小池書記局長が要求
「しんぶん赤旗」2020年8月12日
日本共産党の小池晃書記局長は11日、国会内で記者会見し、香港警察による黎智英氏と周庭氏らの逮捕に対し「日本共産党として強く抗議する。弾圧の即時停止と釈放を求める」と表明しました。
小池氏は「これは重大な人権問題であって、人権問題は国内問題ではない。国際問題だ。われわれがこれを強く批判し釈放を求めることは、内政干渉にはまったくあたらない」と述べました。
その上で、両氏の逮捕容疑が香港国家安全維持法違反とされていることに言及し、同法は「香港の議会である立法会でも審議されておらず、中国政府が一方的に押し付けたものだ。内容も手続きも、香港の高度な自治を蹂躙(じゅうりん)するものであるといわざるをえない」と批判。「香港での市民的・政治的な自由を求める個人と運動への中国当局の直接介入、弾圧を可能にするものだと指摘してきたが、まさに今回、実際にこの法律が弾圧に使われた」と強調し、「改めて香港国家安全維持法の撤回、廃止を求める」と表明しました。
さらに、菅義偉官房長官が同日の記者会見で、一連の事態に「重大な懸念」を表明したことにふれ、「日本政府は、この問題をただ“懸念がある”と言って見ているだけですませるのではなく、今回の一連の事態に厳しく抗議し、弾圧の中止と釈放を中国政府に対し要求すべきだ」と主張しました。
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日航機墜落 きょう35年
上を向いて歩こう、今
坂本九さん長女 大島花子さん
「しんぶん赤旗」2020年8月12日
命の尊さ・希望・生きる力 歌い続ける
乗客乗員520人が犠牲となった日航機墜落事故から12日で35年。乗客の中には、「上を向いて歩こう」などのヒット曲で知られる国民的歌手の坂本九さんがいました。「命の尊さと希望、生きる力」をテーマに歌い続けている坂本さんの長女、大島花子さんに聞きました。(栗田敏夫)
新型コロナウイルス感染拡大のもとで、予定していた講演やコンサートがすべて中止になってしまいました。今は、配信ライブなどを模索しています。とにかく、一刻も早く事態が収束して、コンサートや講演などが開催できることを祈っています。
歌を生(なま)で届けたい、ということを大切にしてきた私にとって厳しい日々です。
私に限らず、音楽や芸術に携わっている人たちは、みなさん大変な状況だと思います。
動画に
音楽とか芸術活動のともしびがこのまま消えてしまうのではないかという心配がありました。
そういう状況だからこそ、歌いたいし、歌を多くの皆さんに届けていきたいという思いはかえって強くなりました。
とはいえ、正直歌う気分にはなれない自分がいました。でも、医療の最前線でがんばっている友人がいたり、仕事を失った方がいたり、自分のためでもあったのですが、「上を向いて歩こう」を動画に撮り、ネットにあげました。
自分自身で動画を撮ることは、初めてでした。弾き語りしながら、自分に向き合い、今だからこそ歌える歌にしたいなという気持ちでした。
父の代表作ともいえる歌です。私にとって大事な曲です。コンサートでは毎回のように歌ってはいる曲なんですけど、簡単に歌える曲じゃない。大切すぎて、私なりに覚悟を持って歌いました。たぶん100回ぐらい撮り直ししました。
家の狭い窓から広い空を見上げて、いろんなことを思いながら過ごした日々の思いを刻んでいきました。
深い傷
父の死は、35年たった今も受け止められないでいます。そのことに関しては、ずっと感情をマヒさせてきたのかもしれません。とにかく、父の死は計り知れない衝撃だっただろうと思います。
ある意味、焼け野原のような心だったのかもしれません。でも、傷が深いだけに、悲しみとか残酷さより、命の尊さ、希望、生きる力を伝えていきたいと考えています。
悲しみ支え合う社会を
事故の現場に、昨年息子を連れていきました。私が事故を体験した年に近づいたこともあって。とくに事故について話したこともありませんけども、何かを感じてくれればと思いました。美しい山並みが戻っていました。行くたびに登山道もきれいになっていて、管理してくださる方がいて本当に感謝しています。
東日本大震災の被災地にも数十回通っています。
そばに
困っている方がいらっしゃるのであれば歌うというよりも何かそばにいてあげたいという、そんな思いで始めていろいろと広がっていきました。
みなさん、大切な家族や家とか仕事とか大事なものを失うという経験をされているので、同じような経験した者同士分かり合えることもあるのかなとも思います。
私自身、救われた経験があるんです。事故から30年くらいたったときグリーフケアということに出合ったんです。悲しい体験について、言いたくないことは言わなくてもいいですよとか、泣きたい時は泣いてもいいんですよ。嫌なこと思い出して悲しくなって、苦しくなる、それはすごく自然な現象なので、それはいいんですよ、とか言ってもらって私はすごく救われました。それまで、そういうケアを受けられる機会がなかったので。治る薬もないし、病院に行っても助けてくれないんですけれども、それを治せる力っていうのは、自分の中に備わっているんですよってことを言ってもらいました。
それをきっかけに、深い悲しみ、苦しみによりそい、自分自身で回復することを手助けするグリーフサポートという活動に携わるようになりました。
そういう人間関係が普通に社会の中でも、お互いを支え合えるようになればと思っています。
道半ば
とはいえ、私自身もまだ道半ばといいますか、完全に回復しているとは思っていません。でも、それでいいんだってことを含めて自分を常に大事にしてあげなきゃいけないなあと感じています。そして、そのことを多くの人にも伝えてあげたい。私が救われたように誰かも救われるのであればという思いです。
ラブソングが世の中に多いのは愛があるから、すごく愛しているからこそ別れがつらいわけです。
いろんな形の愛が世の中にあります。むしろ愛するからこそ寂しいとか、つらい出来事を忘れられないんですとか、なかなか前に一歩踏み出せないとおっしゃる方が多いんですけれども、それでいいのではないかなっていうメッセージが私の中ではあって、コンサートは悲しみばかり歌っているわけじゃなくて、むしろ希望、愛を歌っているつもりです。
どうしても、事故の話がショッキングなので、皆さんそういうところに興味を持たれますけど、私がいいたいのは、生きていることは素晴らしいこと、だからこそたくさん愛していたんだなとか、だからこそ幸せになったりとか、伝えたいのはそのことなんです。
悲しみが大きいからこそ見えたことを、命の尊さ、希望、生きる力を、これからますます伝えていきたいと思います。
おおしま・はなこ 11歳のときに、日航機墜落事故で父坂本九を失う。大学入学と同時にミュージカルで初舞台。その後歌手を志し、作詞作曲を開始。通常のコンサートのほか、出産を機にはじめた親子コンサート、被災地でのライブ、病院や高齢者・福祉施設でのライブ、行政主催の人権イベント、学校公演など幅広く活動。