今週は先週と異なり日中の気温が10度を超える様な春を感じさせる穏やかな日々が続いた。ニューヨークの郊外の静かな住宅街にある一軒の御宅を訪れた時、道を挟んだ反対側の住宅の前に見慣れた一台のクルマが停まっていた。1960年の後半から70年初頭のランドローバーのシリーズ。シリーズ2かシリーズ3かは疑問に残る所ではある。オリジナルペイントで外見はやれてはいるが、タイヤには空気が充填されており、近年にデザインされたナンバープレートが付いている事から実用車として使用されている様子。車体の下部の錆が少ない事から西部か南部で使用されていた車体の可能性が高いと思われた。
一緒にいた人々の一人が『旧車は御金持ちが乗る車だ。』と言った。僕を知る友達と僕は目を合わせて笑った。それは事実であるが同時に間違いでもあるからだ。
これがランドローバー、これこそオリジナルというオーラが漂っている。今の時点に立つとランドクルーザー60も旧車ではあるがランドクルーザー60が製造販売されていた80年代にはランドローバーのシリーズは既に旧車であった事から旧車としての格が異なるという結論である。ニューヨークの郊外の個人住宅地には大きな邸宅や庭が展開するが、そこに良く手入れされた一台のランドローバーがある事によってその家の雰囲気がグレードアップする様な気がする。それは、よく流行っているイタリアンレストランの前の路上からよく見える駐車場に駐車係の兄ちゃん達が高級車を並べる意図があるのに似ている。僕らは現在車を一つの単品として捉える癖が付いているのかも知れないが、車を家の一部、街の一部として捉える思考はその車に乗り続ける為の隠れた理由として存在していると感じる時間であった。
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