先日、作家さんのご招待で大相撲見物に行った。
その帰り某出版社さんが「ももんじや」に誘ってくださった。
「ももんじ」つまり百の獣、ということで猪や鹿の肉などを食べさせてくれるお店で両国にある。
ご禁制の肉を山くじらと都合のいいように言い換えて、江戸時代の人々は食していた。
胃の調子も悪かったし、私自身、自分からすすんでそういう肉を食べることは、決してない。
というか肉は鶏肉以外食べないようにしているのに…。
付き合い90%、興味&取材10%ということで勇気をだして(?)参加した。
私たちがいただいたのは「野獣肉コース」といい、猪鍋に鹿の刺身、鹿の竜田揚げ、熊汁のついたコース。
それに肉そのものの味を試したくて猪の炭火焼も注文した。
最初に猪の煮込み。
味が濃く煮込みといっても肉だけで臓物関係は入っていない。
そして鍋の用意ができるまで網焼きを食べる。
これはあっさりとしてやわらかく、何の癖もないしどちらかというと味の表現ができないほどさっぱりしている。
猪の肉は、煮込めば煮込むほどやわらかくなるそうだ。
今は旬でないので冷凍だけというけれど、その違いなどわからない。
すき焼きの味に八丁味噌をプラスして、これまた濃い味付けをだし汁で薄めながらいただく。ちなみに卵はつかないのがすき焼きと違うところ。
鹿肉の刺身。
絶対に自分からは食べない。でも今日はしょうがない清水の舞台から飛び降りた気持ちで…。
これがなんとやわらかいまぐろの赤身のよう。
竜田揚げもやわらかく味がよく、今日一番の料理だった。
最後に熊汁。
みたところ普通の赤だし味噌汁。
中に肉の破片が1つ2つ。
思ったほど固くなくこれもまたやわらかく噛み切れるが、味は???
普通の赤だし。
結局、牛肉や豚肉の方が、味自体が改良されているが、野獣たちは現代人が食べやすいように臭みなどを取っているだけのようだ。
旨みがない。料理の味付けしか味の印象に残らない。
でもこれも一つの話のたね。
たしか梅安先生(必殺仕事人藤枝梅安)も仕事に行く前か後か忘れたけれど、猪の肉で力をつけたような話があったような・・・?
この店の通りを隔てたところが両国橋。
そこの橋のたもとに四十七士の一人、宝井其角に弟子入りし、討ち入りの日を探り出したという大高源吾の句碑がある。
このあたりに来ると吉良邸跡も近く想いはやはり四十七士に。
とはいえ野獣を喰らった美女(?)は、ちょっぴり元気になりました。