週刊ポスト、「韓国なんて要らない」特集で謝罪 「10人に1人は治療が必要」が物議、有名作家も多数批判
J-CASTニュース / 2019年9月2日
2019年9月2日発売の「週刊ポスト」13日号をめぐり、小学館は2日19時、同誌のニュースサイト「NEWSポストセブン」上に、週刊ポスト編集部名義で「週刊ポスト9月13日号掲載の特集について」と題した謝罪文を掲載した。
同号では「韓国なんて要らない」と銘打った特集記事に対し、ツイッターなどでは作家・ジャーナリストからの批判が相次いだ。
「誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました」
「週刊ポスト」9月13日号では「韓国なんて要らない」というタイトルでの特集記事を掲載し、GSOMIA破棄などが韓国に与える悪影響をシミュレーションする内容だった。
さらに第2特集「怒りを抑えられない『韓国人という病理』」では、韓国人の10人に1人が、日本で「火病」とも揶揄される「間欠性爆発性障害」であるという韓国の医学レポートを根拠に韓国社会のストレス構造などを批判した。
表紙には「『嫌韓』ではなく『断韓』だ 厄介な隣人にサヨウナラ」「『10人に1人は治療が必要』――怒りを抑制できない『韓国人という病理』」などの文字がおどり、2日の新聞各紙には広告も掲載された。
この内容にネットでは批判が噴出し、同誌でリレー連載「作家たちのAtoZ」を連載していた作家の深沢潮氏は連載から退くことを表明し、小学館の「月刊!スピリッツ」に連載している漫画家のゆうきまさみ氏も「週刊ポスト、僕の漫画に出てくる週刊誌よりひどい」とツイートした。作家の柳美里氏も同誌を批判するツイートを複数投稿している。
一連の指摘を受けて、小学館は9月2日19時に「NEWSポストセブン」サイト上に、週刊ポスト編集部名義で、
「週刊ポスト9月13日号掲載の特集『韓国なんて要らない!』は、混迷する日韓関係について様々な観点からシミュレーションしたものですが、多くのご意見、ご批判をいただきました。なかでも、『怒りを抑えられない「韓国人という病理」』記事に関しては、韓国で発表・報道された論文を基にしたものとはいえ、誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました。お詫びするとともに、他のご意見と合わせ、真摯に受け止めて参ります」
と謝罪文を掲載した。J-CASTニュースでは2日午後、小学館広報に取材したが、これに対しても同様のコメントで回答した。
******
ハフポストNEWS 2019年09月03日
青木理氏「週刊ポスト」の「断韓」特集受け「排外主義的な特集に出版社がすがりついている」
テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し、テレビで韓国に関するニュースが増えている「理由」についても危機感を示した。
ハフポスト日本版編集部
9月2日発売の週刊誌「週刊ポスト」が「韓国なんて要らない」などと題する特集を掲載し、小学館と関わりのある作家らから「差別扇動」などと批判を受けた問題。
発行元の小学館はハフポスト日本版の取材に対し「誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました」などと回答している。
この問題について、9月3日の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)が取り上げた際、コメンテーターとして出演していたジャーナリストの青木理(あおき・おさむ)氏が、「排外主義的な特集をするとそれなりに売れるというようなところにある種すがりついている」というような兆候が出版社の中にあると指摘した。
また、韓国についてのニュースに注目が集まる背景に、「韓国が混乱しているということを、ある種のエンターテインメント」としてとらえる感覚が日本社会の中にあるのではないかと指摘し、危機感を示した。
■「『韓国を叩いておけばうけるでしょ』というような風潮」
青木氏は、2018年に性的少数者に対する差別的な論文を掲載したとして批判を受け、休刊となった月刊誌「新潮45」(新潮社)について言及した後、こう続けた。
「雑誌が全般的に売れなくなってくる中で、こういう排外主義だったりとか、ある種『ネトウヨ(ネット右翼)』的な特集をするとそれなりに売れるというようなところに、ある種すがりついているっていうような兆候が各出版社にあるんですよ」
「ちょっと派手にうてば売れるだろうみたいなところがあって、これが雑誌業界のほんと悲しいところなんだけど、現実としてそういうのがある」
ただ、これは出版業界だけではなく、テレビ業界の問題でもあると指摘した。
「ただ、テレビもそうですよね。テレビなんかでも最近、『韓国を叩いておけばうけるでしょ』っていうような風潮がものすごい強まって、昔日本(メディア)の方が多様性があって、韓国のメディアの方が反日一色だったんだけど、韓国のメディアの方がむしろ今回、文在寅政権に対する疑問の声が出ている」
「(日本で)挙句の果てには、ヘイトクライムを誘発するような発言をテレビで言う人たちが出てくる。雑誌が平気で特集を組む。あるいは隣国を本当に単に差別しているような本がベストセラーになる。我々もメディアの片隅に生きている人間として、ほんと深刻に考えないといけないと思いますよ」
8月には、TBS系の「ゴゴスマ」で、出演者の韓国に関する発言で批判を受け、番組が謝罪をする事案もあった。
■「韓国の混乱はある種のエンターテインメント」ととらえる風潮?
元共同通信記者の青木氏は、日本人は国際ニュースにあまり関心がないと感じてきたといい、韓国のニュースにこれだけ注目が集まっていること自体には「うれしい」部分もあるとしつつ、テレビで韓国に関する報道が多くなっていることの「理由」への危機感を示した。
「(韓国が)混乱するのは、ちょっとある種うれしい、というような気持ちが、今の日本のある種内向きな気持ちが逆に出てきていると、こういう形の興味の持ち方になるのかなという気が。僕は心配です」
「韓国と対立して、韓国が混乱しているということを、ある種のエンターテインメントというかニュースを楽しむ、みたいな感じが日本の中にあるとすると。興味を持つことはいいんですよ、知ることはいいことなんだけれども、あんまり健全じゃない面も一部にあるのかなという気はします」