工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

青い客車へのオマージュ つづき

2018年12月27日 | 鉄道・鉄道模型
 日本国内を走った「オリエント急行」ですが、なかなかお目にかかれない車輛が、日本の地を走るということもあり、趣味誌も特集で取り上げております。
 「とれいん」誌は1988(昭和63)年12月号で、版元のプレス・アイゼンバーン創立20周年記念執筆と銘打ち、社主の松本謙一氏自身が日本国内の本線試運転から、広島→東京間(これがパリ発東京行きの最後の行程となりました)の同乗ルポを執筆されています。もともと外国型も日本型も分け隔てなく掲載してきた模型誌ですので、同乗ルポ以外にも車輛の詳細についての紹介、模型の紹介など、気合の入った特集記事となりました。
 日本国内を走った車輛の多くが1920年代後半、つまり昭和初期の製造にあたり、どれも旧国鉄の重量標記で言えば「カ」に相当する大変頑丈で重い客車たちでしたが、その内部は美しい木象嵌の細工やルネ・ラリックのガラス細工などで飾られており、「とれいん」誌はそのあたりまで詳しく掲載しています。また、各車両の細部写真だけでなく、食堂車で供されたフランス料理のフル・コースも詳しく写真で紹介するなど、列車内をくまなく歩き、そして食べて、最後はサロンカーでピアノの音色とともに食後酒をいただき、という感じで、乗客の気分が味わえる記事でした。
 「鉄道ファン」誌は1989(昭和64)年1月号で、吉村光夫氏が同じく広島→東京間の同乗ルポを執筆されています。軽妙な語り口で旅の印象を書かれており、パリから香港まで通して乗ったという日本人の乗客にもインタビューをしています。「とれいん」誌ではこの編成を所有するイントラフルーク社の技術スタッフへのインタビューが載っていましたが、「鉄道ファン」誌では運用、技術面についてJR東日本側からの寄稿が掲載されています。
 
 さて、模型の話になりますが、Nゲージではカトーからそのものずばりの日本国内を走った編成とパリ~香港間の編成が発売されていますので、お持ちの方も多いのではと思います。あの時を思い出して当時の機関車を先頭に立たせるのも良いのですが、模型なのですから少々のifは許されるでしょう、というわけで、時代に関係なく個人的にお勧めの機関車を挙げてみました。
 電気機関車ですが、EF58-4号機をまずは挙げてみたいと思います。緑の濃淡の試験塗装機です。もともとこの塗装がフランス・PLM鉄道の機関車の塗装にインスパイアされたとも言われていますので、流線型の車体に欧州風の塗装ということで、我が家ではよく先頭に立っています。それ以外の試験塗装機もなかなかお似合いですので、カトーの試験塗装機のセットをお持ちの方は、試してみてはどうでしょうか。 また、EF50、EF55などの戦前派の茶色い電気機関車もマッチします。
 ディーゼル機関車ですが、箱型車体のDF50、DD54などを試してみたいところです。小さなDD54は重連にした方が様になりそうです。
 蒸気機関車はD51-498が実際には先頭に立ちましたが、やはりここは旅客機、せっかくですから優美なスポーク動輪といきたいところです。日本機離れしたC-53はどうでしょうか。実物は東海道のエースとして戦前に活躍しましたが、こういった客車も似合うと思っています。我が家のマイクロエースのC53にも、晴れの舞台が用意できました。同じくスポーク動輪のC51、C55もお勧めです。

 30年前のあの頃、日本はバブルの真っただ中でした。オリエント急行が走ったのは、そんな時代の一瞬の夢だったのではないかと今でも思います。日本を走った車輛のうち、青とクリームに塗り分けられたプルマン車は、今では箱根のラリック美術館に展示されています。夢の続きを見に、いずれ箱根を訪れてみたいと思っています。
 

 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 青い客車へのオマージュ | トップ | 青い客車へのオマージュ こ... »
最新の画像もっと見る