もう20年も前の事です。
Kちゃんという、とても賢くてかわいらしい5歳の子がレッスンに通い始めた頃でした。
某大手学習塾に行っていたKちゃんは、「・・馬車・・」という言葉が曲名についているのを見て
「馬車っていう漢字書ける!」
と言ったのですが・・・
「Kちゃん!音楽する時はね、馬車っていう漢字が書けるより、馬車に乗ったらどんな感じがするのかな~ゆらゆらするのかな~ガタゴトするのかな~って、そういうことの方が大切なんだよ」
と、わたし・・・
私は、どちらかというと、幼い時に頭だけ使う学習に疑問を抱いています。
むしろ否定的・・・と言っても良いと思います。
幼い時は、感覚や感性が素晴らしく発達する時期。
自然に覚えたのなら良いのですが、幼い時期にあえて学習塾でこんなことを覚える必要性が全く感じられません。
このような素晴らしい時期には、その時期にこそ相応しいものを与えてあげたいと思うのです。
人間というのは、本当に複雑で繊細な生き物です。
そして、他の生物と同じように、宇宙の摂理の中で生きている・・・
それぞれの年齢や時期に、それぞれ大切な「何か」があると感じていますが、特に生まれてから7年間ぐらい・・・
小学校に上がるぐらいまででしょうか・・・この時期は特別「魔法」の時期と言いたいぐらいなのです。
たくさんの自然に触れ、お父さんやお母さん、きょうだいと楽しく過ごし、自然の素材のもので遊ぶ。。。
できれば・・・理想ですね。
自然界は驚くほど素晴らしいものを与えてくれるはずです。
本当は難しい事ではなく、身近な公園や原っぱで、あるいは米子の地ならではの、海や山で楽しく遊ぶ。
そこに、もしプラスして頂けるなら、音楽があれば素敵だな~と思います。
音楽も自然界の法則にのっとったもので、大きくなれば楽曲分析、時代考察、作曲家の人生や人生観など、
考える事、頭を使う事はたくさんあります。
またピアニストとしての肉体をどう鍛え使うか、という問題も出てきます。
前にも書いた事がありますし、レッスンでもたびたび言う事ですが、まず音楽を感じ、多くの事を考え、
どのように体を使うか・・・そういう事が一体となって演奏が成り立ちます。
筋肉や骨格が未発達な時期は、もちろん無理に指などを酷使するような演奏には不向きです。
何が一番大切かというと、どういう風に感じるか・・・という事なのです。
楽しい、悲しい、心配、せつない、元気いっぱい、怒ってる、困ってる、開いてる、閉じてる、登ってる、ハッとする、、、
書きあげたらキリがないですね。
こういうことを感じ、表現する事が、音楽活動となって、リトミックのレッスンが展開しています。
これに肉体が伴うようになれば、少しづつ演奏できます。
頭を使って楽譜を読みます。
心で感じます。
もう少し大きくなれば、こういう和声だから、開放した感じ、、不安な感じ、、先に進む感じがするんだ。。。
このフレーズはここに繋がる、、、等々、楽曲分析をしてゆく第一歩が始まります。
音楽は深く、人生の長い道のりに、音楽を携えていける事は、慰め、喜び以上のものがあります。
半世紀以上生きて来て、つくずく音楽とともに歩いて来れて良かったな。。。と感じています。
リトミックの話をかこうと思ったけど、ちょっとかたい話になっちゃいましたね―――
この世に誕生したばかりの子供たち。
素晴らしい未来が待っている事と思います。
音楽とともに歩めれば、なお一層素敵ですよ。
心で感じる大切さ・・・
伝えてゆけたら・・・と願っています
生き方も学びも古い考えを脱ぎ捨て、そろそろ新しい扉を開けなければならない・・・そんな時代になりましたね