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藻谷浩介の地方創生

2016年09月09日 | 社会・経済

政府が大転換! 地方創生は「手に職つけて、田舎で人間らしい暮らしも悪くない」

     企業経営 2016.9.9PRESIDENT Online

  地域エコノミストとして全国各地を巡っている藻谷浩介氏。市町村合併前に約3200あった全地方自治体を踏破している。各地の実情、地勢、風土まで知り尽くした氏が地域経済を眺めていて感じることとは、何か。

日本総合研究所・藻谷浩介主席研究員

 国主導の地方創生がうまくいかないわけ

  私は長年、地域の再生や地方活性化について発言してきた。そうしたなか、国が「地方創生」をスローガンとして掲げ、人口減少問題に正面から取り組む姿勢を見せたことは、他のどんな論者よりも高く評価している。東京都豊島区ですら、消滅可能性のある自治体と名指しされたくらいで、人口減少は日本中のすべての自治体が直面する問題なのだ。

  とはいえ国が予算を付けて行うことは、とかく「補助金ビジネス」の温床となりがちだ。全市町村に「地方創生計画」策定を義務付けたところ、不勉強な自治体ほど地方の現状をわかっていないコンサルタントに丸投げすることとなり、相も変わらず道路や箱モノ中心の形式的な計画ができて建設業界を喜ばせる結果となっている。

  国自身わかっていることだが、地方創生が国主導で成功するわけはない。国を親、地方を子どもにたとえるとわかりやすいが、親が子どもに小遣い(カネ)をたくさん与え、一方的にああしろ、こうしろとやって、子どもがちゃんと育つか、ということだ。子どものやる気を喚起して、生活費ではなく自己研鑽費を支援することで、初めて子どもは自立していく。地方創生の補助金も、全部がムダということはもちろんなく、この話の前から高い意識を持って研鑽をしてきたような自治体では、とても有効に使われている。

  地方創生が、若者を中心とした国民の一部の意識に働きかけをしたことも評価できる。21世紀だというのに、いまだに親の意識は高度成長期の頃のままで、「いい大学に行って、いい点数を取って大企業に就職を」一辺倒だ。そのため出生率が1.2しかない、つまり非常に子どもの生まれにくい首都圏に若者が集中し、結果として日本の人口減少に拍車がかかっている。「手に職つけて、田舎で人間らしい暮らしをするのも悪くない」という選択肢を、国が音頭をとって示したことは画期的だった。

  とはいえそこで親が「お前が田舎で結婚するためのデート費用を出してやろう」といって金を与えてしまえば、子どもは経済的に自立しないままであり、ますます彼女ができない、みたいなことが起きるのは当たり前。補助金ビジネスでうまくいくはずがない、というのはそういうことだ。予算を執行すれば終わりと考えているうちは、真の地方創生は難しい。

東京のノウハウはもう地方には通用しない

 地方創生を考えるとき、現状認識として「活力ある東京、ダメな地方」と決めてかかることは禁物だ。「東京の優れたノウハウを地方に注入したら、地方が創生するだろう」とトライする人がいるが、ことごとく失敗している。

 東京のノウハウとは、大企業のノウハウのことだ。大市場相手に効率的に供給するシステムを専門スタッフが分業して構築する、いわば「トヨタ化を推進するようなもの」と言っていいだろう。しかし、そのやり方は、市場が小さく人材も限られたが地方では通用しない。本当のことを言えば、この東京のノウハウは東京ですら通用しなくなっている。好みの多様化で市場が細分化しているのに、旧来の「専門スタッフ」は対応できず、間接費の塊となっているのだ。地方の現場に立って、未来に通じるノウハウを研究したほうがいい。

 道の駅の魚市場のつくり方などは、その典型。生の水産物は供給が安定せず、客が多い週末にまったく獲れないなんてこともあり得る。だからといって他産地のモノを入れたり、冷凍品や加工品を入れたりすれば、大手スーパーと変わらない品揃えになってしまう。それではだめなことはイトーヨーカドーもイオンもスーパー部門が赤字であることを考えればわかるだろう。「いつでも・どこでも・誰にでも」ではなく、「今だけ・ここだけ・あなただけ」を売り物にして、今あるものに付加価値をつけて高く売るノウハウが必要なのだ。

 他方で地方にも、「いつでも・どこでも・誰にでも」を求める市場はある。業績好調のセブン-イレブンは、東京に限らず、高齢化した超過疎地の店舗でも、こうした需要を掘り起こして黒字だ。その陰には、地域によってこまめに商品構成や味付けを変える工夫がある。

 地方創生を否定する東京一極集中という愚論

 驚かされるのは、地方創生よりも東京一極集中を推進すべし、という論者がいることだ。彼らは、東京一極集中しないと上海などとの都市間競争におくれをとると主張する。私から言わせれば、そもそも競争相手の設定が間違っている。上海は中国という国家の経済中心地に過ぎない。東京も現状では日本の中心であるだけだ。国際競争のライバルは、金融ならシンガポールや香港、ロンドン、フランクフルト、ニューヨーク。ITならシリコンバレーだ。

シンガポールの人口は、外国人居住者を入れても600万人。一方、東京圏にはすでに3500万人もいる。人口が大きいほど勝つというのなら東京は6倍勝っていないとおかしいが、現状は負けている。そもそも東京は、2位以下に2倍の差をつけた世界最大の都市なのだ。そこにもっと人口を集中させるとは21世紀の大砲巨艦主義、アホかって話です。

 ニューヨークですら都市圏人口は2500万人。でもそのニューヨークが、超広域でも人口500万人のシリコンバレーに産業のイノベーションで勝っているわけではない。自動車産業でいうと、デトロイトが300万人なのに対し、豊田市の人口は40万人と約1/8に過ぎないが、今や豊田市が圧倒的に勝っている。東京一極集中論者は、都市間競争の意味がまったくわかっていないのではないか。彼らが言っているのは「東京に人口が集まれば、都市のGDPが大きくなる」ってだけ。それだけなら、いずれ中国やインド(の都市)が勝つでしょ、って話です。

 都市間競争を勝ち抜くために肝心なのは、人口一人当たりの価値をあげること。どれだけ国際的なネットワークを持ちイノベーティブな人材を擁するか、質が重要で数は関係ない。私から言わせれば、競争力は数だと主張する論者が学者でいられることが信じられない。

課題はいかに地方の生産年齢人口を増やすか

 そもそも地方創生の政策のイノベーティブなところは、交通インフラ整備に工場誘致、という旧来の発想は通じないことを直視し、「地域内の経済循環の拡大」が必要だと明確に掲げたことにある。今までの地方では、補助金も年金も地域企業の稼ぎも、資材購入や消費や貯金を通して、ことごとく東京以下の大都市に還流してきた。これらが少しでも多く地域内で回るよう、地産地消を進めなければならないというのだ。慧眼である。

 このようなスキームを初めにつくったのが、自民党の石破茂氏、平将明氏、小泉進次郎氏の3人である。石破氏は、とにかく謙虚に勉強する人で、地方の実情にも深く通じている。平氏は大田区で家業の仲卸会社社長を務め、大田区の町工場の現状をよくわかっているし、大田区の町工場と日本の地方が抱える構造が同じであることを認識されている。そして地方は当初、このスキームで地方創生の計画づくりを始めたはずなのだが……。

 困ったことに地方の政治家や自治体職員の方が、地域内の経済循環の拡大といわれても何のことか全然わかっていないという現状がある。かつての新産業都市だろうが地方創生だろうが同じで、やろうとしているのは、補助金で道路を造ろうとしていることだけ。でもある程度下の世代は、日銀の金融緩和や補助金、五輪の公共投資なんかで経済が活性化するわけないじゃん、ましてや子どもは増えないよね、ってわかっていると思う。

 地方創生の予算をまいたから地方が活性化するだろうと思っていたが、うまくいかなかったなど、旧来の文脈でやっぱり地方創生はダメだと言われても困る。地域内の経済循環を拡大し、人口を増やすところにまで漕ぎ付けている自治体は、山間過疎地や離島にも出てきている。都市部こそ、こうした成功事例に学んで努力することが必要なのではないか。

 

藻谷浩介(もたに・こうすけ)
日本総合研究所調査部主席研究員。1964年、山口県生まれ。88年東京大学法学部を卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)に入行。以来、日本全国の市区町村をくまなく回り年間500回以上の講演をこなす地域エコノミストとして活動している。94年、米コロンビア大学大学院ビジネススクール修了。2011年より日本総合研究所に転じて現職。日本政策投資銀行地域企画部特別顧問、NPO法人地域経営支援ネットワークComPus理事長などを兼務する。著書に『実測! ニッポンの地域力』『デフレの正体』『里山資本主義』(共著)『和の国富論』など多数。

 


ひきこもり

2016年09月09日 | うつ・ひきこもり

引きこもり」全国に推計54万人

      朝日新聞デジタル - 2016年9月7日

   内閣府は7日、学校や仕事に行かず半年以上ほとんど外出しない15~39歳の「引きこもり」の人が、全国に54万1千人いるという推計値を発表した。6年前の推計値に比べ、7年以上引きこもっている人の比率が倍増し、長期化がうかがえる。

 「若者の生活に関する調査」で、2015年12月に5千世帯の本人や家族を対象に調べた。10年に続く2回目。引きこもりの人の割合は1・57%で、前回の1・79%(推計69万6千人)を下回った。内閣府は「相談窓口の設置などにより、人数的には改善があったと思われる」と分析する。

   年齢は、20~24歳と25~29歳が24・5%で最も多く、30~34歳と35~39歳が20・4%で続いた。男女別では、男性が6割以上を占めた。

   引きこもり期間は7年以上が34・7%で最多で、前回の16・9%から倍増。引きこもりになった年齢は、15~24歳が6割以上を占め、「不登校」「職場になじめなかった」などの理由を挙げた。35~39歳も10・2%と前回の5・1%を上回り、比較的年齢が高くなってから引きこもる人が増えた。