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涙と笑いと緊迫感 ー 演劇ユニット『磨心頑』旗揚げ公演 Part2

2008-10-25 19:16:38 | 演劇
 引き続き、16日~19日”てあとるらぼう”で上演された、
     演劇ユニット  『磨心頑』旗揚げ公演           
    「モンスタールーム」 ~大人たちの放課後~
   人は誰か一人でも自分をわかってくれる人がいればいい・・・
 
  の紹介と感想を。 (以下、敬称略にて、失礼します) 

 裁判官・正岡(岡本美登)、弁護人・小堀(大葉健二)、検事・若田(鈴木一成)で、死刑執行人希望(のぞむ=和田圭市)が見守る中、進行していた裁判だったが、正岡が隠し待っていた携帯で警察に、差し入れを持って突入する事を指示していた事が、ネットを通じて希望に発覚。事態は一変、激怒した希望が銃を構え、教室内は緊迫感に包まれる。

 夏木(真瀬樹里)も、自分も隠していたがどこにも連絡していないと、携帯を差し出す。「みんな偽造だらけ!」と信じていた夏木の裏切りに嘆き、正岡の会社の曾孫受け会社の、優しいおじいちゃんのような社長が、アスベスト被害で死亡したこと、その責任を認めない現実を正岡に突きつけ、アスベストの被害を公表するよう迫る、希望。正岡が頭を下げると、帰って来ない大切な人を失った悲しみに、希望の頬を涙がつたう。「僕たちも人間なんだよ。」振り絞るように言うと思わず夏木が「かわいそう」と言う「しょうがないよ、僕たち人間のくずだから・・・一緒に死のうか・・・」
狂暴な規模の姿は、消えていた。

 働いても働いても報われない悲しさを嘆く希望の姿が、切ない声と共に胸に迫るシーン。オタク青年の姿より、這い上がれない若者の悲しみが、舞台中央でスポットライトを浴び、うずくまって涙する姿から伝わってきて胸が熱くなる。ネットで知りあい慰めあっていた希望の、突然の強行に怯えていた夏木の心に、希望への思いやりの気持ちが芽生えていく。希望を見つめる真瀬樹里の表情の変化を、じっと見つめていた。

 校舎の下から「降りて来~い!」「一緒に死の~う!」と希望の父親(松井功)母(橋本有希)親の声がする。「親の欺瞞だ!」と、ガソリンをかけようとする希望を見て、これ以上刺激しないようにと、刑事(喜多川2tom)が両親を抑える。

 「親に向かって!」と、思わず夏木が希望の頬を叩くと、自分も嘘ついて、親に良い顔して、いい子ぶっていると、メールで話していたことを指摘され、「似非(エセ)親孝行かもね」と反論できず引き下がる夏木。

 林医師(春田純一)が、刑事を説得し、希望に許可をもらい教室へ。いくらのおにぎりの差し入れを頬張る人質達の緊張が一瞬ほぐれ、保護者の話から、林も又、夏木に担任してもらっていた息子を自殺で亡くし、他の家族もその時の火事で失った事実が分かる。
 林からおにぎりを手渡された夏木。校医だった頃、今は無き妻の握ったいくらのおにぎりが大好きで、何度も食べに来た希望クンのことを笑顔で話す林に、笑顔を見せる。

 春田純一の笑顔、温かい包容力のある演技が、緊迫感に包まれていた劇場全体を和ませる一時。

 「危ない!危ない!」と、ガソリンタンクを締めロウソクを消す林に、「調子に乗るな!」と銃を向ける希望。「時限爆弾が仕掛けてある、犯人が見つからなかったら、シャットダウンする!」と言うと、林が裁判官となり、裁判が再開される。互いの言い分で、保護者と夏木の間の溝が少しずつ埋まっていくようにも見えた、その時、希望が眠っているのに気づいた正岡に言われ、魚屋の網川(関根大学)が、銃を取り上げ、小堀(大葉健二)も足のナイフを奪う。希望が、銃を掴み胸に当て「撃ってよ!」と迫ると、もみ合いの中、銃は校長(町田政則)の目の前に。拾った手が震え銃は若田(鈴木一成)の前に。銃を手にした若田が、突然、「裁判続行!」と叫び、「自分は見方だ、一緒に夏木先生をいじめた犯人を見つけよう。」と、希望に銃を渡す。ナイフを小堀から奪い、妻が夏木を責め立てた事実を問いただす希望。「元教師の妻に悪意はない、自分は妻を殴って止めて来た。」と言う言葉に、「嘘はついてないね!傷つけて御免。」と、他の保護者を問いただして行く。突然、沼田(Miwa)が胸を押さえ苦しみ出し「早く救急車を!」と林。だが希望は、沼田の夏木への感情を問いただす。娘が登校拒否になったのは、夏木が娘を疑うような言い方をした為だった事、今は元気学校に通うようになり、恨んではいない事を話すと、「この人良い人だね」と刑事を呼んで開放した。

 仮病を使い開放して欲しいと騒ぐ校長を指し「こいつこそ夏木先生を助けなかった、張本人だと!」と、仲間のように振舞う若田を、「夏木先生のストーカー、ハンドルネーム・夏木っ子だ。」と告発する希望。女子のスカートの写真を取って宝物にしていると聞いて、娘の写真では?と激怒、若田の首を絞めあげる正岡。「そのまま殺しちゃいなよ!」希望の声に、我に返り手を離す。

 今度は、正岡の妻(田中美唯)が持病の心臓発作に襲われる。林が、沼田さんは、だたの興奮状態だったと白状すると、激怒した希望は、救急車を呼ぶのを拒む。「アスベストの被害報告を発表するから妻に救急車を!」と頼む夫の言葉を打ち消すように妻が声を振り絞り「自分がワープロで文章を打ち、夏木先生をマスコミにリークした。犯人は私です。」と告白する。林が「この人は違う!」と突然叫び、希望を止める。送ってきた文章は、週刊誌記事の切抜きで作ったものと、夏木に言われ、林から実物を見せられ、自分が知らなかった新事実に、愕然とする希望。果たして、犯人は誰なのか・・謎は深まる・・・・。

 銃を胸に当て「撃って!」と叫ぶシーンは、希望の絶望感が伝わって辛くなる。それでも、少しだけ人を信じ開放し、一方で「偽装はダメだよ!」と繰り返しながら、新たに若田の本性を告発する胸の内には、今だ、人間への疑心暗鬼が渦巻く。人間の醜さが前面に出る中盤の展開、そして、見えないところにも、実は人間の恐ろしさが・・・。(ラスト、全てが明らかになる?!)小道具を一切使わぬパントマイムの表現ながら、銃が移動するシーンは、役者の迫真の表情に、ハラハラドキドキしてしまった。

 ラスト、Part3へ・・・・

   
 
コメント
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