「グーグルが日本を破壊する」がネット側からみたメディア産業の問題点を解説したものだとしたら、こちらは映像コンテンツ側、最大のコンテンツホルダーでもある放送事業者側からみたメディア産業の危機的状況と今後のあり方について書かれた一冊。
2ちゃんねらーやネット住民からすれば、ここで提言されたあり方自体がまだまだ物足りないかもしれないが、ここ4~5年、ネットの世界と映像コンテンツの世界の両方を見ながら仕 . . . 本文を読む
いま何が変わろうとしているのか―。どうやら(NHKも含めて)TV業界は何かおかしいらしい、新聞社は本当に危機的状態らしい、iTunesがあるからラジオはきかない、YouTubeやニコ動ばかり見ている気がする…一般の人にとっても何となく「メディア」が変わりつつあることに気付いているのではないだろうか。ここに書かれていることは「暴論」ではない。インターネットが、googleがもたらした/そうとしている . . . 本文を読む
Web系の仕事に就いて5年以上、サイト製作やPC上でのツールを検討する機会を通じて、僕の中に出来上がった金言というか、格言というか、行動指針の1つに以下のものがある。
「デザインはメッセージであり、デザインが人の行動を決める。だからこそデザインはシンプルでなければならない。」
しかしこの言葉は、同じ職場にいながらもう1つ共感を得られていない。Webの世界がそもそもテキストから始まっていることも . . . 本文を読む
目で何かを見て、耳で何かを聴いて、鼻で何かを嗅いで、舌で何かを味わって、手で何かに触れて、果たしてそうやって僕らは「何か」を認識しているのだろうか。「何か」という全体像を5っの感覚に分解して、それぞれの感覚器が5感と呼ばれるそれぞれの感覚を理解しているのだろうか。例えば耳で見たり、目で嗅いだり、あるいは雰囲気やオーラ、感情のやり取りというものを全ての感覚器を通じて掴んでいたりはしないのだろうか―― . . . 本文を読む
地頭力にしろ、仮説思考にしろ、最近にわかに「思考力」ブームとなっている。それも1~2年前なら「論理思考」が切口だったのだけれど、どうも最近はたんに「論理」的に考えるだけでは物足りなくて、そこから次の一歩をどうするか、どう発想するかに主眼が置かれている感じ。ま、そりゃそうだ。評論家をいくら育てたところで何も新しいものは生まれないのだから。
そんなこともあってか、やたら書店に並んでいたのがこの本 . . . 本文を読む
ビルや建築物を見るのが好きだ。日建設計なんかがデザインしたビルだと面白みもないが、それなりの建築家が設計したビルの場合、その建築家の思想性や問題意識がデザインに反映されることになる。それは利便性や機能性とは必ずしも合致しないかもしれない。とは言え明確な意思をもったその姿はその存在だけで刺激的だ。それは何も1つのビルだけでなく、都市の設計においても同様だろう。
そんなわけで大型再開発が続く東京を舞 . . . 本文を読む
さて、問題です。「日本全国に電柱は何本あるでしょうか?」いきなりこう問われたら、あなたはどう答える(考える)だろうか。
もちろん正確な数字を求めているわけではない。役所の人間に聞かれているならともかく、本当に必要ならインターネットで調べればいい。そうではなくこういう知識では回答できないような問題に対して、どのように考え、推論を立てるかが問われているのだ。
この「地頭力を鍛える」ではこうした . . . 本文を読む
社会学入門-人間と社会の未来 / 見田宗介
これは見田さんが東大、共立女子大の授業で使われていたものをまとめられた社会学の入門書ということもあって、各章でそれぞれの問題群についての解説を行っているわけだけれど、何だろう、1冊を通じて読むと社会学の魅力と未来への希望あるいは希求といったものが伝わる一冊。個人的には、いくつかの章で非常に刺激を受け、最後まで読む前にそのまま記事にしてしまったほど。
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今、見田宗介さんの「社会学入門-人間と社会の未来」を読んでいるのだけれど、その中のコラム「愛の散開/自我の散開」を読んだ時に考えたことをちょっと。このコラムは1960年代にヒットした「アカシアの雨」の世界観と1999年のネットアイドル「南条あや」の(推定)自殺の背景をモチーフに日本の近代市民社会の変容、地殻変動について書かれたもの。
1960年代の日本というのは、第1次共同体を解体し労働者の都市 . . . 本文を読む
このところ日経IT PLUS「人文系が語るネット」や「東京から考える」で東浩紀さんづいていたこともあり、「動物化したポストモダン」を再読。この著自体は2001年に書かれたものであるが、今だからこそ、時代の変節を言い当てていたのだということがよくわかる。この著は、アニメやマンガ、萌え系、ギャルゲー・ノベルゲームなど所謂オタク文化を題材に、「大きな物語」消失後の人々の内的運動・ポストモダンの行動原理を . . . 本文を読む
正月に地方の惨状を目にしたからというのではないけれど、帰りの電車用にと買い込んだのが東浩紀と北田暁大の対談「東京から考える」。東京が職場となって数年が経つものの、仕事の関係で移動する場所以外はほとんど分からず、それらも地下鉄を通じて「点」としてしか把握していないから、改めて東京の中のそれぞれの都市や地域について「へー、そういうところなんだ」と素朴に感心したり、住居がまさしくここでも紹介されている「 . . . 本文を読む
この記事を読んでいる人に幾つかの問いかけを。まずは直感で答えて欲しい。
1 生きることはそれ自体で価値のあることだ(あるいは存在しないより存在する方がいい)
2 中絶はいけないことだ
3 脳死は仕方がない
4 ペットには長生きして欲しい
5 家畜は食用として育てられているのだから殺されても仕方がない
6 移植用の臓器を提供するために、自分のクローン人間を用意することは許されるべきだ
7 障害者だ . . . 本文を読む
何と言うか、まぁ、一種の経典みたいなもんなんだろうなぁ、Web2.0教というか、google教というか。西垣通さんほどペシミスティックなのもどうかと思うけれど、梅田望夫さんのこのオプティミストぶりはどうなんだ?! Webに対する期待感や認識などにそう齟齬はないと思う。しかしそこからもたらされる結論には絶望的な隔たりを感じざろうえない。そんなある種の宗教臭さ、イデオロギー臭さというか、今の時代にのみ . . . 本文を読む
基本的にマンガ好きなわけですが、今、一番泣けるマンガは何かと問われたら、間違いなく薦めるのが井上雄彦の「リアル」。井上雄彦といえばバスケブームの火付け役となった「SLAM DUNK」や宮本武蔵を題材とした「バガボンド」が真っ先にあげられるかもしれないけれど、「泣ける」度合いからすると車椅子バスケをモチーフとした「リアル」だろう。
wikiに書かれた「リアル」のストーリー部分を引用すると、 . . . 本文を読む
先日、「世界のしくみが見える「メディア論」―有馬哲夫教授の早大講義録」を読んで、改めてマクルーハンのメディア論について読みたいなぁと思って買ってみたものの、これを読んで一体どこまで近づけただろう。POPな絵がちりばめられているからといって、甘く見たら大間違い。網羅的にマクルーハンをたどりつつ、決して手抜きのない一冊。
マクルーハンにとっては、「メディア」というものは普段僕らが使う意味合いより . . . 本文を読む