日刊ゲンダイ 2020/02/26
中村文則氏(作家)
以前のモリカケ問題の時、政権に好意的な人たちも、首相たちの言い訳が全て本当と思った人は少なかったのではないか。政権を表面的には擁護しながらも、首相たちもまあ反省するからよくなると思った人もいたのではないか。だが反省も何もなく、むしろ悪化し現在の桜問題につながった。
モリカケの時、こんな言い訳をする首相を各国首脳は信用できないし、拉致問題も北方領土も解決するわけがないと思ったがやはりそうだった。忠犬と見間違うほどみっともない一部マスコミを使い盛り上げ期待させ、現実は何も進んでないばかりか後退した。「外交の安倍」と持ち上げていた記者たちは今どんな顔でご飯を食べているのだろう。
そして今回の新型肺炎の杜撰な対応。クルーズ船での現場のスタッフたちは懸命に働いたはずで頭が下がるが、初めに全員検査をしなかった国の方針が完全に間違っていたため悲惨な結果になった。海外メディアも船周辺に集結し、世界に恥をさらした。世界中の専門家たちが間違っていると指摘する中で、適切だったとモリカケや桜問題と同じように政権は言い、結果船内から死者を出し下りた乗客の方に陽性反応が出た。そしてモリカケと同じように反省もせず改善も成長もせず、適切適切と言いながらまた次の惨劇を生むだろう。
拉致問題と同じようにやってるイメージだけまき散らし、メディアや応援団を巧妙に使いクルーズ船をはじめとした新型肺炎の対応の不備も誤魔化し続け嘘もつき続けるのではないか。税金をドブに捨てるほどの無駄遣い、国家の私物化の領域を越え、とうとう国民の生命の危機の領域まで現政権の弊害が入り込んできた。保健所で新型肺炎の検査が拒否されているという各地の訴えは何を意味するのか。一体何をやっているのか。
もうマスコミは忖度するな。実体よりイメージを優先するこの政権はもう限界だし、そもそも誕生するべきではなかった。
湧き水汲み
水量が少ない。いっぱいになるまでここの階段を上がり降りし、足腰の鍛錬。