ガーベラを3本買ってきた。
仏壇は弟の家なので、父母が二人で映っている写真の前に飾った。
父母と私の3人で初めて旅行した時の写真だ。
場所は宍道湖。
出雲大社へ行ったことがなかったので、いきなり遠くだが計画してしまった。
宍道湖の夕暮れの前に立つ父母。
あの時のことはよく覚えている。
飛行機が嫌いな母のために、新幹線で岡山へ。岡山から島根まで鉄道の旅。
とても揺れて、ビールを飲んでいた父が悪酔いしてしまったほど。
ゆっくりと日程をとったので、のんびりと三人で観光をした。
やはり宍道湖は素晴らしく、母は、ホテルの窓からみた朝焼けの風景が忘れられないと、いつまでも言っていた。
出雲大社もよかった。
急に夕立がきたのだが、すぐに雨は上がり、そのあとの荘厳なたたずまいは忘れられない。
早朝の出雲大社もよかった。
出雲大社前の旅館は古い旅館で入口から畳敷き。ここはなんと竹内まりやの実家だった。
3泊4日の島根の旅からはじまり、父母と3人の旅行は毎年続いた。
その次は函館。
以前住んでいたので、その跡地を見たかったから。
松島にも行った。 花の巻温泉にも行った。
そして釜石は、母の青春時代を過ごしたところ。
最後は伊豆下田だった。
このあと、父の具合が悪くなり、もう旅行はできなくなった。
私にはこんなにたくさんの、父母の思い出がある。
大切な大切な思い出がある。
人間、きりがないけれど、ようやく私の仕事が軌道にのり、休みもとれ旅費も出せるようになるまで時間がかかったから、このくらいしか行けなかったけれど、もっともっと早くから、一緒に旅行をしたかった。
もっともっとたくさんの思い出を作りたかった。
アルバムをみると涙が止まらない。