「 烏帽子と富士 」烏帽子岩シリーズー(4)
周遊船 えぼし丸に乗って
須田 孝雄さん撮影
昼前に家を出て今年初めての東京へ向かう。
エスカレーターや電車の乗り方も忘れたみたいで何やら新鮮だ。
東京ももう何ヶ月ぶりだろうか。一寸緊張する。
電車はいつものように動いていたし、案外空いていた。
しかし新宿駅の乗り換えでは、昔のような雑踏で人の流れに目が
回るようだ。コロナ禍だなんて事を忘れるような人出だった。
東京医大病院に消毒をしてから入ると広いロビーには、大勢の人
がいる。いつも思うのだが世の中には何と病人が多いものだと、
己のことは忘れて、辛そうな人を見ると気の毒にとか同情というか、
こちらも悲しい気持ちになるものだ。
私の行く眼科は、特に年輩者が多く、今日も相変わらず大勢が広い待合室に
溢れている。私の検査、診察、注射の行程では2~3時間は掛かるのは承知
の上だから、焦らず平静に本を広げながら周りの人を観察しながらじっと待つ。
奥さんらしきお婆さんに手を引かれた老爺さんやその逆の組み合わせやら、
老いた親を無理につれて来たような孝行息子や娘などの親子連れ、1人で怒った
ような顔で待つ青年、待ちくたびれて苛立つ老人、母親に連れられた小さな子、
私同様1人でしょんぼり待つ老人等々とさながら世相の一端を見るような思いだ。
足腰がすっかり弱ったのでこうして椅子に座りっぱなしも結構辛いものだ。
そういえば昔は何でもなかった東京までの電車の1時間がお尻が痛くなって、
もぞもぞと体重を右や左に動かしているのと同じだ。
お尻の筋肉が落ちてこうなるのだろうか。
所で今日の午後には、宣言の解除か延長かが、首相から正式に発表があるので
気にはしていた。どちらでも良いやと腹を決めていたのだが、昨日までは6:4で
解除が優勢だったがやはりその通りだった。
夜7時を廻って帰宅してそれを知った。驚きはしなかったが、果たして大丈夫かな
という不安は感じる。とんでもない事にならないことを祈るしかない。
此処はもう日本人の良識を信じるしかないようだ。
それにしても久し振りの外出で疲れた一日だった。