凌霄花燃へ尽きるまで美しき
源氏物語が紫式部によって書かれてから、丁度千年になるという。
平安朝宮廷の王子の人生を書いた、官能、恋愛小説で、
宮廷文化の中での恋物語は、女性なら尚更興味津々である。
文武に長けたハンサムボーイ光源氏は、東宮候補に入っていたが、
異母兄弟の兄(朱雀)が東宮になった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0063.gif)
東宮の婚約者(朧月夜)とも
お先に失礼といった風に、恋人にしてしまうモテモテぶりは、
天性のプレイボーイだなと思わされる。沢山の恋愛遍歴の中でも、
18歳の時、父君(桐壺帝)の後添え(藤壺)にも光源氏の子供が生まれ、
禁断の恋もしていて、ただただ驚くばかりだ。藤壺は源氏とは5歳年上くらいである。
この時の子供は、後に朱雀帝が譲位すると、11歳にして次の帝(冷泉帝)になるが、
むろん源氏は自分が父であることを未だ言えない立場であった。
のうぜんかずらの花は、めらめらと燃え立つ飽くなき人間の
感情や激情のイメージを彷彿とさせる。
それは地に落ちても、夥しい量の花がそのままへばりつく様に
生々しく赤いという姿をよく見るからである。
さて「源氏物語」の一大長編小説は、光源氏というモテ男の一生を
中心に、今流行の韓国時代劇ドラマにも劣らぬ興味深い内容なので、
1000年も人気作品なのだと思う。
作者の紫式部は、紫の1字をとって「紫の上」という北山で見初める、
この上なき愛くるしい10歳の少女を登場させ、源氏が引き取って、
自分の好みの女性へと育て上げ、後に正妻にするが、源氏51歳の時に
病死してしまう。
また、禁断の恋は、母の面影を持つ藤壺だけではなく、異母兄弟の兄
朱雀院の娘、14歳の内親王を、親代わりに世話をして欲しいと兄から頼まれ、
断わりきれず引き取るが、紫の上より高い地位に置き正妻として、
「春の御殿」に住まわせる。この女性が「女三の宮」であるが、この時
源氏は40歳となっているので、その頃は余生であって隠居の年齢でもある。
「春の御殿」の他に、夏、秋、冬の御殿も勿論あるわけで、夫々に愛してきた
大切な女性達をこれら「六条院」に優雅に住まわせている。
夏の御殿には「花散里」を秋の御殿には養女「梅壺」を冬の御殿には
「明石の君」なのであった。
紫の上はストレスからか病死してしまうので、これは切なくも儚い終焉か。
でも幸せな時が長かったので、良かったと想うことにしよう。
紫の上を失って、すっかり気落ちしている源氏に追い討ちをかける
出来事が発覚し、ますます源氏の君はその光を失ってゆくのである。