常に最適なオペレーションを提供するためには、オペレーティングシステムといえども開発した状態ではいられない。それは時には「パッチ」というような形式でもよいのかもしれないが、ソフトウェアのバージョンアップそのものが必要になることもある――ということがこの映画のテーマなのだろうか?あるいは完璧なシステムなど存在せずある種の不確実性を内包することでより安定的なシステムを構築することができる、ということか。今更なんだけれど、「マトリックス リローデッド」「マトリックス レボリューションズ」を見た感想がそういったもの。
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救世主ネオ(キアヌ・リーヴス)は、マシン軍団に包囲された人類最後の都市ザイオンを救うべく、超人力を全開させる。反乱軍のリーダーであるモーフィアス (ローレンス・フィッシュバーン)は、救世主が戦いに決着をつけてくれることを疑わなかったが、ネオには葛藤があった。まもなくネオとトリニティー(キャリー=アン・モス)とモーフィアスは、再びマトリックスへ乗り込む。敵の大軍との総力戦を開始。やがて、人工知能=A.I.の命令に逆らい宿敵ネオを倒すことに執着するエージェント・スミス(ヒューゴ・ウィーヴィング)が、自分をコピーする方法を身につけて、しつこく襲いかかる。やがてネオは、マトリックスの設計者(ヘルムート・バカイティス)と対面。救世主である自分までもがシステムに操られていることを知る。それでも彼は仲間たちと共に、ザイオンを救うため、戦いを続けるのだった…
第1作のマトリックスが、「AKIRA]や「Ghost in The Shell 攻殻機動隊」といったジャパニメーションの影響が大きいことは有名な話だけれど、この2作もその続編としてSF映画や日本のマンガの影響が色濃く残っている。しかし正直、作品の完成度というと、映像の迫力や撮り方の斬新さなどは◎だけれど、ストーリーとしてはちょっと無理があるだろう。例えば「スターウォーズ」のように、原作がありもともと大きなストーリーとしての骨格・背景があれば、1作目ではあくまでルーク・スカイウォーカーという一兵士の物語として描きつつも2作目以降に壮大な物語を展開したとしても無理はないかもしれない。が、「マトリックス」の場合、2作目以降で展開された物語がかなり「後付け」的な展開になっている。
1作目では機械の支配とそれを知り独立を目指す人間たちの戦いというのがベースであったが、それが2作目であきらかになったことが、そうした人間たちの抵抗さえも安定した支配のためにシステムに折込積みのものであるという風になっている。こうした設定自体は決しておかしいものではないのだけれど、そもそも1作目の人間の体熱がコンピューターのエネルギーになっているという点からかなり無理がある。それが1作目ではまぁ、物語自体の面白さもあって無視できたのだけれど、それが2作・3作と妙に設定にリアリティを持たせ始めると無理を感じざろうえない。
また同じような理由でいつまでも仮想現実と繋がるために「電話」が必要というの違和感があるし、ネオがマトリックスという仮想現実では「想像力」によって無敵だとしても、リアルでも念じただけでセンチネルを破壊したり、人間であるネオがソースに戻ることが求められ、実際、最後にはバグあるいはウィルスといってもいい「スミス」に対しデバックのための媒介者になったりと発想は面白いのだけれど、全体を通じて設定に無理を感じざろう得ない。おそらく1作目の時点でその背景までが設定されていたのであればまた違ったのだろう。
物語全体の世界観としては、単純な「機械(悪)vs人間(正義)」的なものではなく、新しい結末が用意される。
「リローテッド」の後半、ネロとアーキテクトとで交わされる会話は、ある種の恐ろしさとともに「神の視点」から見た場合に適正さを持つものだろう。人類という母集団の99%が満足するシステムを運用するために、例外的な「アノマリー」の存在を許容しそれをコントロールしようとする。「アノマリー」は母集団を維持するための排他的存在であり、その集団の意志とは関係なく、母集団を維持するためには消去されても仕方がないものとして考えられる。ここではマトリクスにつながれた人々こそが母集団であり、アノマリーは「ザイオン」ということになる。「ザイオン」がその生存を許容されるのは、システム全体が脅かされない程度であって、そうでなくなった以上、排除すべき存在となったのだと。
日本のようにあまり合理的な思考法が育っていない国であれば、「人の命は地球より重い」的な発想で1%を削除することは許容されないだろうが、合理的に俯瞰して考えれば、そのような考え方は許容されるべきものとなる。しかしいざそれが愛すべき者が代償となる場合、果たして素直に受け入れることができるだろうか。
一時はトリニティへの想いからむしろ人類の絶滅を選択してしまうネロであるが、最終的に別な選択肢を提示する。99%の人類と1%のザイロンが共に「平和」に暮らすことと引き換えに、自らがソースへ戻り、もう1つのアノマリーである「スミス」を消去させるというものだ。その結果、最終的には機械と人間が「平和」的にバランスがとれたオペレーションを目指した世界が実現されるわけだけれど、これは完全懲悪的なハリウッドとは全く新しい視点だし、何よりも結局、上手くシステムをオペレーティングすれば人間にとってよりよい社会が実現できるという、まさに今のインターネット世代、google的価値観が反映されている。好きか嫌いかは別として、こうした感覚も「マトリックス」らしさなのだろう。
細かいところにこだわればそういった問題は多々あるものの、世界観のオリジナリティやスピード感やアクション、映像の斬新さ、マンガを思わせる展開の面白さなどを考えると両作品とも決して悪くはない。むしろ両作品とも2時間を越えているにも関わらず、決して中だるみすることなく、一気に楽しむことができる。完璧な作品とはいえないけれど、決して損はない作品だろう。
【評価】
総合:★★★☆☆
面白さ:★★★★☆
きっとドラゴンボールも好きなんだろう度:★★★★★
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マトリックス リローデッド
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マトリックス レボリューションズ 特別版
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「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」―押井守が問いかける「私」であることの意味
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救世主ネオ(キアヌ・リーヴス)は、マシン軍団に包囲された人類最後の都市ザイオンを救うべく、超人力を全開させる。反乱軍のリーダーであるモーフィアス (ローレンス・フィッシュバーン)は、救世主が戦いに決着をつけてくれることを疑わなかったが、ネオには葛藤があった。まもなくネオとトリニティー(キャリー=アン・モス)とモーフィアスは、再びマトリックスへ乗り込む。敵の大軍との総力戦を開始。やがて、人工知能=A.I.の命令に逆らい宿敵ネオを倒すことに執着するエージェント・スミス(ヒューゴ・ウィーヴィング)が、自分をコピーする方法を身につけて、しつこく襲いかかる。やがてネオは、マトリックスの設計者(ヘルムート・バカイティス)と対面。救世主である自分までもがシステムに操られていることを知る。それでも彼は仲間たちと共に、ザイオンを救うため、戦いを続けるのだった…
第1作のマトリックスが、「AKIRA]や「Ghost in The Shell 攻殻機動隊」といったジャパニメーションの影響が大きいことは有名な話だけれど、この2作もその続編としてSF映画や日本のマンガの影響が色濃く残っている。しかし正直、作品の完成度というと、映像の迫力や撮り方の斬新さなどは◎だけれど、ストーリーとしてはちょっと無理があるだろう。例えば「スターウォーズ」のように、原作がありもともと大きなストーリーとしての骨格・背景があれば、1作目ではあくまでルーク・スカイウォーカーという一兵士の物語として描きつつも2作目以降に壮大な物語を展開したとしても無理はないかもしれない。が、「マトリックス」の場合、2作目以降で展開された物語がかなり「後付け」的な展開になっている。
1作目では機械の支配とそれを知り独立を目指す人間たちの戦いというのがベースであったが、それが2作目であきらかになったことが、そうした人間たちの抵抗さえも安定した支配のためにシステムに折込積みのものであるという風になっている。こうした設定自体は決しておかしいものではないのだけれど、そもそも1作目の人間の体熱がコンピューターのエネルギーになっているという点からかなり無理がある。それが1作目ではまぁ、物語自体の面白さもあって無視できたのだけれど、それが2作・3作と妙に設定にリアリティを持たせ始めると無理を感じざろうえない。
また同じような理由でいつまでも仮想現実と繋がるために「電話」が必要というの違和感があるし、ネオがマトリックスという仮想現実では「想像力」によって無敵だとしても、リアルでも念じただけでセンチネルを破壊したり、人間であるネオがソースに戻ることが求められ、実際、最後にはバグあるいはウィルスといってもいい「スミス」に対しデバックのための媒介者になったりと発想は面白いのだけれど、全体を通じて設定に無理を感じざろう得ない。おそらく1作目の時点でその背景までが設定されていたのであればまた違ったのだろう。
物語全体の世界観としては、単純な「機械(悪)vs人間(正義)」的なものではなく、新しい結末が用意される。
「リローテッド」の後半、ネロとアーキテクトとで交わされる会話は、ある種の恐ろしさとともに「神の視点」から見た場合に適正さを持つものだろう。人類という母集団の99%が満足するシステムを運用するために、例外的な「アノマリー」の存在を許容しそれをコントロールしようとする。「アノマリー」は母集団を維持するための排他的存在であり、その集団の意志とは関係なく、母集団を維持するためには消去されても仕方がないものとして考えられる。ここではマトリクスにつながれた人々こそが母集団であり、アノマリーは「ザイオン」ということになる。「ザイオン」がその生存を許容されるのは、システム全体が脅かされない程度であって、そうでなくなった以上、排除すべき存在となったのだと。
日本のようにあまり合理的な思考法が育っていない国であれば、「人の命は地球より重い」的な発想で1%を削除することは許容されないだろうが、合理的に俯瞰して考えれば、そのような考え方は許容されるべきものとなる。しかしいざそれが愛すべき者が代償となる場合、果たして素直に受け入れることができるだろうか。
一時はトリニティへの想いからむしろ人類の絶滅を選択してしまうネロであるが、最終的に別な選択肢を提示する。99%の人類と1%のザイロンが共に「平和」に暮らすことと引き換えに、自らがソースへ戻り、もう1つのアノマリーである「スミス」を消去させるというものだ。その結果、最終的には機械と人間が「平和」的にバランスがとれたオペレーションを目指した世界が実現されるわけだけれど、これは完全懲悪的なハリウッドとは全く新しい視点だし、何よりも結局、上手くシステムをオペレーティングすれば人間にとってよりよい社会が実現できるという、まさに今のインターネット世代、google的価値観が反映されている。好きか嫌いかは別として、こうした感覚も「マトリックス」らしさなのだろう。
細かいところにこだわればそういった問題は多々あるものの、世界観のオリジナリティやスピード感やアクション、映像の斬新さ、マンガを思わせる展開の面白さなどを考えると両作品とも決して悪くはない。むしろ両作品とも2時間を越えているにも関わらず、決して中だるみすることなく、一気に楽しむことができる。完璧な作品とはいえないけれど、決して損はない作品だろう。
【評価】
総合:★★★☆☆
面白さ:★★★★☆
きっとドラゴンボールも好きなんだろう度:★★★★★
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マトリックス リローデッド
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マトリックス レボリューションズ 特別版
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「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」―押井守が問いかける「私」であることの意味
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