まちの安全管理センター

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大阪府の想定なぜ?

2013-11-07 16:49:38 | 日記
 大阪府は10月30日、南海トラフでマグニチュード(M)9クラスの巨大地震が発生した際の府内の被害想定を公表しました。人的被害は最悪のケースで死者が13万3891人と、内閣府が2012年に公表した被害想定の13倍以上に及んでいます。一方、建物被害は全壊が17万9153棟と内閣府想定の約半分になりました。なぜでしょう?
 大阪府が設置した「南海トラフ巨大地震災害対策等検討部会」(部会長:関西大学社会安全研究センターでセンター長を務める河田惠昭教授)の第4回目の会合で推計値を公表しました。津波によって浸水する面積が内閣府の想定被害の約3.6倍に当たる1万1100haに及ぶなど、同検討部会が8月に公表した津波浸水想定や震度分布を踏まえて検討したそうです。
 大阪府の被害想定では津波による死者が最悪の場合は13万2967人に及び、内閣府が想定した4500人の約30倍に達するとみています。これは、府独自の調査で、津波による浸水想定区域を拡大したのが主因です。さらに、防潮堤が地震によって沈下し、津波が到達する前に浸水する区域もあるとして、津波による死者数には約1万9000人も加えています。 この被害者数は、大変大きな数字です。
 建物被害は全壊が17万9153棟と、内閣府が公表した34万4300棟の約半分となりました。
 詳細なボーリングなど独自の地盤調査を実施しました。その結果、計測震度5.75以上になる区域は小さいとみて、揺れによって全壊する建物は1万5375棟と、内閣府が想定した5万9000棟より少なくなっています。
 建物の全壊率と出火率に高い相関関係がみられることから、地震火災による全壊数は内閣府が公表した26万棟を大きく下回る6万1473棟としました。このため、地震火災による死者数も内閣府の被害想定の12分の1に当たる176人となっています。
 一方、内閣府の想定より全壊数が多くなった原因もあります。
 想定する津波の浸水深さが3~5m以上になる区域があり、こうした区域では3mで木造建物が、5mで非木造の建物がほぼ100%全壊するとみています。このため、津波による建物の全壊数は3万1135棟と、内閣府が公表した8000棟の約4倍としました。
 独自の地盤調査を踏まえ、液状化によって全壊する建物の数は内閣府の公表値の4倍強になりました。7万1091棟が液状化による沈下によって全壊に至るとみており、大阪府が推計する建物被害の中では最も全壊数が多いです。
 液状化による被害でも、内閣府では公表していなかった半壊する建物の数も推計しました。液状化と揺れ、津波、急傾斜地の崩壊による建物の半壊は45万8974棟に及び、全壊と合わせると府内全体の建物の4棟に1棟が全半壊するものとみています。
 大阪府は今後、ライフラインの被害想定や経済損失の推計に取り組む。推計した被害想定を基に地域の防災計画を修正する考えだそうです。早急な対策が進むことを望みます。