
90歳を過ぎた母の想いはいかばかりだったでしょう。
吾子が息子一人と娘三人なのですから、特別な母と息子の深い
繋がりが双方ともに精神的にあったようです。

過ぎた1年間の内の前半は、抗癌剤治療を医師のお薦めに沿って、
入退院を繰り返しながら行ったということでした。
頑張るだけは頑張ったのです。手術の難しい場所の肺癌で、
発見時既に進んでしまっていましたから、手術はできませんでした。
普通はげっそりと痩せるような気がしますが、兄の場合は
10キロも太り、浮腫んでしまいましたので、顔には皺一つなく、
化粧ののりも良く口も自然に閉じていました。髪も床屋に行った後
入院したらしくて、こざっぱりしていて、眉も整えられていました。
近しい身内に老人介護施設で働く人や看護師もいて、皆で遺体を綺麗に
清潔に整え、服に着替えさせ、革靴を履かせたところで、牧師先生が病院に
いらして下さいました。丁度午後7時私達の見守る中、先生と亡き兄の
対面となりました。