3/1-2 あれはいつだった? 第42話
直子は旭にプレゼントはした。
でもお揃いの何かが欲しかった。
思いつく店をいくつか見たけど決まらなかった。
帰宅してからインターネットをあちこち見ていたけど
久谷焼きが目についた。
カラーが好きだった。
金を使用してなければそれほど高額ではなく好きになりそうな
カップがみつかると思った。
旭の好みと、私の好み。
初めての二人お揃いは久谷焼きのマグカップになった。
旭はそのお揃いのアイディアがすごくうれしかった。
そのカップで、旭がいれたコーヒーを翌朝から飲むことになった。
旭は直子の料理にかなり満足していた。
直子はまだ若かったけれど、直子の母の料理が大好きで
すでにかなり覚えていた。
それは旭にとっては、直子の味だった。
でも休みの朝は旭はホットケーキとか前日から仕込んだパンなんかを
直子のために作った。
直子はどこで習ったのと言いながらいつも感心して賞賛してくれた。
そして旭が呆れるほど食べた。
だって美味しんだもんとニコニコして食べた。
お揃いよ、と直子は買い物に出るとT-シャツとか、枕カバーとか
買いこんで来た。
旭も時間があると、会社の帰りにお揃いのものを探した。
あの頃は楽しかった、
旭は一人ぼっちの休みの日に思い出にふけった。
白骨死体があがって警察は行方不明・家出人リストから届け出を出した
家族を当たっていた。
それが直子の今村家に連絡があったのは死体があがって半年も過ぎてからだった。
直子には虫歯治療のあとなどなかった。
警察の連絡に家族全員がまさか、直子が・・・と即日の対面にはならなかった。
警察は直子の両親のDNA鑑定を提案した。
やるだけやってみたら? と弟の好古が言った。
そのほうが直姉ちゃんが無事な証拠にもなるし。
しかし、警察からの知らせはDNAが一致したというものだった。
夕方のニュースで先日発見された白骨死体の身元がわかったことを
旭は見た。
直子の母親は寝込んでしまった。
弟たちは学校を休んだ。
白骨化した死体を見にいったのは兄2人と父親だった。
葬式や埋葬の模様が誰の記憶にもはっきり残っていなかった。
警察は捜査を続けますとは言ったけど他殺か事故死か自殺かも
断定できていなかった。
警察はホテル裏の溝で発見された直子の白骨死体を行きずりの遺棄と
落下の両方で捜査していた。
真上のすべて部屋の指紋などの捜査はされたけど
時間がたちすぎ、特別な結果はでなかった。
兄2人は旭のことを警察に話した。
警察は旭のことも捜査に加えると言ってはくれた。
旭は捜査の進展をテレビのニュースと新聞で見ていた。