3/9-10 あれはいつだった? 第50話
海辺からそう遠くない住宅街・別荘街だった。
東山家は隣とは高い仕切りで隔たっていた。
実家の別荘と言っても父の建てた別荘ではなく
父の祖父の代に建てられたものだった。
当時は別荘ではなく本宅で
別荘扱いになったのは祖父の代からだった。
祖父の亡くなった今、その家は空き家同然だった。
管理人を頼んで定期的に家の手入れはしてあった。
旭は1週間ほど前に管理人に電話して掃除と食料を買い足しを頼んだ。
旭は直子を連れて週末をその別荘で過ごすことにした。
家の中を旭は案内した。
大きな一軒家で、屋上から海が見えた。
土曜日の夕方、旭の友人と紹介された2人の男が訪ねてきた。
旭は大きなリビングに2人を通した。
直子は本能的に旭の後ろに隠れた。
何か怖かった。
xxxちゃんと直子を紹介したけどなんて言ったのか
ちゃんだけ聞こえた。
直子は黒いエプロンをかけていたけど
下にはなにもつけていなかった。
旭は直子を彼の後ろからひっぱり出して胸に抱きしめた。
なにもつけていない直子のバックが丸見えだった。
直子の尻を一つの手がつかんだ。
もう一つの手がもう片方をつかんだ。
それから1本の指が直子の中に入り込んできた。
直子はノンっと言うと足をバタバタした。
ナオ、じっとして。 耳もとで旭の声がした。
もう1本の指が直子の後ろに入ってきた。
旭の大きな手が直子の頭を胸に押し付けて
直子の声はかき消された。
それから起こったことは悪夢だった。
交互に、前から後ろから、同時に、何度となく・・・・・
ベッドの上でぐったりとしていた横に旭が寄って来た。
そして旭は直子を風呂に入れた。
丹念に直子を洗ってから、大きなバスタオルで包み
リビングに戻ると耳もとでアリガトと聞こえた。
直子は声が出なかった。
ただただ涙が流れた。
直子はね、パパのものだからね、パパの言うとおりにしていれば
いいのよ、
そう言うと直子の目をじっと見つめた。
直子がかろうじてうなずくと、いい子って言いながら直子の髪にキスをした。
東京に戻った夜、直子はうなされた。
旭に揺り起こされて目をあけるとワーっと泣き出した。
旭は大丈夫、大丈夫よっと何度も言った。
やがて泣き止んだ直子は誰にもかさないでっとささやいた。
大丈夫よ
旭は直子が寝付くまで抱きしめていた。
旭はあれ以来鞭は封印した。
鞭は旭の幼い日を呼び起こした。
あの恐怖、痛み、恐怖、痛み・・・・できない
旭は後悔していた。
直子はあれ以来、旭にとっても可愛くなった。
これで十分。
旭は仕事中でも籍を入れることを考えていた。
結婚届の用紙はもうカバンのなかにあった。
でもどうして言えなかったんだろう?
今でも旭は自分に説明できなかった。