3/10-11-12 あれはいつだった? 第51話
直子の母は旭に会った数日後夕食のテーブルで東山さんに会ったのよ
と声に出した。思い出したのだった。
いつと信兄さんと秀兄さんは同時に言った。
一昨日、その前だったかしら? 銀座で待ち合わせがあったんだけど
すれ違った大きい男性が直子の彼だったのよ。
ちょうど直子に紹介された場所で。
でもあの人、直子に振られたって言っていたわ
動機はあるってことだ と 好古が言い出した。
なに? 好古は東山さんが直子を殺したって思っているの?
ふられて、よりを戻すために話し合っている時にもめて
ってよくある話だよ。
警察に言ってみようよ。
あんなハンサムでやさしそうな人が直子を殺すなんて・・・・
母親はありえないって手を振りながら席をはずした。
そもそも直子は彼を追って退社したかもしれないんだ。
っと信兄さんが言う。
その人、そんなにハンサムなの?と好古が聞いた。
十人十色って言うだろうと秀兄さんがぶっきらぼうに言った。
でも警察に言うのはいいかもしれない。
警察の担当者は東山家の東山 旭さんですか?
まあ、聞くくらいはできますが・・・・
ご存知のように東山家は日本屈指の財閥でと続ける刑事に
信、秀両兄さんはムカっときた。
警察ってこういうのに弱いんだ。
ゴミは下からも上からも出ますが・・・
と信兄さんが言い、
警察の立場なら聞くくらいできるでしょ?
わかりました、やってみますから少々時間をください。
秀兄さんが直子は死んでいるんですよ? 素っ裸で自殺する人なんか
いるもんですか?
殺害されて遺棄されたに決まってます。
と信兄さんが追加した。
その刑事が相棒と旭の会社に旭を訪ねてきた。
旭は写真を見せられた。
ご存知なんですね!
僕の恋人だった直子、今村直子さんです。
何かわかったんですか?ニュースを見ました。
直子、直子さんが別れるって言い出してもう・・・
旭はあれはいつだった?と考えた。
去年、開けたから一昨年のクリスマスちょっと前に約束の場所に電話してきたんです。
その日は僕が10分くらいしか遅れずに着いたんでえすが
直子が来ていなかったんです。
直子は時間厳守で、デイトに遅れたことなんかなかったのに。
そうしたら電話が来て、もう会わないと言って
理由を聞いたり、何があったのか聞いたのですが
電話を切られてしまって。
その後、こちらから電話したのですが、私が持っている電話番号には
応答がなくなって・・・・
一息に言ってから、旭はちょっと止まった。
数日前に誰かに会ったらしいんです。
とボソっと追加するように言った。
結婚するつもりでした。
でもまだ直子が迷っているようで、彼女のお母さんには銀座で
出会ったときに紹介されたんですが、
ご挨拶にも行ってないし、私の家族にもまだ紹介していなかったし。
刑事は最後にあった場所はと聞いたので、僕の自宅です。
自宅と言っても親のところではなくて
僕のマンションですが。
見せていただけますか?
いいですよ、いつですか?
今夜にでも。
ではお待ちします。 8時なら戻れると思いますので。
その夜、旭は8時ちょっとすぎるようにマンションについた。
部屋の前には昼間の刑事とその他が3人ほどいた。
すいません、お待たせしました。
旭はドアを開け、彼らを通した。
まるで家宅捜査だ と旭は彼らの動きを見ていた。
居間、寝室、台所、浴室、トイレ、ベランダと見たいだけ見た。
直子の痕跡はなかった。
早めに掃除しておいてよかったと旭は思った。
血液の後も一切なかった。
同棲していたのではなかったのですか?
旭はいわゆる同棲はしていませんと言った。
直子さんは自分の住まいがあったし、
ここには週末、金曜日の夜から月曜日の朝までよく居ました。
僕の鍵ももっていたけど、返してもらっていません。
でも、管理人は留守中に来たことはないって。