何年か前の事、NHKのラジオ番組の中で
今は亡き児玉清さんがお気に入りの本を紹介するコーナーがありました。
そのかなで紹介されていたのが、今映画でも話題になっている永遠の0でした。
熱を帯びた児玉さんの言葉に、これは読んでみなくてはと思っていました。
先日、ここ何年も小説を殆ど読んでいない夫がこの映画のCMを見ていて
「この原作、読んでみたい・・・」と言うので早速図書館で借りてきました。^^:
もちろん、読み終えるのを今か今かと待ち
私も読み終えました。
≪あらすじ≫
祖母の葬儀の席で零戦搭乗員だった実の祖父の存在を知った佐伯健太郎が
新聞記者である姉と共に、祖父の生き様を調べることになる。
特攻隊員でありながら、妻や娘(健太郎の祖母)を残しては死ねない。
必ず帰ってくると言い続け〝海軍一の臆病者″と呼ばれていたことを知る。
生還することにこだわっていた祖父の姿を追ううちに様々な真実が明らかになる。
そして、過去と未来が交錯するなか驚くべき事実を知ることになる。
最初のページを読み始めたところから、惹きつけられ
一気に読んでしまえます。
どこかの新聞に、この物語にはエンジンが付いていると書かれていましたが
その通りでした。
それで、それでどうなったの?
知りたいという気持ちが次々とページをめくらせました。
確かにこれはミステリー小説でもあるかもしれませんが
ラブストーリでもあり、歴史小説でもありました。
丁寧に織られたストーリーが最後に見せてくれたものには
はっとさせられました。
何かわからなかった柄が最後の一糸を織り込んだ途端に
あ~そういう絵柄だったのかとわかったような
そんな気持ちにさせられました。
永遠の0(ゼロ)と言うタイトルがついているくらいだから
零戦のパイロットの話だということはなんとなく解っていましたが
戦争賛歌ではないかという話も耳にしていました。
しかしながら、読み進むうちに決してきれいごとだけではない
戦争の悲惨さを十二分に伝えているように思いました。
私の伯父も二人が戦死しています。
お墓参りに行くたびに、墓石の横に掘られた
〝ソロモン群島にて戦死″〝ニューカレドニアにて戦死″と言う文字を
見るにつけ、悲しい気持ちになったものでした。
それでいて、一度も会ったことのない伯父たちの事を
そんなに深く考えたことはありませんでした。
しかし、この物語の中に出てくる両島での戦争の様子を読み
申し訳ない気持ちになりました。
こんな中で亡くなっていったとは・・・・言葉がありませんでした。
この日、仏壇に向かって
「・・・伯父さんたちの死を無駄にしないように
一生懸命生きていきます。・・・・」
そう心の中でつぶやきながら手を合わせました。
そして、ふと目を上げると
仏壇の中に二つ下げられている金色の灯篭の片方が
すーっと下りてきたのでした。
突然のことに思わず後ろに仰け反りました。
落ち着いて調べてみると、かけてあったフックが
何故か外れて下がってきていたのでした。
暫くして、思いました。
つぶやきが天に届いたのかもしれないと・・・
~ちょっと用があって出かけた母校の図書館でも特集されていました~
先日、高校時代の同級生たち20人ほどと集まった時
たまたまこの物語の事が話題になりました。
驚いたことに、8割の人が本を読むなり映画を観るなりしていました。
ある一人が言いました。
「うちのおやじ・・・当時、潜水艦乗りだったんだ。」
「出撃する前に襲撃され、艦が破損したために
参戦出来なくなり、そのまま終戦になったから俺がここにいるんだ。
生きて帰ってくれたから、こうして生きていられるんだ。」
長い付き合いの中で、そんな話を聞いたのは初めてでした。
皆、 「この物語には感動した。」
「息子や娘に見せたい、読ませたい。」と言っていました。
誰もが同じ想いを持っているとは思いませんが
いつもは面白おかしく過ごす仲間たちともこうした会話を持たせてくれたこの本に
感謝したいと思います。
そして、タイトルの永遠の0
0が単に零戦を表しているだけではないという事を、深く胸に刻んだのでした。
Thank you for coming♪