3/8-9 あれはいつだった? 第49話
めそめそ泣き続ける直子の尻を握りしめるたびに
直子は悲鳴をあげ、でもよくなった。
それから直子の外出は大幅に減った。
旭は直子に定期的にフェッセを与えた。
直子はみるみるうちに従順になって旭を頼るようになった。
そしていつの間にか直子は旭をパパと呼んでいた。
直子は旭を恐れた、でも尊敬するようにもなった。
夕食のあと、就寝前のひととき直子は旭のひざの上にいた。
そこが一番安全なところでもあるように。
直子は旭の休日の外出を嫌がった。
ある日、旭は甘めの飲み物にウオッカを少し入れて直子に飲ませた。
案の定直子は間もなく眠りについた。
旭は直子用の大きなベビーベッドを作っていた。
そこに直子を寝かせると柵が開かないように鍵をした。
そして目覚めるころには帰宅できると外出した。
ベッドの上には防犯カメラがついていた。
筆者から フランスでは2つの映画化された小説がある。
エマニュエル と Histoire d'O オーの話(日本語訳は知らない)
どちらとも作者は女性だ。
エマニュエルは人の名前だから日本語も同じだろう。
カタカナでは判別できないけど、男性も女性もこの名前はある。
欧米の名前は男女ともある名前が結構ある。
ミシェルなんかもそう。
旭のスマホに直子のパパって呼ぶ声が聞こえた。
旭はマンションのエレベーターの中だった。
映像を見ると目を覚ました直子がベッドの上に起き上がっていた。
部屋は薄暗くなっていた。
旭はエレベーターを降りると小走りで部屋に向かった。
玄関ドアを開け、リビングのドアを開けてナオと呼んだ。
直子は大声で泣き泣き旭を呼んでいた。
玄関ドアに鍵をすると、ベッドに走りより直子を抱き上げた。
旭は直子が静かになるまで抱きしめていた。
旭の数分の遅れ、あるいは数分直子の目が覚めるのが早かったか
それとも旭の計算間違い?
旭と直子の生活は普通の夫婦の生活と言ってもよかった。
旭は通常通り会社の勤務を怠らなかった。
直子は家にいる間は普通の主婦をやっていた。
買い物はほとんど旭がした。
週末は旭の実家の別荘に行くことが多かった。
筆者から 山がいいか、海がいいか思案中。
旭が直子と話し合うことはあまりなかった。
旭は子供をほしいと思っていなかった。
それゆえ、直子を束縛することで直子が子供を欲しいと言い出すのが
怖かった。
なんと言って子供をあきらめさせられるか?
旭は自分が独占的だとは思っていなかった。
でも直子は自分だけの直子であってほしかった。
旭は自分がそれほど直子がすきなのか?
それとも本当の自分は独占的だったのか自分に問うた。
直子が大事な宝物でもあるかのように
旭の秘密の宝箱に隠しておきたかった。
旭は家族の誰にも直子の存在を話さなかった。
直子は大きな恋の経験もなく、旭に惹かれて会社をやめて
東京に戻っては来たけれど
相像もしていなかった経過で旭と暮らすようになり
しかも、生まれて初めて体罰を経験し
でもあげくに、彼を大好きになり
思考力も止まるほど混乱していた。
なんで彼がこんなにも好きなの?
彼に鞭打たれた苦痛が理解しがたい感情?を生み
もうまったく彼から離れるなんて想像もできない。
一生彼のそばにいたい。
彼の子供でありたい・・・・・
子供なのに彼とセックスをするの?
直子は自分の矛盾に同じことを何時間も考えていた。
旭の実家の別荘は逗子にあった。