中でも、私の大好きなピアニスト、内田光子さんの受賞は、大変嬉しいものでしたが、
上原ひろみさんの受賞も大変嬉しいものでした。
この若さで目覚ましい活躍をしている上原さん。
世界中の大物ジャズマン達から、信頼され、共演されていること、本当に素晴らしいですね。
彼女が子供に頃のクラシックを勉強していた頃のビデオが、うちにあります。
ヴェラ・ゴルノステーエヴァ先生の、ピアノでクラシックの名曲を・・・というNHK教育テレビのシリーズの中で、
受講者として演奏していました。
エヴァ先生と呼ばれ、お弟子さんからも大変慕われいた大物ピアニストです。(ヴェラ・ゴルノスターエヴァ…ロシアの巨匠ネイガウスの最後の弟子。ネイガウスはリヒテル、ギレリスら世界的なピアニストを育てた伝説のピアニスト。ブーニンの祖父に当たる)
多分多くのピアノの先生がこのビデオをお持ちだと思います。
このシリーズの受講者は、某大手楽器メーカーの選抜選手のような逸材がそろっていて、
折に触れて名前を目にしたり、耳にしたりすることも多いのですが、この頃の上原ひろみさんは、
まだ学生で、当時、小学生高学年か中学生になったばかりぐらいの年齢だったように記憶しています。
演奏したのは、シューマンの幻想小品集より、「飛翔」と「なぜに」でした。
ヴェラ先生が、「とても心のこもった演奏でした」と言った彼女の演奏は気迫があり、
大変内面に熱いものがある人だと感じさせるものでした。
この当時、この大手メーカーの教室の全国からの逸材をそろえたクラスがあり(多分今でもあると思いますが)
この頃定期的に指導するため来日していたのが、ヴェラ・ゴルノスターエヴァ先生で、
それを、一般の視聴者に向けて制作された、ピアノのスーパーレッスンのハシリの様な番組でした。
この中には後にチャイコフスキーコンクールで優勝された上原彩子さんも参加していて、他のメンバーも大変優れた才能の持ち主でしたが
多分、後で色々聞いた話から推測するに、上原ひろみさんは、この頃はもうジャズに目覚めていて、
目標を持っていたように思います。
小学生のまだ幼い頃から、オスカー・ピーターソンのピアノに憧れ、チック・コリアとも奇跡的な共演をしていた彼女でしたが、基礎になるクラシックは、しっかり勉強して、音楽性、テクニック共に揺るぎないものを身につけようとしていたのかも知れません。
ラーメン屋さんでアルバイトをして、ためた資金で20歳の時渡米し、名門バークレー音楽院で、
作曲等を学び、お食事をするお店で、ジャズを弾くアルバイトをしていたそうです。
その時は、お食事の邪魔にならないようにと、静かなスタンダードナンバーを演奏していたのですが、
ある時、店のご主人が、彼女のアグレッシブな一面を知り、ひろみズタイムを設け、少しの時間、
好きなように弾かせてくれて、お客さんからも大好評だったそうです。
蛇足ですが、ラーメン屋さんでアルバイトと聞くと、マイナーなイメージかも知れませんが、彼女は根っからのラーメン好きらしく、ラーメン作りは、ジャズのようだとも言っていました。
仕上げるのが、ジャズのアドリブに似ているのかもしれません。
今では、海外を中心として活躍する彼女ですが、あのスーパーレッスンの時、ヴェラ先生が、レッスンの最後に「成功を祈ります」とおっしゃっていたのが、とても印象的でした。
クラシックの大物の先生ですが、彼女の希望もご存じだったのかもしれません。
そして、今、ノリに乗っている彼女は、先生の言葉通り、成功をつかんで、その道をまっしぐらに進んでいるように思います。
意志の力は大切だな・・・と、つくずく思います。
ちなみに私は、日本人ジャズピアニストでは、小曽根真ファンです。
また、内田光子さんの演奏は、やはりモーツァルトは素晴らしいですが、シューベルトなど他の作曲家の演奏も素晴らしいです。
クラシックピアニストは、他にも好きな人は何人かいますし、この作品はこの演奏家のものが、
一押し・・・というのが私の中ではありますが、皆さんは如何ですか?
小曽根さんも、テクニック音楽性の為にも、ショパンエチュードを始め、
エチュード類は、クラシックでも練習されているらしいです。
上原ひろみさんの演奏スタイル自体には、好みもあるとは思いますが、彼女の演奏は、クラシックを土台とした、確かな技術と音楽性の裏打ちされたものなのですね。
演奏していたら楽しくて、気づいたら笑っているのだそうです。
本当にすごい