EAP(employee assistance program)とは、 メンタル面から社員支援を支援するプログラム。近年増えてきた職場の複雑な人間関係などによってかかる抑うつなどを回避させるために企業が外部団体と契約して社員の心の健康をサポートするシステムです。
私は、今や、企業は、こうした高い専門性を持つ機関に、メンタルヘルスを委ねなければいけない時期にきていると痛感しています。
過重労働や業務拡大などのストレス過多によるメンタルヘルス不全社員の増加する一方でそれが企業にとっては大きなリスクとなっているのがご存知の通りです。
一旦社員が休職すると、社員の行っていた業務の代替の必要から発生する周囲の社員へのストレス、その医療費や代替社員の人件費の増加、また、労災認定や訴訟件数の増加による企業イメージの低下など、企業はさまざまなリスクを抱えます。
最近の悲しい出来事として、こんなことがあります。
キヤノン社員の自殺、労災認定 「過労によるうつ病」
ご本人、ご家族のお気持ちを考えると言葉もありません。
同時に、この事件はキャノンという会社にとって、従業員の自殺という、
悔やんでも悔やみきれない負の歴史を残してしまったことは間違いないです。
私自身は、この出来事を「経営的リスクマネジメント」ということにためらいがありますが、経営的視点からは、はっきりとそういえるでしょう。
それらのリスクマネジメントの整備、強化は急務です。
このような背景の中、EAPは注目され、多くの企業で導入され、実績をあげてきました。
さて、今回ご紹介するのは、
そこからさらに進んだ概念であるCAP(company assistance program)を行っている、MRC(メンタルヘルスリサーチ&コンサルティング)のサービスです。
従来型EAP(従業員支援プログラム)とは一線を画し、従業員支援のみではなく人事労務担当者、産業保健スタッフ、経営陣をもサポート対象とするのがCAP(企業支援プログラム)です。
私が通っているメディカルケア虎ノ門は、平成15年に開院、企業に働く社員の方のメンタルヘルスを専門に診療を行っており、既に4000人を超える診療実績があります。
なかでもうつ病や不安障害等により休職をした社員の方の診察においては、都内および神奈川、千葉、埼玉など関東一円より、多くの休職者の方が通院をしておられます。
あちこちのマスコミから引っ張りだこでズームインでもとりあげられたことがあります。五十嵐先生はとうとう政府のライフワークバランスのビデオにまで出演してしまいました!
私自身は、今は月に一回通院しています。
患者さんは一様に穏やかで元気そうです。元気なさそうに見えた方が元気そうになる姿をみるのも勇気に繋がります。
決して患者を甘やかさないけれど、責任感があり、豊富な知識と最新の情報に基づく五十嵐先生の的確なアドバイスを聞くと、気持ちが落ち着き、勇気が出ます。
さて、その診療を通じて休職した際の復職の困難さとリハビリテーションの重要さを痛感した五十嵐先生らは、まず、平成17年1月、日本ではじめて終日型復職支援プログラム『リワーク・カレッジ』を開設しました。こちらでは、平成19年1月までに約200名の方が復職を果たされています。
さて、『リワーク・カレッジ』にはご本人やそのご家族ばかりでなく、休職社員を抱える企業の方からのアクセスも非常に多いそうです。企業が復職の際に社員の病状や業務遂行能力の回復度合いがつかめず、その結果復職に失敗し再休職にいたるケースが多いからです。
そこで同院では、今度は企業のメンタルヘルス対策の鍵となる精神科顧問医契約を始めました。これがMRC(メンタルヘルス・リサーチ&コンサルティング)です。ここでは、まず、EAP(従業員支援プログラム)とMRCのサービスの違いを説明します。
■いちばんの特徴は全社的に支援すること
従業員支援のみならず、人事労務担当者・産業保健スタッフ・経営陣(管理職含む)をもサポート対象とするCAP(企業支援プログラム)として、企業全体をバックアップするということです。
人事労務担当者・産業保健スタッフ・経営陣のサポートはいらないって?
では、あなたの会社に企業のメンタルヘルスに精通している人は何人いますか?
■きめこまやかで事後措置が充実
個別にカスタマイズした通所型復職トレーニングである『リワーク・トライアル』やMRCヘルスケアルーム(社外健康管理室)での心身の相談や健康診断の事後措置や面談というきめこまやかな対応がなされます。
■人事担当者へのコンサルテーション
教育や研修などの予防対策をはじめとするメンタルヘルス対応に直面し、困難を極める人事労務担当者へはコンプライアンスや組織へのコンサルテーションを、産業保健スタッフに対しても専門知識に基づき、MRCのスタッフが各種御相談にしっかり対応します。
■危機対応
母体が精神科クリニックのメディカルケア虎ノ門であるため、危機対応や医療的介入が必要な際にも迅速に対応でき、治療が必要な場合も、優先診療が受けられます。
■復職支援サービスでの違い
EAPでも復職支援プログラムを提供しているようですが、その内容は休職中の社員へのカウンセリングや職場上司等への受け入れ態勢のアドバイスなどが中心で、模擬職場のようなリハビリ施設を持ち、実際にカウンセリング以外のプログラムを行っているところはほとんどないようです。
MRCの母体であるメディカルケア虎ノ門では現在まで多くの方が復職への大きなステップとして活用されています。復職時における最大の問題点である「業務遂行能力の回復度合いの把握」について、メディカルケア虎ノ門の復職支援デイケアの経験をベースとしたシステムで、個別にカスタマイズした実践的復職トレーニングであるリワーク・トライアルを弊所内で実施・分析し、企業へ毎週復職準備性に関するレポートを提出します。
その結果は復職判定の資料として役立てられ、また本人だけでなく受け入れ側(人事・担当上司)へのアドバイス等も可能です。
また、社内でリハビリ出勤を行なうことは、労災の問題など様々なリスクを伴います。リワークルームに“出勤”し、復職トレーニングを実施することにより、早期再休職のリスクと安全配慮義務が行えます。
従来型EAPにおいては、医療機関勤務経験者が少なく医療の専門知識に乏しいのが現状です。
それに対しMRCは、産業医として活動中の精神科医、産業医専任内科医師、産業保健師、看護師、精神保健福祉士をはじめ、産業カウンセラーや臨床心理士などカウンセラー等も医療の専門知識と経験に加え企業勤務経験者で構成される、職場のメンタルヘルスに精通した専門家集団です。
経験豊富な各スタッフが専門性をベースとし、連携して会社の現状や要望をヒアリングした上で、それぞれのニーズに合わせメンタルヘルスに対する体制構築のサポートを致します。メンタルヘルス対策をとることは、CSR(企業の社会的責任)の観点だけでなく、企業のリスクマネジメントとしても欠かせません。
人事労務担当者へのメンタルヘルス対策の手助けとなる人事労務担当者サポート、日本初の終日型復職支援プログラム『リワーク・カレッジ』での経験をベースにした実践的復職トレーニングプログラムであるリワーク・トライアル、精神科医による復職後1年にわたるフォローアップ面談など、従来のEAPでは提供できないもっともサポートを必要とされるサービスを、精神科専門医を中心としたメンタルヘルスの専門家集団により提供しています。
■メンタルヘルス・リサーチ&コンサルティング
http://www.mhrc.co.jp/