里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

福島小児科医会とんでもない要望書

2016年09月11日 | 社会・経済

室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」 

日刊ゲンダイ2016年9月1日

検査規模の縮小要望
   
彼らはどこを見て仕事をしてるんだ?

 「(これまでの検査によって)被検者、保護者のみならず、一般県民にも不安が生じている」(8月25日/福島小児科医会)

  これは8月26日付、毎日新聞地方版に載っていた、福島小児科医会が25日、県庁の福祉課に出した要望書に書かれていた言葉だ。

  ちょっと、この言葉だけではわかりづらいよな。じつは、この要望書、とんでもないものなのだ。

  福島小児科医会が何を言いたいかというと、東京電力福島第1原発事故の健康影響を調べるため、県内の全ての子どもを対象に実施している甲状腺検査を、減らせと要望している。これからは同意を得られた人のみを対象とする仕組みへ、変えて欲しいんだとか。

  その理由として、前出の言葉だ。

   これまでの検査によって、173人が「がん」か「がんの疑い」と診断された。そんなに多くの甲状腺がんが見つかると、住民たちが不安になるでしょう、って。

その考え方って変じゃない? 普通は、住民を不安にさせてはいけないから、より丁寧にさらなる検査をしていこう、って話にならないか?

  だって、検査規模を縮小し、甲状腺がんの発見が少なくなっても、それで健康被害が小さくなったなどとは言えまい。

  住民が安心するのは、子どもが十分な検査をし、がんが発見されなかった場合だ。

  それか、たとえ甲状腺がんが見つかっても、発見が早かったから、初期の段階で手術をし、大事に至らなかった場合だ。

  もちろん、大事に至らなかったといっても、手術までするのだから、許せない気持ちにはなる。そういうことをわかっているのか?

  少子高齢化の昨今、さほど儲からない小児科を志した先生は、子どもが好きな良い人たちばかりなのかと思っていた。子どもの健康をいちばんに考えてくれる人たちだと。彼らはどこを見て仕事をしてるんだ? 信じていたぶんだけ、酷い裏切りに思えてしまう。

 

室井佑月作家

1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。