBI、他の機関の統計によると、全女性の5人に1人(人口の18.3%) がレイプ被害に遭っている。近年は年間14万人前後(1日約380人の割合)で、身内によるもの26%、親戚によるもの7%、友人・知人によるもの38%、赤の他人によるもの26%である。犯人逮捕率は25%。日本で横行している痴漢(sexual pervert / groper) の話はまったく聞かない。
中学生の頃、自分が好きで何回もファンレター出し、自筆の手紙をくれた女優のダイアン・マクベイン 【参考ブログ①:『懐かしのハリウッドスター:ダイアン・マクベイン&ヴァン・ウィリアムズ』(2021/5/25) 参考ブログ②:『映画・テレビスタジオと公開番組』(2009/8/26)】 と 歌手のコニー・フランシス 【参考ブログ③:『コニー・フランシスとビルボード』(2017/1/9)】 もその被害者である。
■ダイアン・マクベイン(Diane McBain 1942~ ) : 1982年、ウエストハリウッドでのクリスマスパーティの帰りにガレージで2人組の強盗に遭い被害にあった。犯人は見つからず、長い期間の苦悩の末、女優業に復帰したが、現在は rape victim counselor として被害者の救済に活躍している。
■コニー・フランシス(Connie Francis 1937~ ) : 1974年、ニューヨーク州のモテルで滞在中、何者かに部屋に侵入され被害に遭った。モテルのセキュリティ不備で250万ドルの賠償金裁判に勝訴している。犯人は見つからず、長い期間の苦悩の末、歌手業に復帰している。
〔殺人 Homicide・Murder〕
1960年代中頃以前は殺人事件で年間1万人近くが亡くなっていたが、60年後半ベトナム戦争が泥沼化しはじめてから米国内の殺人が急激に増え続け、70年代、80年代、90年代までは平均2万人、2000年以降は14,000~17,000人で落ち着いてはいるものの、今でも1日50人前後の人が殺されている計算だ。
「銃社会」が大きな原因だが、そう言えば学生時代に50ドル前後で誰でも簡単にピストルを買えたことを思い出した。殺人は暴力団抗争・強盗のたぐいの話ではなく、日常の職場でのもめ事・夫婦喧嘩・浮気・ストレスでの原因が大半であるので、米社会で生活するには極力どんなトラブルも避けるべきである。
【エピソード 1】
大学でテレビ放送の科目を取っていた時、ハリウッドのテレビ局の黒人アナウンサーが講義で教えに来ていた。毎日のようにテレビ出演して学生の間ではあこがれの的だった。ある日のニュース番組に番組の司会者としてではなく、事件の当事者として画面に映しだされた。奥さんか、恋人を撃ち殺したと言うのだ。原因は分からないが即逮捕で彼の人生は終わった。大変恐ろしい話だが、感情まかせで行動すると最悪の事態におちいる。我々誰にでも起こりうることだ。
【エピソード 2】
以前述べたが、ビバリーヒルズの老夫婦の家で留学生として住み込みの house-boy をしていた。年上の夫人は再婚で、前夫は銃で殺されたと聞いた。どこの家庭でも銃を所持しているとは聴いていたものの、実際に実物を見ると怖くなるものである。ちょっと引き金をひくだけで人を傷つけたり、死に追いやるのだ。拳銃をどこに置いているのか分からなかったが、その家では一回しか目にはしなかった。
〔エイズ HIV/AIDS〕
(=Human Immunodeficiency Virus / Acquired Immune Deficiency Syndrome)
1960年代前半から流行しはじめた感染症(infection) のエイズ患者は現在、米国内に110万人もいる。そして今でも年間13,000人もの人が亡くなっている。感染者がそこら中にいるので、新型コロナウイルスと共にとても怖い存在だ。
自分としては上記を「米国の3悪」と呼んでいる。決してそれらを日本の状況と比べてはいけない。なぜなら「日本」は世界195ヵ国中でもまれにみる特殊な、あるいは唯一と言っていいくらい「安全な社会」を持った国だからだ。その理由については次期の機会に回すとして…、他のすべての国は多かれ少くなかれアメリカである。
上記だけを考えたら米国は大変危険な社会だと感じるかもしれないが、いつも緊張感を持って注意深く、そういうことが起きないような行動をとって過ごしてゆけば、かなり快適な生活をおくることができる。ただ、1950年代、60年代の「良きアメリカ (the Good Old Days) 」時代の様なことを今、期待したらいけない。■YS