アカデミー賞の発表・授賞式がロサンゼルスで行われた。受賞した各映画は大変素晴らしい作品だろう。(自分は何一つ観ていないので想像で…。)
この式典で注目すべきことが2点ある。一つは、中国出身のクロエ・ジャオ(Chloe Zhao) が最重要の監督賞(Best Director) を獲得したことだ。ジャオ氏は以前から「育った頃の中国はうそであふれていた」と命をはって(=at the risk of one's life) 中国批判をし、中国政府からは最要注意人物としてマークされていた。最近の香港弾圧や新型コロナウイルスなどの件でもわかる通りの、虚偽の情報発信をする中国共産党独裁政権下にあっては 人間の「自由」は全く無視される。欧米で教育を受けた氏には、中国の現状は悲惨で耐えられないであろう。「アカデミー」は健全な民主主義国家の主張を前面に出した。
二つ目は、主要賞をマイノリティー(人種的少数派 =Minority) の俳優たちが獲得したこと。助演女優賞(Best Supporting Actress) を韓国人のユン・ヨジョン(Yuh-Jung Youn) 、助演男優賞(Best Supporting Actor) を黒人のダニエル・カル―ヤ(Daniel Kaluuya Judas) が受賞した。去年8月に結腸ガン(colon cancer) で亡くなった黒人のチャドウイック・ボーズマン(Chadwick Boseman) が当初、主演男優賞(Best Actor) を確実視されていた。しかし、サプライズで有名な白人俳優アンソニー・ホプキンス(Anthony Hopkins) に落ち着いた。主演女優賞(Best Actress) は白人のフランシス・マクドーマンド(Frances McDormand) で優秀作品賞(Best Picture) 『ノマドランド Nomadland 』で主役を演じた。かなりバランスのとれた配慮である。アカデミー賞の主催団体【映画芸術科学アカデミー =Academy of Motion Picture Arts and Sciences (AMPAS) 】は近年、人種差別(人種の肌色・性別などの割合)に非常に気を使っており、それがもろに反映された形だ。
「エンターテインメント(芸術)に政治が関与・政治的配慮すべきではない」と云えども人間が組織を動かしている限り、当然起こりうることであり、それはどんな分野でも言える事だろう。
参考ブログ
『人種差別(1)』(2009/5/24)
『人種差別(2)』(2009/8/3)
『ハーフ・混血児・人種差別・大坂なおみ』(2018/9/15)
『ハリウッド・人種差別・早川雪洲』(2020/10/1)
『アメリカ合衆国新大統領]ジョー・バイデンと女性閣僚の大躍/米国の興味あるニュース[13]』(2021/1/22)
『米国の興味あるニュース[19]』(2021/3/18)
『米国の興味あるニュース[20」』(2021/3/30)
参考ブログ2
『アカデミー賞[1]』(2013/3/12)
『アカデミー賞[2]』(2020/2/10)
■YS