旧幕臣たちが勝海舟の娘たちが、キリスト教を信じていると聞いて、けしからんと思い勝に意見をしに行った時のお話です。
「キリスト教には忠孝の道なし。」と言うと、勝は「余は聖書も見たが、成るほど忠孝の話は見えないかもしれないが、忠孝の実あらば良いではないか。
我が家の裏方にホイッニーとう人あり、立派な孝子なり。
まづ、ホイットニーの行為を見に来になさい。
先賢も忠臣は孝子の門より出づと云えり、我が子女たちもあれ程の孝心あらば必ず立派な忠義の者となるだろう。」と松山幸吉が話したと言う記事があります。
忠孝とは、忠義と孝行のことです。
また、森有礼や福沢諭吉・らが集まって作った明六社の集まりで、ある日、福沢が「キリスト教というものは他の点では良いかも知れぬが、親孝行のことはどうか知らない。」という話をした。
すると、勝海舟が「私はキリスト教でも親孝行は大いに重んじていると思う。というのは、内の隣にホイットニーという者がいるが、その兄弟が老いた母を大事にするさまといったら、なんともいえない。とてもわれわれ日本人に真似ができようとは思われない。
キリスト教はたしかに親孝行を重んじるよ。」と言ったそうです。
植村正久は、この話は当時の政治家・学者・宗教家・志士の集まる福沢主催の「共存同衆」という会合でのことだと言っています。
とにかくこの話がどこでなされたかは分かりませんが、当時の新聞などに何度も載った有名な話だそうです。
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