後進の指導は難しい。技は盗め系の職人芸伝承方式は、技術革新の速い現代では非効率である。教育によって一定の基礎は習得してもらわねばならない。ただ座学で学べる事など高が知れており、先輩の指導の下、実戦を積ませるしかない。その際も試行錯誤させた方が最終的には地力が付くのだが、速成を目指すのであればある程度答えを教えながら進めるのも仕方ない事であろう。噛んで含める様なOJTは昭和世代には生温い様に見えるかも知れないが、3年経てばトレンドが変わっているのも珍しくないのがIT業界である。教える側も咀嚼しながらやらざるを得ないと云う事情もある。「噛んで含める」と云うのは離乳食の無い時代、親が口移しで食事を与えていたのに由来するが、虫歯菌は大人から伝染すると云う事が判明した現在、子育てでは禁忌とされる。我々の常識は日々更新されているのであり、後進に指導される方が効率的な場合も、少なからずある様に思えるのである。