福田隆浩 著者

講談社
6年生の准(じゅん)は、人気のない教室で
転校生の小野佳純(おのかすみ)の机の中に汚れた雑巾が押し込まれているのに気づき、それを引っ張り出していた。最近、女の子達が、佳純に意地悪しているのを知っていたからだ。そこに、佳純がやってきて、心配してくれたことにお礼を言い、
二人は仲良くなった。二人とも月森和というミステリー作家のファンだった。准は
月森和の人気の最新刊を返却前に佳純に読ませてあげるという理由で県立図書館で待ち合わせをした。受験で忙しい准だが、次の日も、同じように図書館で待ち合わせをし、読書の時間を共有した。二人とも、
この時間がもっと続けばいいのに・・と
思った。帰宅した准は、父親から月森は、別名で他のジャンルで本を出版しているらしいということを聞き、佳純とまたこの話題で時間を共有したいと思っていた。

自分たちの楽しみを見つけた二人が
いじめをはねつける強さをも
持ったところがじんわりと響いて
くる物語でした。