Googleがクラウド型音楽サービス「Music Beta by Google」をついに発表した。自分がローカルに保存している楽曲ファイル最大2万曲をアップロード可能で、パソコンやAndroid搭載スマートフォンおよびタブレット端末などでストリーミング再生できるとのこと。
グーグル、音楽サービス「Music Beta by Google」を発表--最大2万曲をアップロード可能 - CNET Japan
この音楽をネットワーク上にホスティングして、いろんな端末で利用するという概念自体は何も目新しいものではない。利用者が欲しいのは「音楽」そのものであって、ある楽曲のCDを購入したユーザーが自分の携帯でその楽曲を聴くために、どうして改めて「着うたフル」で楽曲を購入しなければならないのだろう。自分の楽曲を様々な端末で利用できるようにできればいいじゃないか――そう考えるのは当たり前だ。そうした概念を「ワンソース・マルチユース」という。
しかし現実にはなかなかできていない。それはテクノロジーの問題ではない。音楽業界のビジネスモデルの問題であり、著作権上の制約であり、メジャーレーベルの戦略の問題だ。
例えば自分の持っているCDをリッピングし、それをネット上のホスティングサーバにアップロードした場合、著作権違反を指摘される可能性がある。それはCDというパッケージにこめられたコンテンツを所有しているのであって、ネットで配信するためのコンテンツをもっているわけではないからだ。
かってのアトムに縛られたライフスタイルであればその通りだと思ったかもしれないが、ビットの世界に生きる僕らにとってはこの理屈はおかしいだろう。それが音楽だろうが、動画だろうが、PPTの資料だろうが、exeファイルだろうが、デジタル化された情報は全て複製可能だし、PCやスマートフォンやそうした複数のデバイスをまたいで使うことも当たり前だ。
しかし音楽業界や著作権者にとってはそれは機会の損失だ。気に入った音楽があるならば、CDでも買って欲しいし、iTunesStoreでも買って欲しいし、着うたフルでも買って欲しい。それぞれのメディアに対して、最適な価格とそれに応じた著作権使用料を設定しているのであって、いろんなデバイスを跨いで利用するというのであれば、もっと高い料金を設定しないと割に合わない――彼らの言い分はそんなとこだろう。
まねきTVの判例などを見ると、法曹界がいかに新しい時代を理解していないかがよくわかる。彼らは個人が個人利用の目的で購入したロケーションフリーをまねきTVに「預けて」、録画などの運用を「委託」していただけだとしても、「まねきTV」が著作権を違反しているとする。
楽曲ダウンロード配信サービスではあれだけ圧倒的なPowerを持っているiTunesでSonyMusic系のアーティストの楽曲が出ないのも、SonyMusicが自分たちでハンドリングできないappleに対して配信の許諾を下ろさないからだ。彼らは自分たちの利益(ひいてはアーティストや著作権者の利益)のためであれば、何でもやる。
そういう状況なので、日本でこのサービスがスタートするのがいつになるかは分からないし、結果的に利用していい「レーベル」の制限がでるといったこともあるかもしれない。
Googleのサービスはこうした状況を突破できるだろうか。
それにしても、これまでのこうした音楽サービスはあくまで「コンテンツ」を中心としたサービスだったわけだけれど、今回のGoogleの発表を見ていると、その狙いは「音楽」や「コンテンツ」ではなく、あくまで「Android」というプラットフォームを普及させるための戦略なのだということを感じさせられる。
「Music Beta by Google」の個々の機能は、これまでの音楽サービスと大きく違わないわけだけれど、それとセットにGoogleTVのようなリビングの世界から「Android Open Accessory」では様々なコントローラーとの接続を可能とし、「Android@Home」では照明やゲーム機、エアコンなど、あらゆる家電のリモコン機能をAndroid端末に付加させることができるらしい。
またそれにあわせて「Android Market」も拡張する。アプリだけでなく映画レンタルも開始するようだし、スマートフォンだけでなく、GoogleTVにも対応する。様々なデバイスのプラットフォームを「Android」化し、それらに統合的にサービスを提供する。
Appleも狙うその市場を、Appleは「垂直統合」モデルで実現を目指し、Googleは様々な企業群と協力しながらプラットフォーム部分を押さえにかかる「水平統合」モデルを目指していると言っていいだろう。
この話とは直接関係ないのだけど、同日、マイクロソフトはSkype買収とのニュースが駆け巡った。この3者の戦いはまだまだ続くのだろう。
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しかし現実にはなかなかできていない。それはテクノロジーの問題ではない。音楽業界のビジネスモデルの問題であり、著作権上の制約であり、メジャーレーベルの戦略の問題だ。
例えば自分の持っているCDをリッピングし、それをネット上のホスティングサーバにアップロードした場合、著作権違反を指摘される可能性がある。それはCDというパッケージにこめられたコンテンツを所有しているのであって、ネットで配信するためのコンテンツをもっているわけではないからだ。
かってのアトムに縛られたライフスタイルであればその通りだと思ったかもしれないが、ビットの世界に生きる僕らにとってはこの理屈はおかしいだろう。それが音楽だろうが、動画だろうが、PPTの資料だろうが、exeファイルだろうが、デジタル化された情報は全て複製可能だし、PCやスマートフォンやそうした複数のデバイスをまたいで使うことも当たり前だ。
しかし音楽業界や著作権者にとってはそれは機会の損失だ。気に入った音楽があるならば、CDでも買って欲しいし、iTunesStoreでも買って欲しいし、着うたフルでも買って欲しい。それぞれのメディアに対して、最適な価格とそれに応じた著作権使用料を設定しているのであって、いろんなデバイスを跨いで利用するというのであれば、もっと高い料金を設定しないと割に合わない――彼らの言い分はそんなとこだろう。
まねきTVの判例などを見ると、法曹界がいかに新しい時代を理解していないかがよくわかる。彼らは個人が個人利用の目的で購入したロケーションフリーをまねきTVに「預けて」、録画などの運用を「委託」していただけだとしても、「まねきTV」が著作権を違反しているとする。
楽曲ダウンロード配信サービスではあれだけ圧倒的なPowerを持っているiTunesでSonyMusic系のアーティストの楽曲が出ないのも、SonyMusicが自分たちでハンドリングできないappleに対して配信の許諾を下ろさないからだ。彼らは自分たちの利益(ひいてはアーティストや著作権者の利益)のためであれば、何でもやる。
そういう状況なので、日本でこのサービスがスタートするのがいつになるかは分からないし、結果的に利用していい「レーベル」の制限がでるといったこともあるかもしれない。
Googleのサービスはこうした状況を突破できるだろうか。
それにしても、これまでのこうした音楽サービスはあくまで「コンテンツ」を中心としたサービスだったわけだけれど、今回のGoogleの発表を見ていると、その狙いは「音楽」や「コンテンツ」ではなく、あくまで「Android」というプラットフォームを普及させるための戦略なのだということを感じさせられる。
「Music Beta by Google」の個々の機能は、これまでの音楽サービスと大きく違わないわけだけれど、それとセットにGoogleTVのようなリビングの世界から「Android Open Accessory」では様々なコントローラーとの接続を可能とし、「Android@Home」では照明やゲーム機、エアコンなど、あらゆる家電のリモコン機能をAndroid端末に付加させることができるらしい。
またそれにあわせて「Android Market」も拡張する。アプリだけでなく映画レンタルも開始するようだし、スマートフォンだけでなく、GoogleTVにも対応する。様々なデバイスのプラットフォームを「Android」化し、それらに統合的にサービスを提供する。
Appleも狙うその市場を、Appleは「垂直統合」モデルで実現を目指し、Googleは様々な企業群と協力しながらプラットフォーム部分を押さえにかかる「水平統合」モデルを目指していると言っていいだろう。
この話とは直接関係ないのだけど、同日、マイクロソフトはSkype買収とのニュースが駆け巡った。この3者の戦いはまだまだ続くのだろう。
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