【妻籠いこまや】 | 日曜日に畑仕事や庭仕事をすると 午後のお茶の時間を過ぎた辺りから 家事をする気がすっかり消滅してしまう事があります。 そんなときには、ちゃちゃっと夕食の支度を済ませ 近くの温泉に出掛ける事にしています。 車で40分ほどの温泉の露天風呂に浸かり 夕焼けの空を眺めながらのんびりと 手足を伸ばすと、疲れも吹っ飛び じわじわと体が元通り元気になっていくのを 感じることが出来ます。 先日はいつもより早く出掛けたこともあり 帰る途中に「妻籠宿」をゆっくり歩いてきました。 |
秋の日は釣瓶落としといいますが 着いた頃にはまだ明るかった空も いつの間にか夕暮れの空になって いました。 この日没直ぐの時間帯がとても 好きです。 清少納言も「秋は夕暮れ・・・」と 綴ったように,秋のこの時間はなんとも いえない雰囲気があります。 光と闇の混じり合う夕暮れの世界 ありとあらゆる色を織り込んだような カラーだった世界が音も無く水墨画の 世界へと変わって行きます。 | 【吊るし柿】 |
【椿:はごろも】 | この時間帯のことを、日本では様々な美しい 言葉で現しています。 黄昏・黄昏時・薄暮(はくぼ)・宵 宵の内・宵の口・ 入相・入日・寒暮・暮れ色・暮れかかる 暮れ方・暮れがて 暮れ際・暮れ初む・暮れ残る・暮六つ 暮れゆく・黄昏・釣瓶落とし・照り返し 日没・晩方・晩景・うすやみ 反照・日暮・灯点し頃・日の入・日の暮 返照・晩涼・夕まぐれ 大禍時 .暮れ暮れ ・照り返し・日没 逢魔時(刻)・王莽が時 ・夕間暮 秉燭(へイショク) 雀色時・桑楡(ソウユ)・・・ 何故故このように多くの言葉があるのかと おどろくばかりです。 そして、ひとつひとつの言葉に浮かぶ 風景があります。 |
桑楡(ソウユ)とは、クワとニレ
広く樹木のことを指すらしい。
また雄飛が樹木の枝にかかることを言い、
灯ともし頃、夕方、夕日のことも表す
らしいのです。
桑や楡の木蔭を通り沈んでいく様が眼に
浮かびます。
しかしながら、分かりにくいからと
使われなくなり消えてしまったものも
あるのでしょう。
現に気象庁では数年前から天気予報の祭
宵の内という言葉が何時ごろにあたるのか
分かる人が少なきうなったとの理由で
使わないことに決めたのだそうです。
宵の内とは、「宵」を「日が沈んで間もない頃」「
午後6時以降」から朝日が昇る前と言うことに
なっています。
宵の内が何時だか分からない人が増えて
言葉もわかりやすく簡単になっていく・・・
なんだか寂しい気がしませんか。
そそくさと店じまいを始めるおばさん
犬と戯れながらkもう客は来ないかなときょろきょろするおじさん
忙しかった一日の疲れと安堵の混じった笑顔が交わる黄昏。
宿場の灯りがひとつ、またひとつと灯りゆく。灯ともし頃
。
私たちも家路へと急いだのでした。
今日もおつきあいありがとうございました。