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なぜ、トランプ大統領はいまだに40%前後の支持率をキープできるのか ?!  『ポピュリズム』/ Populism

2018-03-10 | 米国事情




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今年に入ってからもトランプ大統領をめぐる話題が尽きない。いまだに側近の辞任が頻繁に続いているし、外国との関係では鉄鋼25%・アルミニウム10%の輸入関税の導入 (To impose steel and aluminum tariffs) を進めている。またここに来て、北朝鮮との問題は目まぐるしく変化してきている。米朝トップ会談はどうなるのか?大統領のツイッターは今日もエネルギッシュ(energetic) につぶやいている。

日本人が疑問に思うのは、そんな乱暴な言動・行動をしている大統領が、いまだに米国で40%前後の支持率(supporting rate) があるということだろう。

アメリカ合衆国は圧倒的に白人が多数派の国であった。それがアフリカ系、アジア系、ラテン系の人々の顕著な移民流入 (remarkable flow of immigrants) などで、現在、全人口3億2500万人の55%までに下がり、もはやマイノリティ(minority) の合計の方が白人の数より多くなるのは時間の問題となっている。

【出典:『崩壊するアメリカ』 横江公美著・2016年ビジネス社】
【出典:『トランプ新大統領誕生で世界はこうなる』 長谷川慶太郎&田原総一朗著・2016年SBクリエイティブ社】

強いアメリカのイメージがあったレーガン大統領(President Ronald Reagan 1981~1989) 時代を惜しむ人も結構いるが「今は昔」で、ワシントンDC の共和党・民主党の議員の考えは今は全く違う。もはや「アメリカは世界の警察」ではないのである。「世界の警察官」の役割を担うため、膨大なカネを使っており、負担が重いし、その負担がこれからも軽減される見通しがない。アメリカの一般大衆も議員たち同様、現状にかなりの不満を持っている。

そこで登場したのが今までとは全く違う政治経験ゼロのビジネスマンのトランプ氏である。人々が、今までの既存の利権にまみれたワシントンDC の政治家・役人・ロビイスト、そして既存マスコミに嫌気がさし、 "America First アメリカ・ファースト (アメリカ第一主義)" のスローガンを続けてきた氏に大きな期待を寄せ、大胆な社会変革を求めたのも分かる気がする。自分中心に物事を考えて、自分中心に行動する、いわゆる「ポピュリズム」の勝利だった。《ポピュリズム(populism) とは = 政治に関して理性的に判断する知的な市民より、情緒や感情によって態度を決める大衆を重視しする運動 【出典:『知恵蔵』朝日新聞出版】

トランプ氏は白人で「古き良き時代」のシンボル(symbol) であり、大金持ちで最高権力者というアメリカン・ドリーム(American Dream) の達成者である。氏は常に「古き良きアメリカをもう1度! "Make America Great Again!" 」 と言って、アメリカ人にとって最強のアイデンティティ(identity) 商品と思えるほどの「野球帽(=cap)」 の着用を頻繁に行っている。

横江氏いわく、「トランプ人気は多数派(majority) の特権を失いマイノリティになることを恐れる白人の不満の吹き溜まりである」 と。

1950年代、1960年代までのアメリカは黒人差別が合法だったし、「古き良き時代(= Good Old Days in the US)」 というのは白人優位主義で、その郷愁は差別を当然とした時代への郷愁と受け取られる。なので、トランプ大統領に対して「白人至上主義(= White supremacy)」 ではないかと疑念を持つのだ。

ミレニアル世代(= Millennials : アメリカで1982~2003 に生まれた世代・人口約1億人弱)、すなわち団塊の世代の子供たち(the children of baby boomers) は多様性とモバイルを使いこなすことが特徴で、これからますますアメリカの中枢に入っていくので、社会全般の大きな潮流をつくることは確実だ。

ミレニアル世代は、テレビ、ラジオ、新聞・雑誌からの情報よりも、友達との会話、口コミ、そしてソーシャル・メディア(social media) の情報を信用するという調査結果がある。現在アメリカで起きている変化は、まさにこの世代変化が原因で、この傾向はさらに強くなる。白人社会から*「多様化した社会」への移行期間である現社会で、そして「ポピュリズム」という流れが底流にある現社会で、 SNS(Social Networking Service) を屈指して国民1人1人に訴えかけるトランプ式やり方は正しいと思える時代に入った。

*《多様化した社会とは = さまざまなマイノリティが共生する社会のことで、それぞれの間の不平等を取り除くことが求められる》

■YS

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