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イベルメクチン投与の現場医師 変異株にも有効「スーパー中和抗体」 富山大など作製

2021年06月26日 | 健康・病気

50人超のコロナ患者にイベルメクチン投与の現場の医師 厚労省が認めるも“ノータッチ”の医師会に苦言

飯塚大和

AERAdot 2021.6.26

 新型コロナウイルスへの改善効果が期待されている、抗寄生虫病の特効薬「イベルメクチン」。インドやペルーで投与後に一定の効果が見られたことや、世界56カ所での臨床研究で改善データが集まっていることについては、当サイトの記事「日本発『イベルメクチン』インドがコロナ治療で感染者数減もWHO『反対』のナゼ」で報じた。

 厚労省は「コロナ治療に対するイベルメクチンの保険適用」を認めており、すでに現場ではイベルメクチンを投与している医師もいる。先駆けて100人近くの自宅療養者にイベルメクチンを処方してきた兵庫県尼崎市の「長尾クリニック」院長・長尾和宏医師が、イベルメクチンについて見解を語った。

――これまでに何人ほどのコロナ患者にイベルメクチンを投与してきたのでしょうか。

 処方したのは100人ほどで、実際に飲んでいただいたのは50~60人の患者さんです。重症化してからの処方では遅いので、第4波からは陽性が判明した時点でほぼ全員に処方しています。中等症2以上の方には最初から飲んでもらうし、軽症または中等症1の方には、中等症2になった時点で飲めるように、最初から手持ちにしておきます。一人暮らしの高齢者の方、特に認知症の方は飲むのを忘れてしまいかねないので、私が実際に家に行って、目の前で飲んでもらっています。

 イベルメクチンは一方的に処方するのではなく、患者さんに説明して、事前に承諾を得た上で出しています。「賛否両論あるけれど、インドでは飲んで良かったという報告がある」「一般の薬のような副作用はあるけれど、この量だったらまず大丈夫だと思いますがどうですか」と伝えています。

ーーコロナ禍の早い段階で投与を始めたからか、注目を浴びることも多いですね。

 以前出演したテレビ番組で、ステロイドや酸素とともにイベルメクチンを投与していていることを軽い気持ちで言ったら、ステロイドや酸素には反応しないのに、イベルメクチンだけには過剰に反応されるので、私としてはびっくりしています。イベルメクチンは皆さんにとっては言葉が目新しいのか、すごい反響なのですが、私にとっては普段から使っている薬なので、特別なことをしているという意識はまったくないのです。

イベルメクチンはダニが人の皮膚に寄生しておこる病気「疥癬」(かいせん)の特効薬で、在宅医療の現場では、普段から使っている薬。新しい薬でも珍しい薬でもなんでもなくて、普段使っている薬をコロナの患者さんにも飲んでもらう、ただそれだけなんですよね。

――賛否両論ある中でイベルメクチンを投与するということは、リスクよりも期待できる効果が上回るという考えのもとなのでしょうか。

 そうです。私は第1波の時からステロイドを使ってきましたが、ステロイドに比べれば、イベルメクチンの方が薬剤としての重さ・副作用が軽微です。風邪薬とは言いませんが、普段から使っている薬で、常備薬に近い。今まで使っていて、副作用や困ったことは何もありません。

 私は専門家でもなんでもないし、ただの町医者です。イベルメクチンについてはいろんな議論がありますし、効くと唱える人もいれば、効かないと言う人もいる。ただ、私は医師として、「やるべきことは全部やる」という意識を持っています。イベルメクチンというのは数少ない武器の一つで、安価で低リスクのもと使える薬です。もし使わずに自宅で亡くなられでもしたら、悔やまれると思うんです。急性の病気に対する医療では、病院でも自宅でも、やるべきことを全部尽くしていくのが基本です。そういった意味で、イベルメクチンは外せないものだと思っています。

――イベルメクチンを使っていく中で、効果を実感されたタイミングはありましたか。

 過剰にとらえて欲しくないので、私のブログではあえて「おまじない」と言うようにしていますが、効果を実感したことはありますね。自宅療養の患者さんから「苦しい」と電話があり、イベルメクチンを飲んでもらうことがありますが、翌日には元気になって食事できるようになっていることも経験しました。

――WHOはエビデンスの不足などを理由に反対姿勢をとっていますが、改善データが増えてきたことで、イベルメクチンをめぐる情勢も日々変わってきていますね。

 3月の参議院予算委員会で、田村憲久厚労大臣が「イベルメクチンを新型コロナの治療に使っていい」「保険請求もしていい」と答弁されました。それに対して(医師でもある)梅村聡議員が「では、なぜ政府としてもっと大きな声で言わないのか」といった旨の質問をしたところ、「国としてエビデンスが不十分だから、推奨しているわけではない」という答弁でした。つまり、「使いたければ使っていただいて、保険請求していただいていい」ということです。

 この答弁について、私は理解できます。国からしたら、まだよく分からないものに対して良い・悪いについては言及できない。でも、とりあえず「お墨付きを与えたわけではないけれども、使ってもいいよ」ということは、非常時にはあると思うんですね。そういう言質をしっかりとっているわけです。

ーー国が言及したことは普及の後押しになりますか。

 そうですね。ただ、間違ってはいけないのは、ワクチンの代わりのように思ってしまうことです。いざという時のために予防的に所持しておきたいという人が非常に多いですね……。予防投与をしたいという気持ちはわかるのですが、そもそも保険診療のルールというのは「治療」に対して保険が適用されるのであって、「予防」に関しては基本的に認められていない。例えば「下痢をした時のために下痢止めを先にください」「風邪をひいた時のために風邪薬を先に下さい」「がんになるかもしれないから抗がん剤を先に出してください」などといったことはできませんよね。インフルエンザの治療薬であるタミフルやリレンザは、特例として予防投与も認められていますが、イベルメクチンはコロナの発症予防としての予防投与が保険で認められていない。

 では、「自費診療」なら予防投与として出していいのかという点ですが、自費診療といえども、ちゃんと診て処方しないといけません。診察せずに処方箋を出してしまえば、「無診察投薬」といって、医師法第20条違反に問われてしまいます。私のもとには「自費で構わないから処方箋を書いて送ってくれ」といったメールや手紙がたくさん届くのですが、今の医療のルールでは一切してはいけないことなのです。処方の対象者はあくまでも、診察した患者さんのみです。市販でも売っているようですから、買って独自で飲んでいただく分には自己責任です。

――厚労省が保険適用を認めていながら、なぜ、イベルメクチンを処方する医師が少ないのでしょうか。

 それは、裏を返せばコロナ患者を診ている医師が少ないからです。日本に10万件の開業医があったとして、そもそもコロナ患者を診る開業医=発熱外来をやっている診療所は1割にも満たない。おそらく5%程度でしょう。これは、「自院の患者で発熱した患者がいたら診ます」という所も含むわけです。そして、初診の発熱患者を診る機関はもっと少ない。診断まではするというのが3%だとして、その後のフォローをする機関はさらに少なくなる。

 私は第1波の昨年4月から、コロナ患者に携帯電話の番号を教え、24時間自宅療養者を管理できる体制をとってきました。400人以上の患者さんに番号を教えて、「何かあったら夜中でもかけてきて」と伝えています。実際、私の携帯電話には、患者さんから夜中にかかってくることもあります。保健所に電話しても電話が通じないし、救急車を呼んでも運んでくれないからです。発熱患者が保健所やかかりつけ医に電話相談しても治療が施されず、たらい回しにあっているような状況がいまだにあるわけです。そもそも診療していないので薬が出るわけがないんですよ。

 本来であれば、それを戒めるのが日本医師会の役割だと思うのですが、なんのメッセージも出していない。

――日本医師会はイベルメクチンについて、どのような対応をとるべきだと考えますか。

 コロナと診断して重症化するような人、あるいは自宅待機になりそうな人には、イベルメクチンを出しておけばどうなんですかと、一言レコメンデーションを出しておけばいい話。もしくは医師会が自宅療養者やホテル療養者にイベルメクチンを配布して「良かったら飲みませんか」と声かけをする。あるいは「イベルメクチンのこういう使い方は良くない」とか「副作用はこうですよ」といった注意喚起をする。これだったら納得しますが、まったくそういうこともしていない。

 先ほども言いましたが、田村厚労大臣は国会の場で「イベルメクチンを医師の判断で使ってもいい」「保険請求して構わない」と明言している。それにもかかわらず、プロ集団である日本医師会からイベルメクチンに関して何か一言でもコメントを発しましたか? ノーベル賞を取った、日本が世界に誇るメイドインジャパンの薬がすぐそこにあるのに、なぜ、それに関して日本医師会が一言も言及していないのか。僕は理解できません。現に、多くの人たちが薬を欲しがっている。それに関してコメントやメッセージを発したり、政府に働きかけたりといったこともしない。多くの市民が医師会の士気の低さを批難しているので、具体的な行動で名誉挽回をはかるべきです。

――最後に、医師として伝えたいメッセージなどがあればお願いします。

 イベルメクチンを分けてくれと殺到するのを見て私は驚くばかりで、近くのかかりつけ医に相談すればいいのではと思うのですが、よく考えてみれば、そういうことをやっている医者がいないということの裏返しなんですよね。そもそも医者は何のためにいるのか? 病んでいる患者のためにいるわけでしょう。ですが、患者が本当に困っている時にかかりつけ医の役割を本当に果たせているのでしょうか。第一線の開業医の脆弱さや、日本医師会の関心の低さ……こうした現状が、イベルメクチンをめぐる状況を通して透けて見えてくるのではないでしょうか。

 

長尾和宏(ながおかずひろ)

1958年香川県生まれ。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。医学博士、関西国際大学客員教授。複数医師による年中無休の外来診療と在宅医療に従事。新型コロナウイルス蔓延以降、自宅療養のコロナ患者も精力的に往診している。

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変異株にも有効「スーパー中和抗体」 富山大など作製

朝日新聞デジタル 2021年6月18

竹田和博

 富山大と富山県衛生研究所の研究グループが、新型コロナウイルスの変異株にも有効な「スーパー中和抗体」を取り出し、人工的に作ることに成功した。軽症や中等症の患者に投与することでウイルスの増殖を抑えて重症化を防ぐことが期待できるという。

 斎藤滋学長らが16日、同大で会見し、発表した。

 研究グループによると、中和抗体は新型コロナの感染から回復した患者の血液にでき、ウイルスが細胞に入るのを防ぐ。人工的に作ることができれば治療薬に使えるため、国内外で研究・開発が進んでいる。

 同大は昨年末に研究に着手。重症から回復後2週間以上経った患者のうち、強い抗体を持っている人を選び、血液から遺伝子を取り出して人工的な抗体をつくった。その後、最初に感染が広がった武漢型に加え、第4波で猛威を振るった英国型、現在懸念されているインド型などの変異株にも有効な抗体を特定したという。

 確認段階だが、ブラジル型にも効くと考えられるという。スーパー中和抗体はウイルスと結びつく際、変異した部位ではなく、感染にとって重要な共通の部位を標的にすると推定され、今後生じる新しい変異株に対しても効果を発揮できる可能性があるという。

 斎藤学長は「いかに早く製品化できるか。残念ながらワクチンでは、日本は大きく後れを取った。この分野では何とか世界のトップについていって、日本から世の中に出したい」と述べた。(竹田和博)

 

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コロナ夢の治療薬 日本発スーパー中和抗体、富山大など作製 救命率の向上期待

スポニチ[ 2021年6月17日 

 富山大などは16日、新型コロナウイルスが体内で増殖するのを妨ぐ「中和抗体」を巡り、アルファ株(英国株)やデルタ株(インド株)など現在、確認されているほとんどの変異株にも効果がある「スーパー中和抗体」を作製したと発表した。重症化を防ぐ治療薬として使えば、救命率の向上が期待できるという。

 新型コロナウイルスは、ウイルス表面にあるスパイクと呼ばれる突起が人の受容体に結合することで感染する。中和抗体が突起に結合すると、受容体への結合が阻害される。

 ワクチンや治療薬の開発で、国内外の機関が中和抗体の研究をしているが、今回の「スーパー中和抗体」はデルタ株を含む、ほとんどの変異株で効果が確認されたことが画期的。ウイルスの中でも突然変異が起こりにくい部分と結合するため、新たな変異株が出現しても効果がある可能性が高い。

 富山大は過去に取得した14の国内外の特許技術を組み合わせることで従来2カ月以上かかる中和抗体の作製を1~2週間で可能にした。同大は「現状で世界最速レベル」としている。

 「スーパー中和抗体」は重症から回復した患者から特に強い中和抗体を持つ人を選別。その人の血液中の細胞から抗体の遺伝子を取り出し、複数の人工的な遺伝子組み換え抗体を作った

 富山大で記者会見した斎藤滋学長は、現時点で最も理想的な抗体だとしており「治療薬開発にとって大きなインパクトがある研究成果だ」と強調した。新薬の開発は通常数年かかるが、今後、製薬企業と連携し、早期の実用化を目指すとしている。

 ワクチン接種も体内で中和抗体を作りだすものだが、変異株に関しては1年後に抗体量が減るとの研究も発表されている。相次いで現れる変異株に対応できる中和抗体の開発は世界中で注目されており、日本発の「スーパー中和抗体」の製薬化に期待が寄せられている。


色付きだしたハスカップ。

春に植えたハスカップの木。実が数個なっています。
向かいにあるハスカップ狩りの熊沢農園さんも、きょうオープンしたようです。