里の家ファーム

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トランプに握られた日本人の胃袋(最終回)

2020年02月22日 | 食・レシピ

山田元農相に遺伝子組み換えの総本山敗訴の理由を聞いた
  公開日:2020/02/06

 除草剤の「ラウンドアップ」を製造するモンサントは、世界の遺伝子組み換え(GM)種子の90%を握る巨大なグローバル企業である。ベトナム戦争で、それまで製造していた農薬に別の有毒物質を組み合わせて「枯れ葉剤」を作ったことはよく知られるが、ラウンドアップはこれをもとに開発されたといわれている。

 ラウンドアップの除草効果は抜群だった。ただ雑草だけでなく農作物まで無差別に枯らしてしまうため、米国のような大量栽培には使い勝手が悪い。当時、モンサントは遺伝子組み換え種子の研究をしていて、たまたまラウンドアップに耐性を持つバクテリアを発見して、この遺伝子を大豆などの種子に組み込んだ。こうすると、ラウンドアップをまけば、雑草だけが枯れて、農作物だけが生き残る。このGM種子とラウンドアップをセットで売るという戦略は大成功し、今やアメリカの大豆やトウモロコシのほぼ9割が遺伝子組み換えになっている。
 この“遺伝子組み換えの総本山”と呼ばれるモンサントが2018年、ドイツの製薬大手バイエルに約7兆円で買収されたのである。

 その頃、末期の悪性リンパ腫と診断されたカリフォルニア州のD・ジョンソン氏が、がんの原因はラウンドアップにあるとしてモンサントを訴えていた。男性は仕事でラウンドアップを散布していたが、突然皮膚に激しい痛みが出るようになり、モンサントに問い合わせたが音沙汰がなく、やがて悪性リンパ腫と診断されたという。買収から3カ月後、モンサントは敗訴し、裁判所はモンサントを買収したバイエルに約320億円の賠償金を支払うように命じた。バイエルは上訴して約87億円に減額されたものの、昨年の5月には、さらに別の裁判で約2200億円の支払い命令が下されている。

■「機密文書の存在が大きい」と山田正彦元農相
なぜモンサントが裁判に負けたのか?

 私たちは元農水大臣の山田正彦氏に話をうかがった。この裁判に関心が高く、近著の「売り渡される食の安全」にも、1章を割いているほどである。
「この前、ジョンソンさんの弁護士の1人、ロバート・ケネディJrに会ったら、裁判所から秘密保持命令が出ていない資料は全部提供すると言われました。ラウンドアップはがんを引き起こす可能性があることを、モンサントが十数年にわたって認識していたという内部機密文書を証拠として提示したそうです。すでに米国で5万件近い訴訟が起こされています。この機密文書がある限り、モンサントのピンチは続くでしょうね」

 機密文書に何が書かれていたのだろうか?

海外で問題の除草剤が野放し状態…山田元農相が鳴らす警鐘
  公開日:2020/02/07

 2018年以降、モンサントは米国内の裁判でたて続けに3件も莫大な賠償金の支払いを命じられている。どういうことなのか。

 「モンサントが除草剤のラウンドアップを売り始めた時、この農薬はコーヒーやピクルスみたいに安全ですと言ったんだ。それに対してニューヨークでは裁判で、モンサントは不当表示だとして罰金の支払いを命じられています」と山田正彦元農相は過去を振り返る。
 それでもその後、除草剤ラウンドアップの危険性が指摘されることはなかった。山田氏によれば、流れが変わったのは15年、WHO(世界保健機関)の外部研究機関である国際がん研究機関(IARC)が、ラウンドアップの主成分であるグリホサートは「ヒトに対しておそらく発がん性がある」としたことだという。これは発がん性リスクを5段階に分類した中で、2番目に高い危険度を示したものだ。
 さらに17年、カリフォルニア州はグリホサートを発がん性物質のリストに加えた。これは、多くの米国人が、リスト掲載に向けて住民運動を起こしたからだ。もちろんモンサントは差し止めを申し立てたが、却下。320億円の巨額賠償金を認めた裁判は、この流れの中で起きたのだ。

 この裁判が世界中から注目されたのは、モンサントの内部機密文書が出てきたことだろう。誰かのリークではなく、裁判所命令によって開示された文書だと山田氏は言う。そこには、ラウンドアップの危険性だけでなく、さまざまな隠蔽工作も記されていたという。

 「モンサントの社員が、同社の製品の正当性を証明する論文を代筆し、外部の学者に金を払って、論文をその学者の名前で発表させていたこともそうです。内部資料では、すでに十数年前から、グリホサートでがんになることを認識しておったようだ。除草剤のラウンドアップには主成分のグリホサート以外に、界面活性剤などいろいろ含まれているが、これが結合すると相乗効果で発がん性を帯びるようです。ジョンソンさんの裁判では、それらをひた隠しに隠し、詐欺まがいの悪質な隠蔽工作をしたと断定され、それに対する“加罰的”な賠償金が320億円でした」(山田氏)
敗訴は、発がん性そのものよりも、モンサントの企業体質が招いたようだ。

■フランスなど各国で禁止なのに…

 すでに多くの国でラウンドアップは使用禁止になっているが、フランスはこの裁判の後、個人への販売を全面的に禁止した。ところが、今も野放し状態なのが日本だと、山田氏は言う。

 「学校の校庭をはじめ、子供が遊ぶ公園などの公共施設、家庭菜園や庭の雑草駆除に便利ということで、何の疑いもなく使われています。今でも『安心して使える安全な除草剤です』なんて売られている。こんなことをしていると日本だけが取り残されていきますよ」
 日本の行政はどうするつもりなのか。次回からは、こうした不気味な輸入食品に対し、どうやって身を守ったらいいのか書いていく。


食の安全を徹底「生活クラブ」が米国産食品を扱わない理由
  公開日:2020/02/11

 これまで連載で、日本の食卓がトランプの米国に、いかに不気味な食べ物を押しつけられているかを書いてきた。今後もその状況は変わるわけではないが、少しでもリスクを避けるには、どうすればいいのか。そのヒントになるのが生協の「生活クラブ」の姿勢だ。発足以来、50年にわたり、「食の安全」にこだわり、その徹底ぶりは全国に数ある生協の中でも際立っている。

 毎年、組合員自身が生産地や工場に直接出向き、どのような肥料・飼料・原料を使って、どのように生産されているのか、さらに、どのように運ばれているのかまで徹底的にチェックしている。

「私たちは、米国産の食品を基本的に扱っていません」
 その「生活クラブ」連合会企画部の前田和記部長はいきなり、こう言った。

■食の安全にこだわり“疑わしきは使わず”
 「国産自給率の関係で、一部できないものを除いては、米国産の原料は使いません。組合員がチェックし、安全を確かめられる国産原料を基本にしています。外国産を使う場合は現地視察し、情報開示することにしています。“疑わしきは使わず”という予防原則に基づき、健康をおびやかし、環境を破壊するおそれのある原料や化学物質の使用は減らすようにしているのです」

 実際、生活クラブが取り扱う加工食品1419品目のうち、国産原材料を7割以上使用しているものが1048品目に及ぶ。使用を許容している添加物は、国が許可した828品目中、86品目だけだ(2019年6月現在)。

 そんな生活クラブは、問題の遺伝子組み換え作物を原料や飼料から極力排除している。理由は3つある。
「1つは、食の安全について害があると確定的には言えないにせよ、不要なリスクを減らすためです。また、日本は栽培国ではないとはいえ、遺伝子組み換え作物が生態系など環境へ意図せざる影響を与える懸念がある。これが理由の2つ目です。3つ目は遺伝子組み換え作物の種子は特許で守られているため、結果的に種子が寡占状態になる可能性があるからです」(前田部長)
こうした明確な姿勢が支持され、ここ数年、組合員数は毎年1万人増え続けているという。

 生活クラブの宅配エリアは北海道から兵庫県までのうち21都道府県。食材・食品の宅配や店舗利用が可能かどうかを知りたければ、WEBで「生活クラブ」を検索してみるといい。

 では、生活クラブが近くにない人は、どのように食の安全を図ったらいいのだろうか。

(つづく)


なぜ日本の消費者は「食の安全」に関して無頓着なのか?
  公開日:2020/02/13

 アメリカ産の食材・食品を扱わない「生活クラブ」。その連合会企画部・前田和記部長の話を続ける。地域的な問題で生活クラブから安全な食品を買えない人は、どうしたらいいのか。

前田部長はとにかく食品の包材の表示欄をチェックしてみることだという。

「加工食品の原材料は重量順に記載されており、その第1位の原材料には原料原産地を書くことが義務化されましたから、その表示を見て国産ものを選ぶことです。また、原材料と添加物を区別するスラッシュルールが始まっていて、スラッシュ(斜線)が入った後はすべて添加物という表示に変わりましたから、スラッシュの後ろに見慣れない名前の添加物が多い商品は避けることで、リスクは下げられます」
 添加物の毒性評価については、国が安全性を認めた828種類が使用OKとなっているが、複数の添加物を同時に摂取したときの毒性評価はほとんどなされていない。スラッシュ以下はできるだけ少ない方がリスクを下げられるという。

■SNSで目覚め始めた米国人

 次に、アメリカの消費者の「食の安全」に関する意識を聞いてみた。日本人同様、成長ホルモン肉や遺伝子組み換え食品を食べ続けているのか、それとも変化が出てきているのか気になるところだが、リスクのある食品から距離を置く米国人が増え、オーガニック(有機栽培)が人気だという。

 「米国のオーガニック市場は30年前とは比べものにならないほど拡大し、約6兆円とされます。それを支えているのは30代以下の世代です。彼らは、生き方ばかりか食の安全についても、飽食世代とは違う価値観を持ち、それがSNSでシェアされて広がり、オーガニックブームの原動力になっていったのです」(前田部長)
 かつての米国の消費者は、いまの日本人と同じくらい食の安全に無頓着だったというが、それはマスメディアの責任が大きい。食品会社や農薬会社からの訴訟リスク、ロビー活動、広告減少などを気にして、警鐘を鳴らす記事を自主規制してきた。それがSNSの広まりで、食の安全に関する情報が拡散され、大きなうねりになってきているという。

 「結局、日本の消費者は情報がないのではないでしょうか。なぜ長い時間かけて運ばれてきた米国産の穀物や果物が腐らず、大きな利益を得ているのか。どのようなエサを食べてどのように育てられているのか。何も知らされずに、ただ、安い、うまい、珍しいだけを基準に食材を選んでいる人も多いのではないでしょうか」(前田部長)

 無知に慣らされた日本の消費者。トランプと米国の生産者のカモにされている、と指摘されても仕方ないだろう。

安ければいいの落とし穴 食卓が米国産で埋め尽くされる日
  公開日:2020/02/14

 トランプと安倍政権の間で妥結した日米貿易協定。それによって今年1月から、米国産の安い牛肉や豚肉が大量に入ってきている。日本のスーパーマーケットでは、安い米国産肉が大人気のようだが、そんなものをバクバクありがたがって食べていると大変なことになると、この連載では繰り返し指摘してきた。

 さすがにアメリカの消費者も、危ない食料を食べ続けてきたことに気づき始めたようで、健康リスクを考える人たちが増え、割高でも成長ホルモンを使わない牛肉や、農薬や化学肥料を使わない有機野菜を求めて、ファーマーズマーケットなどが人気になっている。

 健康に良いとされる食材を使ったレストランやハンバーガーショップも売り上げが右肩上がりで、2000年に屋台から始まった「シェイクシャック」は2019年には世界で230店舗以上を展開。ウリは抗生物質や成長ホルモンを使用せず、100%米国産のアンガスビーフを使ったハンバーガー。トランス脂肪酸を排除したフライドポテトなどの品質の良さも人気の秘密のようだ。
ただ米国では、中流階級以上で食の安全への意識が高い人たちは有機食材を食べ、下流の人は安くて健康リスクがあるものを食べるという二極化が進んでいる。それでも有機食材への需要は毎年2桁の割合で増えているという。

 一方の日本では、ホルモン漬けの米国産牛が増えるだけではない。日米貿易交渉で飼料用の遺伝子組み換えトウモロコシ3カ月分約275万トンを追加購入すると伝えられた。山田正彦元農相によれば、3年間1000万トンを約束しているという。米国で見向きもされずに余ったものが、日本に流れてくるのだろう。

 アメリカの食料事情に詳しい「生活クラブ」連合会企画部の前田和記部長がこう言う。

 「米国の穀物生産者は穀物市場の動向を自分でリサーチして、作付ける品目と栽培規模や方法、そして出荷のタイミングや規模を計っています。オーガニックブームの今後の動向は常に気にして農場を経営しているのです。その点、日本からは安ければいいというシグナルしか届いていない。ここが問題だと思います」

これは重要な指摘だ。

 子どもたちに安全なものを食べさせたいと願う消費者が増えれば変わるが、「安ければ、米国産であろうと何でも構わない」と思っている限り、状況は変わらない。いや、悪化していくだろう。トランプとその支持基盤である大農場が輸出する不気味な米国産食料で日本の食卓が埋め尽くされ、身動きがとれなくなる日は、すぐそこに迫っているのだ。(おわり)

奥野修司ノンフィクション作家
▽おくの・しゅうじ 1948年、大阪府生まれ。「ナツコ 沖縄密貿易の女王」で講談社ノンフィクション賞(05年)、大宅壮一ノンフィクション賞(06年)を受賞。食べ物と健康に関しても精力的に取材を続け、近著に「怖い中国食品、不気味なアメリカ食品」(講談社文庫)がある。


 長い連載でしたが今日で終わらせます。日本国民の命と財産をたやすくアメリカに渡す自民党政治を終わらせましょう。アベさん、もう十分に詰まれています。もうおやめになったらいかがでしょう!

今日のお散歩

自宅周りです。

小川の姿がだんだん見えてきました。