読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

バーボン・ストリート・ブルース 高田渡 ちくま文庫

2009-04-18 17:32:01 | 読んだ
高田渡である。
フォークシンガーの高田渡である。

実は高田渡をリアルタイムでは聴いていない。

高田渡を聴きはじめた(じっくり聴くようになった)のは、「青春のフォークソング」のような企画番組がテレビで放映されるようになってからである。

すでに「長老」のような存在で、まあ「アル中」のような傾向でもあった。
で、とぼけた話と辛らつなのになんだか暖かい「歌」が、なんともいいバランスで、そしてやっと歌っている詩の意味も腑に落ちるようになってきた。

若い頃は、高田渡の歌って、なんだかイマイチ響かなかった。

その理由が本書を読んでわかったのであるが、高田渡の主義は、そのまままっすぐであると誤解を受けやすいし、誤解が何なのさという姿勢、彼にとっては自然であっても、こちら側から見るとなんだかすごく強気、というところなどが、受け入れられないところであったと思う。

その誤解を受けやすい主義と姿勢については、本書を読むとわかる。
フォークシンガーになる前の彼の人生を前半生というなら、それは我々から観れば「悲惨」とか「苦労」とかでくくりたくなるようなものである。

しかし、高田渡は「悲惨」とか「苦労」とはあまり思わなかったようだ。
そうは思わないが、やはりそういう境遇は、その人の人生に色濃く残る。

それが彼の歌になった。
そういう歌に共鳴する人は、ある程度いるが、大きくは広がらない。
まあ、高田渡自身広げることにあまり興味が無かったようではあるが・・・。

自然といえば自然、だからこそ社会的には異端、飄々というコトバも似合うが、だからこそ社会の制約や規範はあまり受け付けない。
傍から見ている分には、とってもうらやましい人生であるが、そばにいる人にとっては相当厄介な存在だったろうな、なんて思うのである。

読み終えたら、なんだか力を込めて生きていたように思えて、もう少し、ほんの少し肩から力を抜いてみようかなあ、なんて思ったのである。

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