里の家ファーム

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自然の中に身を置いてみませんか?

世界を変える動きは2020年、大きく進む

2020年01月07日 | 野菜・花・植物

印鑰智哉のブログ 2019/12/28

 日本のニュースを読んでいると息苦しくなる。世界の真逆を走っているのに、まるでそれが当たり前のような情報ばかり。このまま日本がこの方向に突き進んだらどんな事態となるか、暗澹たる気分になる。でも、ひとたび、日本語圏から離れると異なる世界の動きが見えてくる。希望を感じさせる動きが始まっている。でもその動きは日本と無縁なものではない。それどころか、かつて日本で始まったものであったりする。なんということだと思う。青い鳥は我が家にいるのにいつまでも気がつかず、あるいは地上にある星は誰も覚えていない、というところか。
 「ゲノム編集」を含む遺伝子操作技術は食料生産の向上をもたらすと信じてしまっている人が少なくないようだ。人口が増える世界には不可欠、と。しかし、まず、これまでの遺伝子組み換え技術は食料生産の向上には寄与していないことは保守的な学会ですら認めている(1)。それに対して「ゲノム編集」では成長を抑制する遺伝子を破壊することで生産を増やせるというが、残念だが、それが実現できるのは限られた条件の中だけだ。なぜ、生命には成長を抑制する機能があるのかを考えてみればいい。それはその生命体が生き延びるために作り出した機能であって、それが壊れされた生命はもろくなるのは当然のことだから。光合成の仕組みに手を入れる方策もあるが、それもまた短絡した発想で、自然界の中では機能するとは思えない。
 これまで、生物の成長に化学物質や遺伝子操作で介入することによって、生産が向上するとわれわれは信じ込まされてきた。しかし、その介入が一因となって、生態系は劇的な崩壊現象を引き起こしている。あと30年ちょっとで世界の土壌の90%がダメージを受け、ハチなど多くの植物を支える花粉媒介者を含む100万種を超える生物が絶滅してしまうと警告が出ている。微生物から昆虫、植物、動物にいたる生態系の連携を壊してしまえば、これは人の手には負えなくなる。ハチを必要としない「ゲノム編集」植物とか、ハチの代替ロボットとか開発に向かっているが、あまりに馬鹿げている。取り繕える範囲はきわめて限られている。短期間すら維持できないだろう。
 
 人類の文明に懐疑的になってしまい、いっそのこと人など地球にいなければいいのか、そんな気分になってしまうかもしれないが、そんな時はアマゾンの先住民族がかつて残した土を見るといい。アマゾンの先住民族は炭や有機物を活用することで土壌細菌を育てる技術をすでに500年以上前に完成させていた。彼らが作り出した土(テーハ・プレータ、黒い土)は人の手が加えられない自然が作り出した土よりもはるかに多くの炭素などを含む生産性の高い土だった。土壌の中の生命を活発にさせる環境を作ることで生産性を上げることができる。彼らの文明は植民者たちの持ち込んだ病原菌で破壊されてしまったが、今、そのかつての技術が近年になって再発見されている(2)。
 人は自然と共存することは可能で、そして自然は人がいることでさらに大きな力を発揮することができる。自然、多様性、豊穣性、これがこれからのキーワードとなるだろう。問題はそのような方向でこの近代、人類は発展してこなかったことだ。むしろその真逆に突き進み、危機的な事態を招いている。だから反科学ではなく、その方向を反転させること。
 
 それができたら、今、警告されている生態系の崩壊、気候システムの崩壊という憂鬱なシナリオは変えることができる。そんなの夢物語だと思うかもしれないけれども、すでにその方法は存在している。今、動き出せば変えることはできる。必要なのは意志と行動のみ。すでに世界は動き始めている。
 2020年はそのような動きが世界で弾け、大きく拡がる年になるだろう。日本もその動きに無縁ではありえない。果たしてわれわれは日本の中にある解決策を再発見しているだろうか?
(1) 遺伝子組み換え技術は農業生産性を向上させない

(2) テーハ・プレータについて


リゾートホテルと農業?!

2019年12月17日 | 野菜・花・植物

リゾートホテルと農業?! 星野リゾートの新たなコンセプト「アグリツーリズモ」とは

ハフポストはじめてのSDGS
  2019年12月17日
「観光農業の収穫体験だけでは、いまの消費者の価値観に追いついていない」中瀬勝之・総支配人が思いを語った。

  サステナブル・ブランド ジャパン 


©️星野リゾート
62平米のデラックスメゾネットは、なんと「田んぼビュー」


星野リゾートは栃木・那須町にリゾートホテル「リゾナーレ那須」をオープンした。同ホテルは農業と観光を組み合わせた「アグリツーリズモリゾート」をコンセプトに掲げる。ラグジュアリーな宿泊施設でありながら土づくりや野菜の間引きなど、本格的な農業の工程をアクティビティとして提供し、宿泊客の自然や環境への関心や取り組みを促す。中瀬勝之・総支配人は「観光農業の収穫体験だけでは、いまの消費者の価値観に追いついていない」と時代を分析し、「一次産業が盛んな那須町の農家と、訪れる人をつなぐハブを目指す」と地域への思いを語る。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

 リゾナーレ那須の温室「グリーンハウス」


栃木の一大リゾート地、那須高原が広がる那須岳の山麓、標高約500メートルまでJR那須塩原駅から車で40分。道中の車窓からは左右に豊かな田畑風景を望むことができる。水源の近い那珂川を渡り、勾配を登って一層「里山」の雰囲気が濃くなった森の中に、ふと瀟洒(しょうしゃ)な建物が目に入る。星野リゾートが11月にオープンしたリゾートホテル「リゾナーレ那須」のエントランスだ。

­­­「那須町は一次生産が盛んな町です」とリゾナーレ那須の中瀬勝之・総支配人は話す。総土地面積に対する耕地面積は全国で11.9%のところ那須町では14.9%。農家のうち、経営耕地面積30アール(3000平米)以上または農産物販売額50万円以上の「販売農家」が占める割合は全国で61.7%だが那須町では77.4%にのぼる。那須塩原駅からリゾナーレ那須に到着するまでに見る景色は、数字以上に土に触れることを生活の糧としてきた人の多さを感じさせる。
 
リゾナーレ那須が掲げるアグリツーリズモとは

Ⓒ星野リゾート
アクティビティ施設「POKO POKO」には託児機能も


「アグリツーリズモ」はイタリアで発祥した、農家が空いた部屋などを旅行客の宿泊場所として提供し農業を観光とする、日本の「農泊」に近いツーリズムだ。農泊とは違い、近年では高級ホテルのような施設やサービスを提供するケースも見られる。リゾナーレ那須は「日本で初めてアグリツーリズモリゾートをコンセプトにした宿泊施設」だという。

4万2000坪の天然の森の中に43室の客室が点在し、敷地内には那珂川支流の自然の小川が流れる。農園「アグリガーデン」では野菜が栽培され、滞在客は収穫期以外の時期にも「間引き」や「土づくり」といった工程でいつでも好きなときに農業を体験することができる。

 Ⓒ星野リゾート
施設内と近隣農家で獲れた約30種の野菜を使用した前菜


農作業をレクチャーしてもらえる「ファーマーズレッスン」や「ハーブティづくり」などのほか、焚火での「焼き芋ミッション」で集めた落ち葉は農作業の温床や肥料に利用されるなど、施設全体で「自然」や「環境とのふれあい」を意識したプログラムを組む。「グリーンハウス」と名付けられた温室でも野菜、ハーブを栽培しているため、天候に関わらず体験が可能。ディナーやアクティビティ拠点「POKO POKO」で提供される、施設内や周辺の農家で獲れた旬の野菜をふんだんに使った料理も魅力的だ。

いまの価値観に沿う農業体験
豪華なリゾートホテルのブランディングと農業はどのように結びついたのか。「高級であれば良いわけでなく、自分らしい暮らしや環境への配慮、ライフスタイルの実現といった価値観を求める方が増えていることを実感していました」と中瀬総支配人は話す。リゾート観光の視点から農業にアプローチするアグリツーリズモリゾートというコンセプトは「那須町で提案する新しい旅のスタイルとして星野リゾートらしく、ぴったり」だったという。

アグリツーリズモリゾートを掲げ開業するにあたって、周辺の農家に指導を仰ぎながら、スタッフ総出で開墾し、種を植えて敷地内の畑をつくりあげた。その中で「収穫体験を提供するだけの観光農業では、いまの消費者の価値観に沿う農業体験に追いついていない」という思いが強まったと中瀬総支配人はいう。

Ⓒ星野リゾート
アグリガーデン


「種を植えるときには土に触れ、そこに虫がいる意味や、どうして野菜を間引くのかといったことまで農家さんに教わりました。それを少しかみ砕いて、お客様に興味を持っていただけるように伝えることは、これまで星野リゾートがしてきたことの延長でもあります。

収穫以外の工程にこそ、求められている価値観の表れがある気がしています。農業の価値、農作物の価値、農家さんの思いをきちんと宿泊客に伝え、地域の農家さんにも嬉しいと思ってもらえる施設をつくりあげたいと考えています」(中瀬総支配人)

環境の課題へ多角的なアプローチ
星野リゾートは2011年、軽井沢事業所(※)でホテル業界初のゼロ・エミッションを達成した。「星のや軽井沢」では自家水力発電と地熱利用設備の導入、温泉排熱利用設備の導入によってエネルギーの約7割を自給自足する。2019年には全施設でのホテルアメニティの詰め替え式への変更を進め、ペットボトルフリーへの挑戦を開始するなど、環境経営の施策を積極的に進めている。(※星のや軽井沢、軽井沢ホテルブレストンコート、星野温泉 トンボの湯、村民食堂、ピッキオの計5施設)
そうした中で「環境への思いを伝える」ことを掲げ開業したリゾナーレ那須だが、これまでの取り組みとは少しアプローチが違う。「環境への思いを表現する方法のひとつとして、那須町で、このスタートラインから、と考えたときには、本質的な農体験を通じてお客様に環境への関心を持って頂くという方法をとりたいと思いました」と中瀬総支配人は説明する。将来的には軽井沢事業所での取り組みをリゾナーレ那須に取り入れたり、那須町での取り組みが軽井沢事業所に反映されることも考えられるという。

「リゾートホテルにおいて、自然や環境が資源だと星野(星野リゾート 代表 星野佳路氏)も普段から話しています。多角的な切り口、アプローチのうちのひとつという位置付けです」(中瀬総支配人)
 
那須町でリゾナーレ那須が一次産業に関わることで、地域の農家の活性化を促すことも狙いのひとつだ。「星野リゾートを通じて周囲にたくさんいらっしゃる地域の農家さんの良いところをお客様に知ってもらうという、ハブの役割をすることで地域に貢献できるのではとも考えています」と中瀬総支配人は明かす。

収穫時期は農家の繁忙期だ。観光客のために時間を用意することが負担だという声は、地域の農家から多く聞くという。そこで農業に密接した取り組みをし、スタッフ自らが土に触れているリゾナーレ那須の強みを生かすことが考えられる。

今は敷地内での農業体験プログラムにとどまるが、「私たちが率先してお客様を農家さんへご案内し、例えば収穫できずに破棄されてしまう農作物を収穫、パッキングする工程までをアクティビティとして提供し、野菜を出荷できる状態にすることができれば、農家さんも嬉しいしお客様にも喜んでもらえる。そういった取り組みも考えられます」と今後の展開に意欲を見せる。

「星野リゾートは人が集まるところに宿泊施設を建てるという『宿泊業』のホテルとは一線を画しています。『観光業』を行い、その手段が宿泊だ、と思っています。地域の観光を盛り上げるということが私たちの使命だと、強く意識しています」(中瀬総支配人)

星野リゾートが環境課題や地域の課題解決につながる事業を行う原動力は、その矜持なのだろう。


こんなことがやりたかった。もう、過去形かよ!


ネオニコチノイド農薬

2019年12月16日 | 野菜・花・植物

ネオニコチノイド農薬 魚の餌減らす
宍道湖 ワカサギ・ウナギ激減
「しんぶん赤旗」2019年12月16日


産総研、山室特定フェローら調査
 島根県松江市に面した宍道湖(しんじこ)。日本海とつながり、海水と淡水がまじりあう汽水湖で、シジミをはじめとした魚介類は「宍道湖七珍」と呼ばれ、松江を代表する味覚となっていますが、近年、七珍に数えられるウナギやワカサギが激減し問題となっていました。産業技術総合研究所(産総研)の山室真澄特定フェロー=東京大学大学院教授と東京大学、島根県保健環境科学研究所、名古屋市環境科学調査センター、千葉工業大学の研究で、水田などで使われるネオニコチノイド系農薬の影響で魚の餌となる生物が激減したためである可能性があることが明らかになりました。(原千拓)

 産総研は1990年代、宍道湖を対象に植物プランクトンの生産量の増減と水生生物の関係について調べたことがあります。この中で、同湖ではその当時、湖水の窒素やリンなど植物プランクトンに必要な栄養源が増えているのにもかかわらずワカサギやウナギの漁獲量が減っていることがわかりました。しかしその原因については解明されていませんでした。
 その後2012年にはヤマトシジミの漁獲量が激減。産総研などの研究グループは12年から宍道湖にすむ多様な水生生物と環境の関係を総合的に検討する研究を始めました。
環境に流出、分解しづらく
 ヤマトシジミが激減した原因は、湖の塩分濃度の低下によって餌となる植物プランクトンが減少したためでした。翌年に塩分濃度が上がりヤマトシジミの漁獲量は回復しましたがウナギやワカサギの漁獲量は回復せず、90年代から漁獲量の低レベルが続いていることがわかりました。山室さんは塩分や水温などの水質以外のさまざまな要因の可能性を調べ始めました。
93年から激減
 底生動物の餌と密接にかかわる湖底堆積物の有機物濃度に大きな変化は見られませんでした。しかし一方で節足動物の減少が著しく見られ、特にオオユスリカは82年には1平方メートルあたり100個体以上生息していましたが16年にはまったく採集されませんでした。
 かつて宍道湖では羽化したオオユスリカが毎年のように大量発生し、堆積した死骸によって道路でスリップ事故が起こることもあったほどだったといいます。調査の結果、93年以降、突然生息しなくなったことが分かりました。
 また、宍道湖の動物プランクトンの大部分を占めるキスイヒゲナガミジンコについて生息数の推移を分析した結果、93年5月から激減していたことも判明しました。
 オオユスリカの減少は諏訪湖や琵琶湖、霞ケ浦でも見られています。山室さんたちは、地理的に離れ、塩分などの水質環境も異なる湖で同じような現象が起こっていることに注目。関連するできごとを調べたところ92年に、日本で「イミダクロプリド」がネオニコチノイド系農薬として初めて登録されていました。山室さんたちは、田植えが一斉に行われる93年5月ごろに使用され始めたと推測しました。
汽水域の特性
 ネオニコチノイド系農薬は水溶性で植物体への浸透移行性を持ち、効果の持続性にも長(た)けています。このため、環境に流出してから分解、消滅するまでに時間がかかります。この特性からネオニコチノイド系農薬の使用が、宍道湖の魚類の餌となる動物を減少させ、間接的にウナギやワカサギの漁獲量の激減を引き起こしたと考えられます。
 山室さんは「メーカーはネオニコチノイド農薬のメリットとして水に溶け植物に浸透し分解しづらいので何度もまかなくてよいとうたっていますが、水域の動物にとってはデメリットになってしまう」と指摘します。
 山室さんは今回の研究成果に結びついた要因に宍道湖ならではの汽水域の特性をあげます。
 「汽水域は塩分が変動する場所で浸透圧を調整できる動物しかすめません。宍道湖において二枚貝はシジミだけ。動物プランクトンは99%がキスイヒゲナガミジンコです。宍道湖ではネオニコチノイド農薬の耐性が弱い動物プランクトンとオオユスリカが一気にいなくなることでワカサギやウナギの餌がなくなってしまったと考えられます」
 山室さんは水田でのネオニコチノイド農薬の使用のモニタリングについて、次のように注意を促します。「晴れの日の通常のモニタリングでは検出される濃度は低いですが雨が降った時に水田にたまったネオニコチノイドが一気に流出し濃度が上がります」
欧州では規制
 ネオニコチノイド系農薬はミツバチの大量死の原因と疑われヨーロッパでは規制を強化する傾向にあります。ネオニコチノイド系農薬が河川や湖沼の生態系に与える影響について検証されたのは世界で初めてです。
 今後の研究について山室さんはこう話します。「今回の結果からネオニコチノイドに対してとても敏感な動物がいることが分かりました。宍道湖で起こっているようなことが海外の汽水域で起こっているとしたら、その影響が沿岸域の生物生態系にも及ぼしていると考えられます。オオユスリカなど淡水の動物が汽水に入ってきた時の耐性や汽水に生息する生物の耐性を調べる必要があります」
 研究結果の論文は11月1日、英文の科学誌『サイエンス』に掲載されました。
EU禁止後も残留・汚染
ミツバチに影響 フランス国立科学センターなど調査
 ネオニコチノイド系農薬はミツバチの大量死の原因と疑われ、ヨーロッパ連合(EU)では2013年から、ミツバチを引きつけやすいナタネなどの作物に限り3種類のネオニコチノイド系農薬の使用を暫定的に禁止しています。しかし、その後も3種類のネオニコチノイド系農薬がナタネの蜜にまで残り、ミツバチなどの生物に影響を与える汚染レベルであることが、フランス国立科学研究センターやフランス国立農学研究所などの研究グループの調査で明らかになりました。
 研究グループはネオニコチノイド系農薬が制限された後の14年から18年までの5年間、フランスの291カ所の農場で栽培されているナタネの蜜536サンプルからネオニコチノイド残留物を分析しました。
 その結果、3種類のネオニコチノイド系農薬が蜜から検出され、イミダクロプリドは分析した蜜の43%(調査した畑の約半分の範囲)で、毎年検出されました。
 イミダクロプリドが検出された蜜の大部分はイミダクロプリドの濃度が1ミリリットル中0・1から1ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)でしたが、最大濃度が70ナノグラムに達する蜜もありました。
 蜜に含まれていたネオニコチノイド系農薬によるミツバチへの死亡リスクのピークは14年と16年にみられ、調査した農場の12%で死亡率が約50%に達するレベルとなっていました。
 研究の結果は環境学誌『サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロメント』(11月28日付)に発表しました。


  これから町内会の年末総会です。その後、忘年会。そんなに遅くまでいるつもりはありませんが、一応記事をアップしておきます。

 明日は雨の予報が出ています。変な天気です。


知られざるコーヒー危機。低価格のコーヒーが奪う私たちの未来とは。

2019年11月11日 | 野菜・花・植物

「コーヒーは今や、単なるカフェイン摂取の手段ではありません」。専門家は、損失の深刻さをこう語ります。

  ハフポストはじめてのSDGS  2019年11月09日

朝に忙しなく啜る目覚めの一杯や、昼下がりに職場で挽く至福の一杯。秋に欠かせないパンプキン・ラテに、とびきり美味しい夏のコールドブリューなど、コーヒーは私たちの生活に欠かせないものだ。

しかし、コーヒーを愛して止まない私たちの背後で、コーヒー産業が今、危機に直面していることはあまり知られていない。常に種類が増え続けているかのように感じるコーヒーだが、その多様な味や香りが失われる可能性が十分にあるのだ。貧困や気候変動による影響、疫病の流行により、小規模なコーヒー農家を廃業へ追い込み、大量生産する企業の手に渡っていく。

一度その多様なバリエーションが失われると、同じ味を取り戻すことはもう出来ない。2019年に行われた調査によると、野生種のコーヒーのうち60%が、森林伐採や気候変動、菌類病原体や害虫の悪化によって絶滅の危機にあるという。

それは私たちの朝の過ごし方から、多くの選択肢を奪うことにもなる。低所得国における農業者の利益を守る機関、Fairtrade International(フェアトレード・インターナショナル)でコーヒー担当を務めるピーター・ケトラー氏はその可能性を危惧している。更に彼は「コーヒーは今や、単なるカフェイン摂取の手段ではない」とその損失の深刻さを語った。

今や一大産業のコーヒーは、全世界で約9兆円を売り上げている。アメリカでは一日に4億杯以上のコーヒーが飲まれており、その消費量は過去4年間で3%増加している。世界的な生産も成長を続けており、その筆頭であるブラジルとベトナムは既に、合わせて世界全体の生産量の半分以上を占めている。

しかし供給過剰により、コーヒーの価格はここ10年で最低レベルまで低下している。それに伴い、ホンジュラスやブルンジなどといった途上国の多くの生産を担っている小規模農家を中心に、栽培者はその継続に困難を抱えている。

Fairtrade Internationalによると、約60%の農家が栽培コストよりも低価格でコーヒーを販売しているという。今日1ポンドあたり1ドルの市場は、経済的に貧しいホンジュラスやブルンジなどが元を取るのに必要だとケトラー氏がいう1ドル20セント〜1ドル50セントを下回るという。

価格の低下は小規模農家にとって、気候変動の脅威から作物を守ることも困難にする。干魃頻度の増加や長期化、葉サビ病などの原因となる菌類病原体の脅威など、問題は様々だ。

過酷な貧困と気候変動の二重苦により、ラテンアメリカのコーヒー農家がその地を離れることを余儀無くされ、その多くが雇用を求め北上している、と報じられている。ホンジュラスのような小国が撤退の一途を辿る一方、ブラジルやベトナムといった大規模運営の中心国は、更に産業に幅を利かせている。

「大きな農園を構えることのできない山岳地で栽培されているコーヒーもあります。こういった農家は、気候変動や疫病といった危機の中、大企業と比べ競争や対応が難しいのです」とケトラー氏は語る。

巨大な農業企業は、単一栽培の商業利益に恩恵を受けているようだ。短期的に見ると、種類を少なく限って多く生産した方が効率的になる。現在の世界のコーヒー貿易は、たった2種に頼っている。生産の60%を占めるアラビカ種と、40%を占めるロブスタ種だ。

しかし、大規模なコーヒー農家が今まで無視し、絶滅の危機にある種が、今後の世界のコーヒー供給の鍵を握っているかもしれない。気候変動や疫病に耐えて繁殖を続けるには、他の品種が必要だとリサーチャーたちは言う。

絶滅の危機や、危惧すべき被害は、コーヒーだけに止まらない。他の食料システムの多様性も狭まってきている。実際、地球上には3万種もの可食植物があると推定されているにも関わらず、私たちが摂取している植物由来のカロリーのうち60%は小麦、トウモロコシ、米で成り立っている。

食料保安と環境保全の研究者であるレノア・ニューマン氏の著書「Lost Feast」によると、地球規模で見ると、野菜の90%から95%、フルーツの80%から90%が既に1950年以降に絶滅しているという。

「図書館いっぱいの本があったのに、その殆どを燃やしてしまったようなものです」とニューマン氏は語る。

この問題を解決するための第一歩は、多様性の価値を認識することだとニューマン氏は話す。可食植物を失うことは、単に味や香りを失うだけではなく、気候変動や疫病に対抗するための品種を失っていることでもあるという。

更にニューマン氏は、特定の種のバナナ栽培に依存した単一栽培を例に取った。アメリカで食べられている品種の主を占めるキャベンディッシュ・バナナは今、2つの致命的な疫病による被害に直面している。しかし、栽培者の多くはキャベンディッシュ・バナナの栽培のみに注力していたので、それに容易に取って替わることのできる、これらの疫病に抵抗力のある他の選択肢が無く困窮しているという。

小売業者、政府、消費者ともに、地元の食物生産を促し、支援すべきだ。「季節に準じた地域生産は『食』の多様性を支えるのに欠かせないもので、世界各地から輸入される食べ物に頼る事よりも大切です。」とニューマン氏は続ける。「個人が近所の農家をサポートすることも大切です。そういった人たちのお陰で『食』の多様性は保たれているのですから」

コーヒーには、消費者が店頭でラテに支払う金額から、より多くのお金が農家に渡る事が重要だ。「コーヒー市場は元々、途上国からできるだけのお金を搾取する目的で始まった」とケトラー氏は語る。「収益を出しているので商業的なレベルで行われていますが、栽培する側にとっては酷く不平等なものです」

ケトラー氏は、コーヒーに支払うべき相応しい金額を消費者が払うことや、農家が消費者に直接販売するのを支援する事が大事と主張する2019年10月にコロンビア大学の教授が発表したレポートについて言及した。より多くの歳入を得ることで、農家は驚異的な気候変動への対策を取ることが出来るようになり、栽培を続ける意思を持つことが出来るとのことだ。

この問題を放置し、コーヒー農家の生活が困窮して行くのを黙って見ていることも出来るであろう。しかしそれは、「朝の1杯」の選択肢を非常に乏しいものにすることを意味する。「何かが変わらなければ...」とケトラー氏は続ける。「20年後にはカフェで注文できるメニューはたったの2種類になってしまいます。ブラジル産とベトナム産の2択にね」


ゲノム編集食品 選ぶ権利を奪うのか

2019年10月07日 | 野菜・花・植物

  東京新聞社説 2019年10月7日

 ゲノム編集食品解禁。人の手でさまざまな特徴を付与された野菜や魚が、食卓に並ぶことになる。だが、ゲノム編集であることを表示する義務がないのは不可解だ。消費者には「選ぶ権利」がある。

 ゲノム編集とは、生命の設計図といわれる遺伝子を、より正確に切ってつないで、生き物に新たな形や性質を人工的に与える技術である。遺伝子組み換えの進化形と言えるだろう。

 肉厚のマダイや血圧を下げる成分を多く含んだトマト、アレルギー物質の少ない卵…。さまざまなゲノム編集食品が、日本のスーパーなどにも順次、お目見えすることになる。

 消費者としてはいずれも魅力的だが、店頭に並ぶに際して気がかりなことが二つある。

 第一に、国による安全性の審査がない。

 従来型の遺伝子組み換え作物(GMO)は、食品会社が毒性や発がん性の有無などのデータを国の食品安全委員会に提出し、厳格な審査を受けることになっている。ところがゲノム編集食品の場合には、他の生物から新たな遺伝子を組み込まず、自前の遺伝子を切り張りするだけならば、届け出だけで、審査は必要ないとした。

 それ以上に不可解なのは、ゲノム編集食品であることの表示を義務付けないという、消費者庁の判断だ。遺伝子の切り張りは、交配による品種改良と同じメカニズムなので自然のものと見分けがつかず、表示義務違反があっても摘発が難しいからだという。摘発が難しいから義務付けない-。それでは本末転倒ではないか。

 狙った遺伝子を切り取る精度は格段に進化した。しかし「オフターゲット(切り間違い)のリスクはゼロではない」と、専門家も指摘する。将来世代に影響が表れないという保証はない。口にするのを不安に思う消費者が、少なくないのも当然だ。

 欧州連合(EU)は、GMOと同等に扱い、当局が検査し、流通記録を保管、販売時に表示する義務を課す。米国でも表示義務はないものの、消費者団体が流通経路をさかのぼり、バイオ企業の特許を調べ、独自の表示をしようと試みている。わが国でも何らかの対応ができないか。知恵を絞ってほしい。

 何もせず非表示では不安をあおる。生産者も販売者に表示を促すべきだ。それでこそゲノム編集のメリットをアピールできる。「選択」は消費行動の基本である。


「命」をこのように変えてもいいものか・・・・・

落葉キノコ

デカ

ヤナギタケ。手が届かず断念。


ペットとぶどう

2019年09月14日 | 野菜・花・植物

ブドウ中毒でペットの命が危険に? 留守中の管理を徹底して危険を回避

  石井万寿美  | まねき猫ホスピタル院長 獣医師

 9/13(金) 8:00YAHOOニュース

 朝晩、ずいぶん過ごしやすくなってきました。夏を過ぎて、愛犬が少し疲れているようなので、秋の味覚「ブドウ」をあげてみよう、と思うことはありませんか?紫の濃いブドウは、ポリフェノールが豊富だし、抗酸化物質だから犬にもいいはず!と思ってはいませんか?

 自宅に帰ると、テーブルに置いてあったブドウが無くなっていて、どうも愛犬が食べてしまったようだ・・・吐いた後があり、犬の様子も何かおかしい。

もしかしたらそれは「ブドウ中毒」かもしれません。

あまり知られていないようですが、実はブドウは、犬にとっては毒性のある食べ物なのです。

今回は、なぜ何故犬や猫にブドウをあげるとよくないかを解説します。

ブドウ中毒とは何か

 最近、犬がブドウを食べると急性腎不全になる可能性があることがわかりました。アメリカの研究で、2001年に犬がブドウやレーズンを食べた後に、急性腎不全を発症した10例を発表したことから、このブドウ中毒が知られるようになりました。

 日本では、2010年の『ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1例』が日本小動物獣医学誌に掲載されました。何故そうなるのか、原因物質はまだはっきりとわかってはいませんが、科学の進歩とともに今後解明されるでしょう。現時点では、臨床現場でブドウは犬や猫に食べさせてはいけないものと認識されています。

ブドウ中毒の症状

・嘔吐・下痢・食欲不振・意識が朦朧とする・尿の量が多い・症状が進むと尿が出なくなる

などが急性腎不全の症状です。

どんなブドウでも毒になる

・赤いブドウ キングデラ(キングデラウェア)

・緑のブドウ シャインマスカット

干しブドウ (レーズン)

どんな種類のブドウでも、中毒になるといわれています。

ブドウ中毒の実験数は、まだ多くはありません。

 犬が食べてはいけないものとしてはタマネキが有名ですが、実はブドウも入っているのです。

飼い主が注意していただきたいこと

・パンやチーズ、ビスケット、シリアルなどに、ブドウが入っていることがあります。飼い主が見ていないときに、誤って食べてしまうことのないよう注意してください。

ブドウを食べてしまったら

・ブドウを食べた可能性があれば、すぐに動物病院に連れていき、血液検査をしてもらいましょう。

・水分を多くあげましょう。( 飲めるようでしたら、体重1kgあたり、20mlは飲ませてください。)

ブドウ中毒の治療

 ブドウ中毒には解毒剤はありませんので、獣医師は下記のような治療を施します。

・血液検査による腎臓の値(尿素窒素、クレアチニン) が高くないか。

・尿検査で蛋白尿、血尿などが出たら。

・電解質に異常がないか。

・カルシウム、リンが上昇していないか。

・脱水していないか。

などを調べて診断して、

・ブドウを食べて1時間以内の場合は、吐かせる。

・24 時間の静脈点滴を行うことで、ブドウが持っている中毒物質が薄まり、尿として排泄されます。

・炭素の吸着剤を内服させる 。体の中にある尿素窒素の吸着の手助けをしてくれます。

対処方法で治療をします。

ブドウ中毒の予防

・ブドウ、干しブドウ(レーズン)は、絶対にあげない。

・お菓子などにブドウが入っていることもあるため、そのようなものをあげる場合には、内容成分をよく確認する。

・テーブルなど、犬が届くところにブドウを置かない。

・ブドウ狩りには、犬を連れて行かない。

・尿が出ているか、量は以前より多くないか、血が混じっていないかなども見てください。

ブドウのほかに犬に与えてはいけない食べ物の代表例

タマネギ、ネギ

 有機チオ硫酸化合物が赤血球を破壊して、多量に摂取すると貧血を起こす。

 チョコレート

 テオブロミンが震えや心悸亢進などの神経症状などを起こす。

アルコール

 犬はアルコールを分解する酵素を持っていないためずっと体内に残り、人間でいうところの二日酔いの症状に。

カフェインの入ったもの (コーヒー、紅茶、緑茶など)

 興奮などの神経症状を起こす。症状は、チョコレートに似ています。

キシリトールの入ったもの (歯磨き剤、ガムなど)

  低血糖を起こして、食べすぎると意識不明になることも。

まとめ

 今は、ラブラドールレトリバーのなどの大型犬でも、ほとんどが室内飼いです。飼い主が留守の時、彼らは「何か食べるものはないかな?」と探しています。彼らの興味は、なによりも食べ物です。食欲の秋が到来し、彼らをブドウ中毒に巻き込むか否かは、飼い主の知識とお部屋の管理にかかっています。犬がブドウやブドウ類を口にしないよう、くれぐれも注意してあげてくださいね。

 


秋の気配

 


さくら開花

2019年05月04日 | 野菜・花・植物

ようやく咲きました。昨年と同じ日でした。やっぱり、変わらないものです。
 住まいのある方は今日も霜が降りてます。氷点下にはなっていないようですが。

まだ近くに雪があります。
今日は今季初の20度越え、22℃まで上がったようで、ハウスも初めて全開でした。

モンシロチョウも初見。
友人よりブルーベリーの成木3本いただいた。

植え終えて、少し剪定します。
桜もアップしておきましょう。


桜と北こぶし。
明日はさらに暑くなる予報です。


種まき

2019年05月02日 | 野菜・花・植物

ほぼ、一日中☂。
江部乙の市街地では桜が咲き始めました。
わたしの圃場の方の桜は、写真を見る限りではかなりピンクっぽいですが、まだ咲いていません。
今日の気温も10度前後のメリハリのない気温でした。
明日は日も射すようで,15℃まで上がりそう。
明日は開花するでしょう。

こぶしの花が納屋の屋根上に。

山わさびをすっているところですが、鼻・目・のどが痛くて長くできません。

こちらは、種まきの新兵器。

笹・ヨモギなどの中が空洞のものを斜めに切って使います。小さな種ですので指ではなかなか・・・


<虐待なくすために>(3)保育に志抱ける環境を

2019年04月13日 | 野菜・花・植物

 東京新聞社説 2019411

  高知市中心部の保育園で園長をしていた前野當子さんが、沢田敬医師と出会ったのは二十年ほど前の園長会での講演だった。

 当時、複雑な事情を抱えた家庭の子どもが増えていた。心のもやもやが、園での乱暴な言葉やふるまいという形で噴き出していた。

 その後、仲間の保育士と沢田医師との勉強会を重ねた。子どもには「甘え」を受け止めてくれる存在が必要。もし親の心が弱って受け止められない状態ならば、親も支えてあげた方がいい-。そんな話を聞くうち、「(園にとっての)困った保護者」は、困り事を抱えた一人の人間だと想像できるようになった。

 「親なのに何でこんなことができないの」といういら立ちが、「しんどい中で、よう育ててきたね」という共感に変わると、保護者の方から悩み事を打ち明けてくれるようにもなった。

 いつもミニスカート、ハイソックスで一歳の子どもを預けに来る若いお母さんがいた。下にはゼロ歳児もいた。園を出てから翌朝登園するまでおむつが交換されていない日が続き、見かねた前野さんが家を訪ねると、こたつに電気が入っておらず、食べ物はふかしたイモしかなかった。生活保護の申請に付き添った。

 子どもの父親は家を出ていたが、三人目を身ごもっていた。園に来なかった日に家に行くと、自宅で一人で出産していた。赤ちゃんは低体温症で「菜っ葉色」になっていたが、救急車を呼び一命を取り留めた。

 その後、生い立ちを打ち明けられた。母親はアルコール依存症で自分もお風呂場で産み落とされたこと。施設に預けられたが、家に戻った後、よくたたかれたこと。子どもが卒園するときには「先生がお母さんだったら良かったのに」と抱きつかれた。お母さんは現在、三人目は里子に出しているが二人は自分で育てている。

 前野さんは十年前に定年退職し、沢田医師とともにNPO法人「カンガルーの会」で虐待予防に取り組む。保育園でも研修会をしているが現場のあまりの忙しさが気掛かりだ。

 国会では幼児教育・保育を無償化するための子ども・子育て支援法改正案が九日、衆院を通過。これから参院での審議が始まる。「無償化よりまず、受け持ち人数を減らし、保育士が志を持って子どもや親に向かいあえる余裕が必要」と前野さんは話す。


 一気に春めいてきました。とは言え、家の前の畑はまだ土も見えず。裏山の白樺の間の雪もまだ十分あるのですが、気温が高くなったせいで芽が動き始めたのでしょう。樹液もあまり出ていません。出の悪いところは撤収しています。

江部乙の様子。


小さい時から野菜習慣—成人おめでとう!

2019年01月14日 | 野菜・花・植物

一生健康でいるためには、子どものころから野菜摂取が要に! 小さい時からベジトレをしよう

野菜をたくさん食べる子どもは風邪を引きづらく、引いたとしてもこじらせない

ハフポスト ブログ 2019年01月11日

 LAXIC ワーママ・ワーパパのためのウェブメディア

 

 

 「健康な身体を保つには、バランスのいい食事でしっかり栄養をとることが大切。特に野菜をきちんと取りましょう!」とは、誰もが知る定説。

 

ラシクでもこれまで、子どもの「食」や、産後の母親の健康管理等、親子の食事・栄養について専門家の方々にお話を伺ってきました。

最近では子どもを野菜好きにするトレーニング「ベジトレ」も流行っていますが、改めて考えてみれば「野菜は身体にいい」って、具体的にどう「いい」のでしょう?

 

野菜食べない子どもほど、風邪をひきやすく不健康!?

 生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研が行った、3~12歳の子をもつ母親500人に対する調査(※1)によると、子どもの家庭における野菜摂取量は、平均1日あたり「114.9g」という結果に。

3歳児の1日あたりの野菜摂取量の目安は「240g」(※2)とされていますから、推奨量よりも野菜がとれていないことがわかります

 「へ~、思ったより野菜とれてないんだなあ」と思った皆様。この調査、単にこれで終わりではありません。

 なんと、「野菜を食べる量」と「風邪の引きやすさ」に相関性があることがわかったのです!

例えば、下記グラフ。これは「昨年、子どもが風邪をひいた」と回答した母親の割合を、子どもの1日あたりの野菜摂取量別にグループ分けしたものです。

トレンド総研調査より

 

 野菜を「200g以上」摂取できている子どもは、圧倒的に風邪を引きづらいことがわかります。

さらに、風邪が悪化し38度以上の高熱が出たかどうかにも「野菜摂取量」が関係しているようです。

 

トレンド総研調査より

 

 「野菜をあまり食べない子どもほど、38度以上の高熱が出た」という結果となっています。

つまり、野菜をたくさん食べる子どもは風邪を引きづらく、引いたとしてもこじらせないということですね。

  子どもが風邪を引くのは、ある程度仕方のないことですが、長引いたり重症化したりするのはできれば避けたいものです。

風邪予防といえば、手洗い・うがいが基本ですが、食事に気を付けることも予防につながるというのは覚えておきたいポイントです。

 

ベジトレで免疫力アップ! 健康長寿を目指そう

 でも、野菜を食べる子ほど風邪を引きにくいのは、一体どうしてなのでしょう?

小児科医でなごみクリニック院長の武井智昭先生にお伺いしました。

 武井智昭(たけいともあき)小児科医/なごみクリニック院⻑

 平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医⻑)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院⻑として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院⻑に就任。「めざましテレビ」などの情報番組をはじめとしたメディア出演もおこなう。

 武井先生によれば、風邪対策には手洗い・うがいに加え、食事や睡眠を通じて「免疫力」をアップさせることが重要とのこと。

免疫力を高めるには「腸内環境」を整える必要があり、野菜には腸内に働きかけて免疫細胞を活性化させる働きが期待できるのだそう! だから、野菜を食べる子ほど風邪を引きにくいのですね。

そして免疫力を高めるという点では、風邪のシーズンだけ一時的に野菜を食べるのではなく、年間通じて意識的に野菜をとることが肝心なんですって。

さらに、ベジトレで子どもの頃から野菜を食べる習慣があれば大人になっても自然と食べるので、糖尿病や動脈硬化などの病気リスク軽減も期待できるんだとか。

さらに、先生はベジトレを進める上でのアドバイスをくださいました。

「まずおすすめなのが、野菜ジュース(わたしはお勧めいたしません)や野菜スープ。野菜嫌いな子どもたちは、形を見ただけで拒否反応を示すことが多いため、まずは食材の見た目を変えてみるのがいいでしょう。(見た目ではなく、まずいからが一番の原因だと思います。本当においしい野菜をあげてください。)そして、ジュースやスープで野菜摂取ができたことをパパやママがしっかりほめてあげると、子どもたちも自信がつくと思います

 宅配サービスで賢くベジトレ!

 とはいえ、そもそもパパママたちは、栄養を考えた食事をとろうと日々心掛け、ベジトレにも取り組んでいることでしょう。それでも、実は野菜の量が足りていないというのが現実です。

 忙しい日々の中、効率的にベジトレしつつ、安心して野菜を食べるなら宅配サービスに頼るのも手! 中でもオーガニックに特化した宅配サービスは、スーパーよりも厳しい基準を設けた野菜のみ取り扱っていることが多くおすすめです。

珍しくておいしい野菜も食べてみよう!

 人気宅配サービス「オイシックス」は、名物「かぼっコリー」等、地元のスーパーではなかなか見かけない野菜に出会えるのが魅力。20分で食事を作れるキットや離乳食、子どもごはんの取り扱いもあり、忙しい子育て世帯には嬉しい!

 身体にも環境にも優しい野菜づくり

 持続可能な農業の推進を追及し、環境にも優しい野菜作りを目指す「らでぃっしゅぼーや」。有機野菜だけでなく、「環境負荷を少なく」を徹底した品揃えに共感する方も多いのでは。ベビー特典もあるので、条件に当てはまるか是非チェックしておきたい!

 有機農産物宅配のパイオニア!

 厳しい生産基準をクリアした農産物のみを取り扱う等、とにかく野菜へのこだわりで選ぶなら「大地を守る会」。1985年から続く有機野菜の老舗宅配サービスで、農家さんとの関係性も厚く信頼度抜群です。

 野菜を食べようと思っても、旬に合わせて選んだり、産地を見たり、おいしいものを見分けたり...... 買い物だけでもちょっと手間がかかってしまいますよね。無意識のうちに自分が好きな野菜や、料理に使いやすい野菜ばかり選んでしまうのもあるあるです。いろんな野菜を継続的に食べるためにも、信用できる宅配サービスを賢く使いたいですね。

  大人も子どももストレスなくベジトレを進めるために、まずは安心でおいしい野菜を手に入れるところから! 毎日野菜をたくさん食べて、風邪すら引かない健康長寿を目指しましょう。

 ※1)調査概要/調査対象:3~12歳の子どもを持つ母親500名(子どもの年齢で均等割付) 調査機関:2018年11月13日~11月16日 調査方法:インターネット調査

※2)厚生労働省が推奨する「4つの食品群の年齢別・性別・身体活動レベル別食品構成」/身体活動レベルⅡ(ふつう)より


 

今日は成人の日。

 新たに成人となられる皆さんに心よりお祝い申し上げます。たっぷりの野菜と読書をお勧めいたします。特に、ノンフィクションといわれる分野の読書も積極的に取り入れてもらいたい分野です。 人生が変わるかもしれません。

 


果物の「食べ頃」「当たり外れ」を見極める方法

2018年11月24日 | 野菜・花・植物

  食の研究所 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54547より

2018.11.02(Fri) 佐藤 成美

甘味と酸味のバランスが風味の決め手

 実りの秋。ブドウやカキなど色とりどりの果物が店頭に並ぶ。果物のおいしさの特徴は、爽やかな甘味や酸味にある。さらには滑らかだったり、シャキシャキしたりといった歯触りもおいしさには欠かせない。ただし、果物には「甘い・酸っぱい」といった当たり外れがあるのも難点だ。果物の食べ頃とはどんな状態なのだろうか。

 お菓子とは異なる果物の甘さ

 果物のおいしさといえば、まず甘いことである。この甘さはお菓子などの甘さと違って、爽快でさっぱりしており、たくさん食べても飽きることはない。その理由として、甘味を構成する糖の種類が異なることや、果物には水分が多く、酸味があることが挙げられる。

 果物の甘みは、ショ糖やブドウ糖、果糖、ソルビトールなどの糖類によるもの。糖の甘味は糖の種類によって異なる。

 ショ糖は砂糖の主成分で、お菓子などのなじみある甘さはショ糖によるものが多い。ショ糖の甘みを1とすると、ブドウ糖は0.6~0.7、果糖は1.2~1.7と甘味が異なる。果糖の甘みは糖の中でも強いが、キレのよい甘さなのである。また、冷たいほうが甘味を強く感じる。一方、ショ糖は甘味も強く、コクのある甘さだ。

 これら糖類の構成比は果物の種類によって異なり、それが果物の特徴的な甘さを生み出す。たとえば、果糖やブドウ糖が多く含まれると爽やかな甘さになり、ショ糖が多く含まれると濃厚な甘さになる。

 果糖を多く含む果物にはリンゴやナシ、ビワなどがあり、ショ糖を多く含むのはオレンジやグレープフルーツなどの柑橘類やモモ、熟したバナナなどだ。イチゴやブドウは、果糖とブドウ糖を半々ぐらい含む。

同じ果物でも品種で糖の組成は変化し、風味が異なることもある。メロンはショ糖を多く含み、濃厚な甘さが特徴だ。だが、同じメロンでもマスクメロンは、爽やかな甘さで、ブドウ糖や果糖が多く含まれることが知られている。

 果物が熟すことで食べてもらうという生存戦略

 「熟す」とは、果物が食べ頃になること。熟すと果物が甘くなるのは周知のとおりである。果実が成長している間は硬くて酸っぱいが、成長し終わると、色づき、それとともに香りが増し、甘くなる。果肉も柔らかくなり、酸味が減って食べ頃になる。

 このように果実が熟すのは、植物が子孫を増やし、分布を広げるためだ。植物は動けないので、種を鳥など他の生き物に運んでもらわなければばらない。そこで食べ頃の色や香りで動物をひきつけ、甘くておいしい果実を食べてもらう。硬くて食べられない種子を吐き出したり、糞をしてもらえば、種をばらまくことができる。秋に熟す果実が多いのは、冬鳥が多く飛来し、冬に備えてたくさん食べる動物も多いからだという説もある。

 イチゴやリンゴ、ブドウ、スイカ、日本ナシなどでは、果実が成長して食べ頃になるまで待って収穫するが、メロンやキウイ、マンゴー、西洋ナシなどでは、追熟が必要だ。追熟とは、収穫した果物を食べ頃になるまで待つことを指す。傷みやすいバナナや桃は未熟なものを収穫し、輸送中に追熟させて食べ頃にする。熟してから出荷するとあっという間に食べ頃を過ぎてしまうためだ。

 風味を変化させるエチレンガスは諸刃の剣

 成熟期になると、果実はエチレンガスを発生する。エチレンガスは、果実の成熟を促す役割を担っている。リンゴやバナナといっしょにキウイフルーツを保存するとよいとよくいわれるのは、リンゴやバナナがエチレンガスをたくさん出すことで、キウイフルーツが早く甘く柔らかくなるからだ。エチレンガスが発生すると、細胞内の酵素の活性が高まり、色素成分や芳香成分が合成される。酵素の作用で果肉も柔らかくなる。

 成熟の過程で糖の構成も変化する。光合成によりできたブドウ糖は果実に蓄積されるが、成熟している間に果糖などの他の糖に変わるためである。追熟では、蓄えられたデンプンが分解し、他の糖になる。

果実の酸味は、リンゴやモモに含まれるリンゴ酸や柑橘類に含まれるクエン酸といった有機酸である。成熟している間に糖分が増加する一方で、有機酸は減少し、酸味は和らぐ。こうして甘味や酸味、香り、食感などのバランスが整い、果物は食べ頃を迎える。

 だが、果物を置いておけば、風味は落ちていく。エチレンガスは収穫後も発生しつづけ成熟を促す一方、劣化も促す。色は悪くなり、果肉もぐちゃぐちゃになる。酸味も少なすぎると、いくら甘くてもぼけた味になってしまう。

 食べ頃を見極める、色で、香りで、機器で・・・

 果物は、成熟の過程や保存中にどんどん変化していくわけだ。食べ頃に食べるのが一番おいしいのだが、おいしいかどうかは食べてみるまで分からないのが難点となる。一般的に食べ頃は果物の色や香りで判断する。スイカなら叩いて、ポンポンと弾むような音ならシャキッと歯ごたえがあって食べ頃だ。バナナは黒いスポットが出てきているかを見る。このように、いろいろな見分け方がある。

 果物の品質評価には、一般的には甘味の指標として糖度が、また酸味の指標として酸度が使われる。近頃では店頭に糖度が表示されていることもあるので、この言葉を聞いたことある人も多いことだろう。

 糖度は、糖度計で測定する。水に溶けている砂糖などの固形分が多いほど、光の屈折率が高くなることを利用した機器だ。測定は簡単だが、果汁を測った場合、糖度は有機酸など糖以外の成分も含めた含量を示し、厳密には「糖の量」を示す値にはならない。また、ショ糖やブドウ糖、果糖などすべての糖を含んだ値となる。果物中の固形分のほとんどは糖分であり、甘味に関する糖の量と糖度は相関しているので、甘さの目安となるのである。

果物によっては、酸味成分など糖分以外の成分が多いこともあるので、糖度が高くても必ずしも甘くないことがある。特に果物の種類が違うと、糖類以外の組成が異なり、糖度を単純に比べることはできないので注意が必要だ。

 果物の「当たり外れ」が減ってきた

 果物の糖分を簡便に分析する他の尺度や方法がないため、糖度や糖度計は広く使われている。屈折の仕組みを利用した糖度測定では果汁が必要だが、近年では、果物の非破壊分析技術の進歩が目覚ましい。

 たとえば、近赤外線を利用して糖度や酸度が測定されている。また、可視光線を当ててリンゴが蜜入りかを見分けたり、画像処理により食べ頃の色を見分けたりできる。分析機器の小型化も進み、はかりに果物を載せただけで糖度や酸度を測定できるものや、ポケットタイプの非破壊糖度計も開発されており、農場などの現場でも簡便に果物の品質を評価できるようになってきた。

 そういえば、近頃は果物を買っても「外れだ」と感じることは、以前よりも減ったような気がする。日本の果物は甘味が強く、品質がよいことで知られている。それは、品種改良や栽培技術の進歩によるものである。

 だが、国産の果物のみならず、輸入の果物でも外れが少ないのは、果物の検査技術の進歩によることもあるのだろう。今では、食べなくても野菜や果物のおいしさを人工知能で判定するスマホアプリも登場しているとか。近い将来、食べ頃を見逃すこともなくなり、果物に当たり外れがあるのは過去の話になるかもしれない。

 11月はミカンやリンゴの出荷が増えてくる。今年の早生ミカンは味がよいそうだ。果物をおいしく味わい、実りの秋を満喫したい。


昨日の除雪車の出動は朝だけ。夕方にはかなりの雪が積もっていたのだが、来なかった。
夜、仕事に出るとき、タイヤの大きいジムニの車高を超えていた。
巻き上げる雪はフロントガラスに流れ、何もかにも見えなくなる。
車が何台かでも通れば違うのだが他のタイヤ痕はない。


大規模農園に転換される熱帯林

2018年11月20日 | 野菜・花・植物

森林文化協会ブログ

 2018年11月16日

   背景には、世界的な食料需要の増加に加え、温室効果ガス排出削減への動きに支えられたバイオ・エネルギー需要の増加がある。

   森林文化協会には、森林環境研究会という専門委員会があり、調査・研究に関わる活動をしています。この投稿は、研究会幹事の酒井章子・京都大学准教授からのものです。

 

    ◇

 

なお続く熱帯林の危機

 世界の森林面積は、依然として減少傾向が続いているものの、前世紀に比べると消失速度はゆるやかになった。しかし熱帯地域だけを見ると、消失速度は今なお上昇している。火災や木材生産は森林「劣化」の重要な要因だが、近年目立つのはグローバル市場に向けたパーム油や大豆などを生産するための農地(とりわけ大規模農園)への転換による森林「消失」である。その背景には、世界的な食料需要の増加に加え、温室効果ガス排出削減への動きに支えられたバイオ・エネルギー需要の増加がある。

   熱帯林は、高い生物多様性を誇り、貴重な遺伝資源を擁している。しかし、人口増加や気候変動の緊急性を考えると、熱帯林を犠牲にして食料や燃料生産に活用するのは、やむを得ない。そう考える向きもあろう。しかし、熱帯林の農地への転換にはさまざまな問題点が指摘されており、長期的な食料生産や温室効果ガス削減に結びつくのか疑問も多い。

 熱帯林の大規模農園への転換がもたらすもの

 まず当初から指摘されてきたのは、熱帯林から大規模農園への転換が、大きな二酸化炭素排出源となっていることである。バイオ燃料生産のために森林を伐採するのであれば、化石燃料のかわりにバイオ燃料を使っても、その温室効果ガス削減効果はみかけよりずっと小さいものとなる。とくに、地下部にしばしば地上部を上回る量のバイオマスを蓄積している泥炭湿地林のアブラヤシ園への転換は、その問題が大きい。

   熱帯林の伐採は、その場所のバイオマスや生物多様性の喪失をもたらすばかりではなく、周辺にもさまざまな波及効果をもたらすと考えられている。その一つが、乾燥化である。

 熱帯林が維持されるためには一定以上の降水量が必要だが、その降水量を支えているのは実は熱帯林そのものである。というのも、熱帯林からは日中多くの水分が大気にもどっていく。熱帯林に降り注ぐ雨の大半が、もともとは熱帯林から蒸発したものなのだ。熱帯林が裸地になると蒸発量が少なくなり、残された森林へ降る雨の量も減る。これを裏づけるように、すでに熱帯林での降水量の減少がいろいろな場所で観測されている。雨が必要なのは農地も同じであるが、その農地への雨も、熱帯林によって維持されていることをわたしたちは忘れてはならない。

 開発を免れた熱帯林は、連続した大きな森林ではなく、いびつだったり、小さく分断されたりして残されることが多い。このような森林の大きな問題点は、面積に比して長い『林縁』である。森林の『縁(ふち)』は、森林の内部とは、いろいろな点で違っている。日光や風の影響を受けやすく、乾燥しやすい。人を始め、森の外からやってくる生物にもさらされる。

連続していた森林を伐採して林縁を作ると何がおこるか。アマゾン熱帯林で、大規模な実験が行われてきた。1980年代に作られた林縁では、少しずつ林縁の高木が枯死し、低木が密に生い茂り、現在では薄暗い森林内部とまったく異なる状態となった。一定面積の森林を残したつもりでも、林縁部分の森林は壊れていってしまうのだ。地球上の森林の70%は、林縁(森林の縁から1km以内)である、という推計もある。この林縁効果によって失われた熱帯林も、膨大な面積になるはずだ。

 パーム油利用をめぐる世界の動きと日本

 パーム油は、現在世界で最も生産量の多い植物油である。パーム油生産のためのアブラヤシ農園の栽培面積は増加しつづけており、熱帯林減少の重要な要因となっている。

   パーム油では、このような批判への対応の一つとして認証制度が導入されている。認証制度の主体となっているのは、環境保護NGO、企業、銀行や投資家などが集まって2004年に設立された、RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil、持続可能なパーム油のための円卓会議)である。持続性や環境への配慮に関するRSPOの基準をクリアし認証を受けたパーム油は、認証を受けていないものより高い価格で売買される。RSPOには世界の4000近くもの会社・団体が参加しており、 国際市場に流通するパーム油の約20%が認証パーム油となっている。認証基準が十分なものなのかは議論があるが、一定の効果をもたらしている。

 日本でもパーム油は、インスタント麺やスナック菓子などに広く使われている。製品には『植物油』としか記載されないことが多いため意識されないが、一人あたり年間5kgのパーム油を消費しており、菜種油に次いで重要な植物油となっている。しかし、熱帯の農地開発やRSPO認証に対する日本での認知度は低く、パーム油を使う国内食品メーカーのRSPO加入も遅れている。

   もう一つ、気がかりな日本国内の動きとして、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)におけるパーム油やパームヤシ殻を燃料とするバイオマス発電の認定が増えていることがある。他の記事(https://www.huffingtonpost.jp/shinrinbunka/palm-olein_a_23356149/)でも議論されているのでここでは詳しくはふれないが、パーム油による発電を加速する現行制度は、速やかに再検討されるべきであろう。アメリカやヨーロッパでは、バイオマス燃料としてのパーム油利用は、熱帯林減少への危惧や温室効果ガス排出削減効果が疑問視されていることから、すでに規制が進んでいる。ここでも日本の対応は遅れが目立つ。

 かつて日本は、熱帯林から木材を大量に輸入して国際的な非難をあびた。その一方で国内の林業は衰退していった。現在のパーム油輸入と国内の耕作放棄地の拡大は、その過去にだぶってみえる。大きく違っている点があるとすると、現在のほうが、製品の原料やエネルギー調達に対する企業の責任がより重くなっていることかもしれない。消費者であるわたしたちも、日本で使われるパーム油の由来や使い方に厳しい目を向けていくべきではないだろうか。


とうとう来るべきものが来た。

初積雪。昨年の初積雪が10月23日だったから1か月近く遅いことになる。それはいいのだが、江部乙に行く間、どこにも積雪など見当たらない。我が家の周りだけである。今日もお昼で帰ってきた。途中、薄日もさし、あれこれとやらなければならない外での仕事を考えていた。しかし、家の近くに来ると雨になり、さらに近づくと雪に変わった。外での仕事はやる氣をなくしてしまった。朝の光景がそのまま残っていた。

 話は変わるが、ゴーン氏の件。消費税を10%にするために、ちまちまと食料品はどうだ、あれはどうだ、こんな場合はどうだなどとくだらん議論はやめて、彼らのような富裕層からまともな「所得税」を取り立てる方が理に適う。これ以上の「格差」を広げる消費税は廃止すべきだ。

 


菊芋

2018年11月04日 | 野菜・花・植物

 

「徹底解説!健康食材・自然食品 」より

中性脂肪の減少効果

キクイモの一番大きな効果効能は、キクイモに含まれているイヌリンの働きです。

日本人全体の食生活が欧米化してカロリーの摂りすぎの人が増えています。

カロリーの摂りすぎは様々な疾病の原因になります。

中性脂肪を増やして、脂肪肝の患者さんを増やしました。

脂肪肝そのものはそれほど怖くはないと言っても、心筋梗塞などを死に至る病気の引き金になります。

菊芋の“中性脂肪を減少させる効果”は大きく、その減少させる元となっているのがイヌリンです。

菊芋に含まれるイヌリン効果で、膵臓機能改善し、肝機能の回復向上をさせて、各臓器が順調に働くよう促します。

また、イヌリンは、糖質の吸収を抑える作用をするため、余分な脂肪を溜めこまないのも脂肪肝を防ぐのに役立っています。

血糖値の上昇を防ぐ

 血糖値で悩んでいる方にお勧めなのが菊芋です。

菊芋の効能で一番大きいのは菊芋の主成分イヌリンは、“天然のインスリン”とも言われるほど血糖値を下げる働きをしています。

そのため菊芋は糖尿病の予防や改善にも大きな効果を発揮しています。

菊芋に含まれるイヌリンは人間の体内酵素では消化や吸収されない糖質です。

そのために一緒に摂った食べ物の糖の吸収も抑制する作用をします。

さらにこのイヌリンの特徴は、腸内環境を整える働きをし、腸内にある糖質も体の外にスムーズに運び出してくれます。

腸内の糖質が体外に運び出されるのですから、血糖値の上昇を防ぐことができ、糖尿病を予防することが出来ます。

このように、菊芋に含まれているイヌリンは、糖尿病を予防すると共に、腸内の環境を整えてくれます。

糖質の吸収が少ないことから、ダイエットの時に菊芋を用い、ダイエットを成功させた人もいます。

菊芋が血糖値の上昇を防ぎ糖尿病の予防と改善に効果があり、生で食べる方が効果があるとのことです。

 体内の活性化を促す

菊芋に含まれているイヌリンは「天然のインスリン」とも評されるほど、私たち人間の身体にとって有効に働いてくれる物質です。

菊芋 効能の大きさの元となっているイヌリンは糖尿病に効果があるばかりでなく、私たちの体内の細胞を活性化させる働きもしています。

イヌリン効果で腸内細菌が刺激されて、ビフィズス菌などを活性化させます。

活性化されたビフィズス菌は、腸の調子を整えますから、便秘の解消にも効果を発揮してくれます。

その他、菊芋に含まれているペクチンが重金属や放射能物質を体内から除去をするといいます。

このように菊芋にはたしかに体内の細胞を活性化させて、私たちを元気な体にしてくれる効果があるのです。

 便秘の改善効果

菊芋 は「便秘の改善」の働きをしてくれる効果があります。

菊芋の食物繊維が腸内環境を良くして便通が良くなります。

便秘が改善されれば体調も自然に良くなりますから、菊芋はお勧めです。

菊芋に含まれている優れた物質イヌリンは、腸内で人間の体にとって欠かせない“ビフィズス菌”など、善玉菌の餌となって善玉菌を増やしてくれ腸内環境整った結果、便秘が改善されます。

腸内環境が整うと、消化器系のトラブルの改善に繋がり、肌のトラブルがなくなって綺麗な肌が期待できるほか、不眠など、様々な体の不調の改善に繋がります。

ただ、便秘ではない人や腸が弱い人が菊芋をたくさん食べ過ぎると、お腹が緩くなって下痢をすることもあるので摂りすぎには注意が必要です。(私の経験からすると、下痢をしても腹痛を伴いません。便意が多くなり、ガスが出ますのでご注意を。本当に腸の掃除が始まった、てな気分です。でも、あまり顕著な場合は摂取量を減らし、体質に見合う量にしたほうがいいでしょう。わたしも顕著に表れるほうで、小さな芋1.2個が適量です。)

また、健康食品やサプリメントは薬ではありませんから、ある程度続けてからではないと効果が出ません。

人によって効果が出るまでの期間は違ってきますが、およそ1ヵ月は必要だといいます。

菊芋は元々日本にあったものではなく、戦後の食糧難には、多くの人の食糧不足を助けています。

薬と違うので副作用もありません。

健康維持に取り入れてもいらいたいのが菊芋です。

 美容と健康に

菊芋 効能その働きには大きな健康効果が期待されて、健康不安を感じている多くの人に愛用されています。

また、健康不安は抱えていなくても、健康を維持したい方や、美容と健康、そして老化を防ぎたい方にとっても効果があるとして活用されています。

きくいもの成分にはポリフェノールが含まれていますが、ポリフェノールは、抗酸化作用の働きが強く老化を早める活性酸素の働きを阻害&抑制してくれます。

菊芋の整腸作用効果で腸内環境を良くして便秘の改善をしてくれるのと、菊芋の「セレン」と呼ばれる物質が、シミ、クスミを消すとされています。

*

◆サラダや和え物

生のまま皮を剥き、スライスや細切りにしたものをサラダや色々な和え物にして食べます。シャキシャキとした食感が楽しめます。

◆炒め物や焼きもの

スライスして炒め物に使ったり、丸ごとオーブンで焼きバターなどを付けて食べても美味しいです。

◆煮物や汁もの

ジャガイモのように煮物にすることも出来ます。また味噌汁やスープの実にもなるほか、ポタージュにも出来ます。

◆揚げ物

丸ごとフライにしたり、スライスしたものを天ぷらにして食べてもいいでしょう。

出典「野菜の食材百科」


 この食材で「健康になる」などと思わないでください。体にいいもの(化学物質の入っていないもの)を日常的に多品種取ることが健康にいいのです。

 今日も割と強い霜が降りてます。でも、朝のうちに消えてしまうので、江部乙に行ったときは、霜が降りたのかどうかもわからず、ハウス内を点検して「今日も無事でした」。


どうすれば日本の農業は再生できるのか?~問題なのは現場と農業政策のズレ

2018年11月02日 | 野菜・花・植物

Yahoo!ニュース 2018.11/1(木)

 松平尚也  | 農家ジャーナリスト、AMネット、京都大学農学研究科博士課程

   農・食・地域の未来を視点に情報発信する農家ジャーナリスト。京都市・京北地域の有機農家。NPO法人AMネット、京都大学農学研究科に在籍し世界の持続可能な農や食について研究もする。農場「耕し歌ふぁーむ」では地域の風土に育まれてきた伝統野菜を栽培、セットにして宅配を行いレシピと一緒に食べ手に伝えている。また未来の食卓を考えるための小冊子「畑とつながる暮らし方」を知人らと出版(2013年)。ヤフーニュースでは、農家の目線から農や食について語る「農家が語る農業論」、野菜の文化や食べ方を紹介する「いのちのレシピ」持続可能な旅を考える「未来のたび」などを投稿する予定。

 

   これまで推進されてきた大規模農業の矛盾が露わになる中で世界でも小さな農業の再評価が広がっています。日本の農業と農業政策はどうあるべきなのか、実際に農家を訪ねて考えてみました。

 日本の食卓と世界とのつながり

  2017年の世界の飢餓人口は8億2100万人に達しました。2050年には、世界人口が約100億人まで増加すると予想される中で、どのように世界の人びとを養うのか、そのための食料を支える「農業のあり方」について、いま大きな議論が起きています。

 2008年頃には世界食料危機が発生しました。そのしわ寄せは食料を輸入に頼る国々に波及し、世界の飢餓や貧困の増加を引き起こしたのです。

 日本は世界有数の食料輸入国のひとつです。食料を理由に戦争を経験したことがあるEU諸国は、国策として自給率を高く維持していると聞きますが、日本の食料自給率(カロリ-ベース)は、約38%と先進国の中で最低レベルの状況です。人口が1億人を超える国でここまで自給率が低い国は日本だけです。中でも穀物の自給率は27%と著しく低く、小麦やトウモロコシの多くを輸入に依存しています。

 日本の食料のこれからを考える上で覚えておきたい歴史があります。それは大豆ショックと呼ばれる出来事です。1973年、大豆の輸入を依存していた米国が日本への大豆輸出を禁止しました。日本は当時の大豆使用量の約9割(現在は約7割)をアメリカに依存していたこともあり、豆腐や納豆など大豆製品の値段が暴騰しました。

 そのような輸入に依存する危険性を経験したにもかかわらず、その後に日本政府が行ったのは自給率向上ではなく輸入先の多元化でした。政府は食料危機後も大規模農業投資を行い食料の安定確保を目指しています。しかし投資先の国々の中には、自分たちの食料も十分でないのになぜ輸出しないといけないのか、疑問の声が上がっている地域もあります。

日本はこのまま食料を輸入に依存したままで大丈夫なのでしょうか。もし何らかの事情で輸入が止まると他国と同じように食料不足に陥ってしまう可能性があります。

  世界の食料価格は、食料危機以降、高く推移しており、未だ予断を許さない状況です。

 また、日本の農家数は戦後減少を続け、1960年に約1454万人いた農業就業人口は、2015年の農林業センサスでは約209万人まで激減しました。農家人口の平均年齢が約66歳で、65歳以上の割合はなんと約63%を占めるまで高齢化しています。多くの農村で跡継ぎや担い手がいない状況です。

 つまり世界の食料や農業を巡る議論は他人事ではなく、日本にとっても深刻な問題で、これからの安定した暮らしを考える上でとても大切なことなのです。その中で農業のあり方は大きな問いでもあるのです。

 

 世界で進む小さな農業の再評価

  世界では大規模化が進む中で、最近「小さな農業」が再評価される動きが生まれています。

 再評価の動きは、国際機関や研究者、市民社会まで幅広く起こっています。その背景には、大規模農業に対する国際的な懸念の広がりがありました。工業型農業とも呼ばれる大規模農業が世界の耕地と水資源の半分以上を利用しているにもかかわらず、食料を十分に生産できていないという批判があるのです。

 その一方で小さな農業は、災害リスクが高まる中でも多様な方法で食料を安定生産できると評価されています。中でも国連は、2014年に国際家族農業年を設定し、小さな農業の評価と投資を呼び掛け始めました。そこでは、小さな農業が多くの国の食料安全保障の基礎であるだけでなく、農村の持続や自然資源の持続的管理にも貢献することが主張されています。

 国連は飢餓と貧困の解消を呼び掛ける中で、食料生産の担い手としては、これまで大規模農業を推進する立場でした。世界食料危機後、食料の安定生産ではなく先進国が食料を確保するために途上国への大規模農業投資を進めました。しかし、この動きが農地争奪とも呼ばれる、投資先での農家からの土地の強奪を引き起こしてしまいます。国連がその実態を調査したところ、投資受け入れ国の食料安全保障に脅威をもたらす可能性や、地元への雇用も限定的という調査結果が出されました。その中で国連は立場を変更し、小さな農業や家族農家の再評価を行ったとされます。

 日本での小さな農業の再評価

 日本でも海外で再評価される小さな農業の重要さを主張する農家が出てきました。その先頭に立つのが九州の農家や市民が立ち上げた「小農学会」です。小農学会は、「大規模・企業優先の政策が進むと農村が消滅する」と現在の農政へ疑問を呈しています。そしてもう一つの農業の道として、「小規模・家族経営・農的暮らしなどの多様な農業が農村を残す道である」と主張します。

  2018年夏、小農学会にかかわる農家を訪ねました。

 鹿児島県霧島市竹子地区に小農学会共同代表である萬田正治さんの農場があります。萬田さんは、鹿児島大学で安全なコメ作りの技術や小規模畜産経営などを農家の目線から研究してきました。2004年に同地区に移住し、今年からは小農による小農のための学校である霧島生活農学校を立ち上げています。

萬田さんは企業的農業と小農の違いを次のように語ります。

 「中山間地が多い日本では共同で農村を維持してきたが、企業的農業だけでは農村は守れない。また企業が参入しても採算が取れず出て行けば農村が消滅してしまう。一方で小農は自然を有効に活用し、食料自給率の向上や食の安全を保障し、農村を守る」

  2015年11月に設立した小農学会はわずか数年で200名を超える会員が集まっています。会員の多くは農家であり実際に農業に携わる人が共感して加入しています。興味深いのが、田舎暮らしや市民農園などに関わる都市生活者も含めた人びとも新しい小農として捉え、多様な農の価値を活用して農村の維持を考えていることです。

 その実情を知るために鹿児島県最北にある伊佐市の会員農家・有留廣秋(ありとめひろあき)さんを訪ねました。有留さんは2007年に退職し、農業を継いで現在3ヘクタールの田畑を耕しています。有留さんの農業経営の特徴は、農業生産だけでなく直売所と農家民宿「美和松」を運営し多様な農業を実践している点です。直売所ではパートを雇用し、奥さんは弁当を作り直売所で販売しています。多様な価値でもって地域経済を下支えしています。

もう一人、農家会員の鹿児島県・さつま町の久保秀司さんは、イチゴづくりを40年間やってきました。農場の片隅にある事務所にはイチゴの専門書が並びます。家族を養うために小さな面積でいかにイチゴの収穫量を増やすか研究し所得向上につなげたということです。専門書には細かな無数のメモが書き込まれています。その独自の研究結果を鹿児島大学の教授に確認してお墨付きをもらうというこだわりようです。研究結果には、農家がどうイチゴを増収するか事細かに書かれており、久保さんにしか書けない小農の実践と言えます。

各地域のこうした実践の継承が日本の農業の未来を検討する上で不可欠ではないかと感じました。久保さんは農業体験ができる農家民宿「観真庵」も経営しています。小農学会の農家会員は、二人のように農家民宿経営や農産加工や有機農業など新しい多様な農業を実践する農家が多いとのことです。

 兵庫県養父市・国家戦略特区を歩く

 一方、政府が推進する農業の大規模化・企業化を導入する農村はどうなっているでしょうか。その現状を確認するために国家戦略特区である兵庫県養父市を訪ねました。

 兵庫県北部の但馬地域中央に位置する養父市は、2004年に4町が合併し成立しました。古くから近畿と山陰を結ぶ交通の要衝として、生糸商が栄えるとともに、但馬牛取引の拠点となってきました。近年は少子高齢化が進み、人口は合併から10年間で約15%減少しています。養父市は、過疎からの脱却を謳い、2014年に国家戦略特区に指定されました。

養父市では特区の規制緩和を生かし、農業への企業参入を促しています。特区認定後に13社が参入しました。参入企業にはオリックス、クボタ、ヤンマー等、大手の名前も見られます。各社の農業参入の形態は多様で、スマートアグリと呼ばれる植物工場による次世代農業やハウス施設栽培、特産品づくりや野菜そして米づくりなどが行われています。2017年の参入企業の営農面積は約40ヘクタール、売上は約9000万円(2017年度)ということで、市全体の農業生産額の1割強に上っています。しかし各社の動きには温度差があり、全く稼働していない企業もあれば、大規模投資を行っている企業もあります。施設等への投資額も大きく設備の償還もまだまだで、評価を決めるにはこれからの動きを見て行く必要があります。

 大切なポイントと感じたのは、国の思惑と異なる動きが見られた点です。養父市特区制度の目玉は、企業による農地取得の規制の緩和、つまり企業が農地購入をできるようになったことです。しかし参入企業の購入面積は1.35ヘクタールと営農面積の約3%に過ぎないのが現状。企業が購入しない理由は資産を抱えるリスクがあるからで、各社とも販売先の確保や作物の選定に悩んでおり、利潤が伸びていない現状もその背景にあると想定されます。

 一方で地域に根付くことや対外的アピールの側面から農地を購入する企業もあります。そうした企業は地域資源を生かした農産品づくりに取り組んでいます。結局、企業のスタイルもこれまで地域で小さな農家が展開してきた農業のスタイルに似た特徴を持ち、国の想定とは少し異なる方向に事業が展開しているように感じました。

 では、日本の農業の理想の形はどうあるべきなのでしょうか。

 

  日本農業の未来と小さな農業

 その答えへの道筋の一つを、同じ養父市の畜産農家、わはは牧場で見つけました。わはは牧場の代表・上垣康成さんは、1990年頃に祖父の農業を継承し小規模な畜産を始めました。繁殖母牛10頭、経産牛肥育年間1頭、豚の肥育年間約10頭、合鴨農法稲作50アール(約200羽飼育)をしながら合鴨処理(年間約5000羽)も行っています。すべての家畜を自ら加工して販売しているのが他の畜産農家と異なる大きな特徴です。

 上垣さんは、2017年12月に「小さい畜産で稼ぐコツ~少頭多畜・加工でダントツの利益率」を出版しました。ハウツー本ではなく、生い立ちや食育まで生き方を含めた内容が注目され短期間の内に重版されたということです。同じシリーズの野菜農家が出した「小さい農業で稼ぐコツ~加工/直売・幸せ家族農業で30a1200万」という本も就農や田舎暮らしに関心を持つ人びとの間で人気が出ています。その背景には、上垣さんらが実践する「自分で生き方や働き方を決める小さい農業」への共感があると考えます。

 わはは牧場の実践でもう一つ注目したいのは、小規模でも雇用を行い地域経済の担い手となっている点です。本でも紹介されていますが、わはは牧場の利益率は、生産から加工そして販売まで自ら行うことで一般の畜産農家よりも高くなっています。国家戦略特区の参入企業も手を焼く所得確保を実現し、さらには食料供給の担い手ともなっているのです。その実現には、投資を最小限にして作れるものは自ら作るという自立性を持ちながら事業展開の工夫をするという、小さい農業の特徴が生かされていると感じました。この展開の方向性は、時代状況や災害リスクなどに対応できる本当の意味での強い農業と言える気がします。

問題なのは農業現場と農政のズレ

 問題は、養父市が国家戦略特区になってもわはは牧場のような地域独自の取り組みや小さい農業の実践が注目されない点です。自分で農業をやりたいという若い新規の就農者が増えているのに、小さい農家向けの補助メニューがほとんどないのが現状です。農家向けの予算を大規模農業だけでなく小さな農家にもバランスよく振り分ける方が、地域農業の基盤が強くなると思われますが、実際はそうなっておらず農業現場と農政のズレがあると言えます。

 また、日本の農村は中山間地主体で小さな農業が主体となりこれまで維持されてきました。日本の農業・農村を考えるのであれば、今こそ農政の足元を見直し小さな農業の評価を検討することが不可欠と言えるのではないでしょうか。

 世界では、小さい農業を支援する政策に取り組む国々が増えています。国連は各国が小規模農家支援に取り組めるように小規模政策のモデルを紹介し始めました。隣国の韓国では農業の大規模化や輸出推進をしたところ、農村が疲弊したため、強小農政策という小さい農業を支援する政策を打ち出しました。世界で最も大規模化が進む米国でも小規模農家への支援策が1980年代から継続されています。そうしないと農業・農村が維持できないというのが主な理由とされています。

 日本でも、福井県の小規模農家支援策など都道府県レベルでの小さい農業支援策が始まっています。小農学会の様に農家が独自で小さい農業の意味を啓発する活動を展開する動きも活発化しています。地方や農家の有志が小さな農業の重要さに気付き独自の取り組みを始めているといえます。

 しかし、その一方で政府は農業の大規模化を進めています。特に安倍政権になってからは、農外企業参入や農協の解体など、農村の基盤を崩す政策が進められてきました。その一方で大規模化を推進し、企業化する経営体を優先して優遇し支援する傾向が高くなっています。しかしまた、全国で約133万ある日本の農業経営体のうち、企業化しているのは約3万です(2015年農林業センサス)。わずか約2%の経営体に対して政策支援が集中している現状をみれば、バランスを欠いた政策が展開されていると言えるでしょう。

 未来の農業・農村のあり方を考え、食料を確保していくためには、日本は多様性を持つ小さな農業を守って農村の持続を目指していくことが必要だと考えます。そのためには、日本の実態に合ったバランスのよい農政の展開が、今求められているのではないでしょうか。


「新規就農」して27年、「農民」になるつもりでしたがなれませんでした。というのは規模が小さすぎてダメだというのです。ここでは5ha以上でなければならないそうです。わたしは農薬も化学肥料もホルモン剤も除草剤も使いません。この「農法」で5haは無理でしょう。このような一律な画一的な「指導」がなされているのです。でも、「農民」になったからどうだと言うと、農地を購入できるだけです。後継者もいなく、買う必要はないのです。むしろ土地に縛られずに済みました。

 大規模農業になればなるほど農薬、化学肥料、除草剤は「必需品」となります。それはそれで必要なものですが、「小規模」も含めた多様な形態を進めるべきでしょう。むしろこちらに力点を置くべきなのです。