3/18-21 あれはいつだった? 第56話
旭のマンションに警察が訪れたとき旭は信じられなかった。
旭は重要参考人だったけど、任意で出頭を求められた。
なんでわかった と旭の自問し続け警察の質問に沈黙した。
取り調べ室にまもなく東山家の弁護士が到着した。
それは旭の弁護士ではなく、旭の父の弁護士の一人だった。
そしてなんと旭は釈放されたのだ。
その経緯を翌日元刑事から聞いた直子の兄たちは怒りに言葉もなかった。
信兄は家族を居間に集めると、これまでの話をした。
直子の白骨死体の見つかったホテルにチェックインした結果、
彼らに割り当てられら部屋の窓枠から東山旭の指紋が出たこと。
その窓はほんのわずかしか開かないタイプだったのに外されてのだ。
旭の指紋が窓枠にあるということは外したのは旭と言えるのでは?
さらに窓枠の外に髪の毛がついていたけど、まだ詳細はわかってないこと。
問題は窓枠から旭の指紋が出たことで、その窓から旭が直子を落としたという
結論に達せられるか?
証拠不十分もありうると兄たちは考えていた。
直子の母はあの人が直子を殺したって言うの?
と警察の判断は間違っていると言い出していた。
あげくに直子の母親は旭に会いたいと言い出す始末だった。
でも母の本心は直子の好きだったスカーレットワンピースを返してほしかったのだ。
それを察しったのは好古だった。
直姉ちゃんのもの返してもらうことできないかしら?
信兄さんは元刑事、今探偵に電話して家族の思いを告げた。
元刑事、今探偵は同僚刑事に今村家の本意を連絡した。
そしてもう一度、旭に会いに行きたいと言った。
今刑事は釈放された旭のマンションを今探偵とともに訪れた。
今探偵・元刑事は家族の思いを伝えた。
旭はでもなにも残ってはいません、みなさん 見たじゃないですか? と言った。
別荘はどうですか?
調べはついていなかったのだが、とっくにわかっているんだと言うように
かまをかけた。
別荘ですか? 直子も連れて行きましたから何かあるかもしれませんが・・・・
旭は直子のワンピースを思い浮かべていた。
旭も直子がそのワンピースが大好きで大事にしていることを知っていた。
では時間を見て何かあればお渡しします。
旭は警察人をなだめるためにそう言ってみた。
それから2週間ほど経って元刑事・今探偵が旭の家を訪れた。
そして1つの紙の袋を渡した。
それは某デパートの有名な袋だった。
直子さんの衣類です。
その中にはスカーレットワンピースがあった。
母はそのワンピースを抱きしめるとナオちゃんと言っておえつした。
元刑事が帰り、二人の兄はその他の袋のものを見た。
その中には黒や花柄の水着のビキニと思われるような下着が何枚もあった。
ほとんど透明なネグリジェ、そこらじゅうが開く部屋着 等々。
2人はため息をついた。
直子と旭の関係が見えたような気がした。
直子はこんな男が好きで会社を辞めたんだ。
あいつ、何を考えてたんだろう?
母が知ったらどう思うだろう?
どんなに嘆くだろう?
父はもう捜査なんかいらないって言うかもしれない。
旭が逮捕されて裁判にでもなったら、
直子の、今村家の恥さらしが暴露される。
すでに白骨死体の身元はあかされている。
2人は今刑事に捜査を任せ、こちらからはあえてなにも聞かないという
方針を決めた。