工作台の休日

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幻のホンダF1マシンを見に行く

2021年04月17日 | 自動車、モータースポーツ
 今シーズンのF1グランプリが開幕し、ホンダの「ラストイヤー」、久々の日本人ドライバーのデビューなど、ジャパニーズ・パワーに注目が集まっているところですが、青山にありますホンダのウエルカムプラザでもF1開幕に因んでマシンの展示などが行われています。ホンダのF1マシンは日本GPでも展示されたり、実走イベントがあったりするので無理して見に行ったりはしないのですが、今年はとても珍しいマシンが展示されているというので見に行ってきました。
 それがこのマシンで、RA099といいます。

 このマシン、1999年にホンダが第三期参戦のために車体、エンジンともに試作したものでした。ホンダは2000年からの第三期参戦でブリティッシュ・アメリカン・レーシング(B・A・R)にエンジン供給という形を取りましたが、復帰に際しては車体も含めて内製による参戦も検討されていました。そのためにこのRA099が製作され、テストも行われましたが、テクニカルディレクターだったハーヴェイ・ポスルスウェイトが急死したことやホンダ社内の事情もあってフル参戦をせず、エンジン供給のみとなりました。このため、RA099も陽の目を見ることなく姿を消しました。
 しかし、最近思わぬ形でこのマシンが脚光を浴びることになりました。RA099をドライブしたのはヨス・フェルスタッペンで、現在レッドブル・ホンダのエースとして活躍中のマックス・フェルスタッペンのお父さんにあたります。このマシンに幼い日の息子マックスが乗っている写真も含めて展示されています。

 このマシン、実物を見たのは初めてですが、あの時代のF1マシンそのものの形てはあります。ノーズが少し太めの印象を受けます。テスト用のマシンということで、あまり奇をてらわないスタイルで作ったことがわかります。当然スポンサーマークなどもありませんので、実にシンプルな印象を受けます。
コクピット周辺。

バックミラーのステーの根元にHマークがありました。オリジナルなのでしょうか。

こちらのマシンについては1/43のミニカーもありました。ドライバーの人形もヨス・フェルスタッペン仕様になっています。

ミニチャンプス製品で、立派な箱に収められています(筆者所蔵)。


 親子がそれぞれの時代でホンダパワーとつながっている、ということでRA099が展示されていたわけですが、会場内には子供の世代に当たるレッドブル・ホンダのマシンや角田裕毅の応援コーナーもありました。



 他にもホンダにとって記念すべきマシンが展示されていました。

こちらはRA300といい、前回までのブログにも名前が登場していた中村良夫監督の指揮のもと、ジョン・サーティースのドライブにより1967年のイタリアGPで劇的な勝利(第一期参戦の2勝目にして最後の勝利)を挙げています。このマシン、数々のマシンを製作してきたコンストラクター、ローラ・カーズのインディカー用シャーシを元に車体を作っており、ホンダ+ローラで「ホンドーラ」というあだ名がつきました。12気筒のエンジンが重く、車体を軽く作るためにローラの協力を得たというマシンです。

アナログな計器類と、右手側にシフトノブが見えます。

 第二期の記念すべき1台はこちら。

ロータス99Tです。1987年に中嶋悟がサンマリノGPで日本人初入賞(6位・当時は6位までが入賞)を果たしたマシンです。このレース、実はドタバタ続きで中嶋は自分のマシンがトラブルで乗れなくなったため、決勝スタート直前にチームメイトのA.セナ仕様で仕上げられたスペアカーに乗り換えてピットスタートでレースに参加しています。ちなみに当時はスペアカーの持ち込みも許されておりましたが、セナと中嶋の体格差もあり、目立つところでは本来の中嶋車にある大きな頭あてもついておりません。このロータス99T、当時としては画期的だったアクティブサスペンションを装備するなど期待もされましたが、セナの市街地での2勝が最高位でした。

 第三期は2006年にハンガリーGPでコンストラクター(エンジン供給だけでなく、車体も含めた)のホンダとして、約40年ぶりの優勝となったRA106が展示されています。

 ホンダは第三期にエンジン供給をしていたB・A・Rをやがて買収する形でコンストラクターとしての参戦となりました。このころ、ルノーやBMWなどが既存のチームを買収する形でコンストラクターとして参戦しており、フェラーリやトヨタなども含め、メーカー同士がぶつかり合う様相を呈していました。日本にもファンが多く、自身も日本好きで知られるJ.バトンの手で優勝したマシンです。

 会場内では以前このブログでも紹介した熱田護氏がホンダパワーのマシン、ドライバーを写した写真の展示などもありました。もちろん、ホンダ製品の展示をしているところですので、代表的なこちらもありました。


 なお、これらのF1マシンの特別展示は4月19日までとなっています。

 


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