時々思い出しては読んでみる本があります。
河合隼雄先生の本は、そういた本のひとつで、何気ない日常の事を、ハッとさせる言葉で記していらっしゃいます。
私は、この河合先生の大ファンで、数年前に亡くなられたのが本当に残念ですが、専門的な本から、
誰が読んでもなるほどと、うなずけるものまで、多くの著作を残されました。
中でも「こころの処方箋」は、分かりやすく、短い55のエッセイでちょっと心に引っかかるものがある時など、
ふと取り出して読むと、心が軽くなったり、深くうなずいたり、正に、こころの処方箋なのです。
タイトルだけ見ても、ほーと納得したり、そうなんだ~と感じいったり、おもしろいです。
「文句を言っているうちが華である」「生まれ変わるためには死ななければならない」
「うそは常備薬 真実は劇薬」「どっぷりつかったものがほんとうに離れられる」
「羨ましかったら何かやってみる」「昔は良かった・・とは進歩についてゆけぬ人の言葉である」
こんな興味深いタイトルが55もあるのですから、どこからでも、何度でも読んでみたくなります。
本の最初のエッセイは、しょっぱなから「人の心などわかるはずがない」
というものですが、確かにそうなのですよね。
共感することや、人の悲しみや喜びを自分の経験から推測することはできても、
その人になれる訳ではないですからね。
「ふたつよいことさてないものよ」なども、この言葉を呟いてみるだけで、妙に納得出来たりできるんです。
良いことずくめを望んでしまうものですが、ひとつ良い事があったら、ひとつ悪い事もある。
裏を返せば、ひとつ悪い事があっても、またひとつ良い事もある・・・とも言えますよね。
もし良かったら、寝る前にひとつ、ちょっと暇な時間があったらひとつ・・・と読める本なので、
お勧めです。
もう読んでいらっしゃる方も多いのかも知れませんね。