冷たい風の吹く朝のホーム
凍えた手に吹きかける息も白く
春は本当に名のみだとふるえていた
おはようと明るい声
一駅だけのお友達
「はい、これ」
凍えた手に天使のクッキーをポトンと落す
「これ、私が作ったの。お仕事忙しそうだから疲れたら食べて」
食べるのがかわいそうな可愛いクッキー
チョコクッキーの天使にはちゃんと羽根も付いている
何処かへ飛んでいかないように小さな袋に入っている
そっと両手で包み込む
ほんわりとしたあたたかさ
一瞬寒さが遠のいた2月の末の朝だった
by 紫苑
だいたい、電車に乗るときは、同じ車両の同じドアからのるので、毎朝会っている人とは何となく顔なじみになる。
彼女もそう。
どちらからともなく、あいさつし一駅だけ一緒に乗っていく。
いつも明るく笑っている彼女を見ると、仕事に行きたくないなと思う自分が恥かしくなる。