3/25 あれはいつだった? 第60話
旭は会社のより大きな発展のために決断すべきいくつかの事柄を抱えていた。
勤務中は旭は直子のことを思いださなかった。
旭が惨めになるのは夜だだぴっろい我が家に帰ったときだった。
タイマーで帰宅したときはすでに灯りがついていた。
暗い我が家に帰るのは耐え難いものがあった。
直子 ただいま と声に出して言うようになっていた。
旭はアホではなかったから自分なりに自分を分析してみた。
そして姉たちに質の悪いいじめ・悪戯がどんなに自分をゆがめてしまったか
そこに行きついた。
とは言え、それは殺人を正当化することにはならない。
わかっていた。
直子があの時、もっとと言ったときの目つき
それはチュー姉ちゃんを思い出させたけど
もっと冷静になることだってできた
と、自分に言い訳するのだった。
あの日、自分は遅くホテルに着いた。
どうしようもないほど疲れていた。
家事を嫌う直子のために数日前からホテルにいたのだ。
直子だって俺が疲れたのをわかっていたのに、寝付いた自分を起こして
要求してきた。
直子はそれまでそんなことしたことなかった。
あの日は直子は自分をつかんで引っ張って刺激し、
俺が完全に目覚めるまで刺激し続けた。
有無を言わせない欲求だった。
それは風呂場で3人の姉たちは好奇心いっぱいに
旭の体をひっくり返し、広げ、引っ張り、まだ性欲なんか程遠い
幼い旭をいじりまわした。
そしてチュー姉ちゃんだった、
タイルの上に押し倒された旭の上に馬乗りになって旭の肩を押さえつけ
いいよ、やってと大声で叫んだ。
旭は必死で一瞬、チュー姉ちゃんを見た。
自分を見下ろす意地の悪い目つき。
忘れられないあの目。
その途端、旭は陰部に強烈な痛みを感じた。
旭は大きくなっても、あの時、自分が何をされたかわからなかった。
姉たちに問いただす気にはなれなかった。
その後、旭は冷たいシャワーの下で目覚めた。
あの最後の夜の直子の目はチュー姉ちゃんの目だった。
旭は恐怖と怒りと絶対反撃するという強烈な衝動で立ち向かった。
直子を窓の外に落としたとき
旭はスカっとした。
ゴミを捨てた気分だったのだ。
やったぜ と思った。
そして朝までぐっすり眠った。
直子がどうしてそんなことをしたか
死んでしまった直子にもう問うことはできなかった。
死んじゃったらもうもとに戻せないのよ
いつだったか、直子が言っていた。