読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

螺鈿迷宮(上・下)  海堂尊  角川文庫

2009-09-09 23:25:03 | 読んだ
久々の海堂尊である。

物語は「チーム・バチスタの栄光」や「ナイチンゲールの沈黙」や「ジェネラル・ルージュの凱旋」と同じ桜宮市にある『桜宮病院』を舞台にしている。

物語は、謎・謎・謎の連続であり、あまり物語の筋を語れない。
登場人物には、厚生労働省の白鳥とその部下・姫宮がいる。他の物語でも登場する人物がここにも登場する。

主人公は、あの東城大学医学部の医学生・天馬大吉である。
彼が、謎だらけの桜宮病院にもぐりこみ、その謎を探るのである。

海堂尊の小説を読むと、せつなくて、むなしくて、やるせなくなってしまう。

医療または医学によって、全ての人或いは全ての病が治るわけではない。
ということは、客観的には全ての人が知っていることである。
しかし、自分自身または近親者の命を絶対に助けなければならないのが医学なのである。

また、病を治すだけが医学ではなくなっている。
例えば、美しくなりたい、という要望にたいして整形という医ある。
子供が欲しいといえば、医が解決する。

人々は、医というものに対して多くのものを望むようになった。
そして、医は必ずそれに応えなければならない、ようになったのである。

人は、あきらめるとか、我慢するということを忘れてしまったのであろうか。
そして、死にたい、というニーズに対して、医はどう応えるのであろうか。

そんなことを海堂尊の小説を読むと思ってしまい、せつなくて、むなしくて、やるせなくなるのである。

「面白い」という物語には、そういうものもいっぱい含まれている、ということをあらためて思ったのであった。

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