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医療費2倍化 高齢者の命・健康脅かす悪法  

2021年06月02日 | 健康・病気

「しんぶん赤旗」2021年6月2日

 2022年度から原則1割の75歳以上の医療費窓口負担に2割負担を導入する「医療費2倍化法案」の審議が緊迫した場面を迎えています。政府・与党は週内にも成立させようと狙っています。しかし、国会論戦などを通じて高齢者の命と健康を脅かす法案の問題が次々と浮き彫りになっています。国民の生存権を脅かす悪法は、廃案しかありません。(佐久間亮、藤原直)

受診控え影響今でも

 2割負担の導入で最も恐ろしいのが受診控えによる健康悪化です。厚労省は負担増による「受診行動」の変化で医療給付費が年間1050億円も減少すると試算(配慮措置終了後)。ところが菅義偉首相は「直ちに患者の健康への影響を意味しない」と開き直っています。

 負担増額は平均でも年間3万4千円。医療機関を頻繁に利用する重症者ほど大きくなり、年間10万円以上になる人も1万2千人に上ります(配慮措置終了後)。窓口負担には上限額がありますが、理論上の負担増額の最大値は年間34万6千円です。

 この間の2度の消費税増税に加え、年金は6月支給分から引き下げられるなど高齢者の暮らしは痛めつけられています。国民健康保険料や介護保険料も各地で大幅に値上がりしています。

 75歳以上を対象とした広島中央保健生協の調査では、法案が2割負担の対象にしている世帯(単身年収200万円以上、夫妻年収320万円以上)の3割超が、現時点でも医療費の支払いに負担を感じていると回答。全体の約4割が、2割負担が導入されれば受診控えをせざるを得ないと答えています。

 「階段から落ち打撲がひどかったがレントゲン代がかかるので受診せず」「月に2回受診すべきところを1回に減らす」など、すでに受診控えが起きていることを示す回答も目立ちます。

 2割負担が導入されれば高齢者の命と健康は直ちに影響を受けることになります。

対象どこまでも拡大

 今回の法案には2割負担の対象は「政令で定める」としか書かれていません。高齢者の命と暮らしに直結する大問題にもかかわらず、法案を通してしまえば、もう国会に諮ることなく政府の判断で対象範囲をどこまでも広げることが可能になります。

 現在、政府が想定している2割負担の対象者は約370万人です。しかし経団連は、75歳以上の課税世帯に属する945万人全員を2割負担にするよう求めています。(すでに3割負担となっている世帯、130万人を除く)

 昨年12月の公明党の山口那津男代表との会談で菅首相は、単身世帯で年収170万円以上(520万人)を対象とするよう執拗(しつよう)に主張しました。法案が通れば、政府・財界がさらなる対象範囲拡大に動きだすのは必至です。

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は法案が通ってもいないうちから「資産の保有状況等も勘案した負担の在り方も引き続き検討すべき」だと主張(5月21日発表の建議)。2割負担の対象拡大とともに、保険料の負担増につながる改悪まで求めています。

現役も若者にも打撃

 菅首相は、75歳以上への2割負担の導入は「現役世代の負担上昇を抑える」ためのものだと語ってきました。この言い分はすでに崩れ去っています。

 今回の2割負担導入によって軽減される現役労働者の保険料負担額は1人当たり年350円(月30円)にすぎません。現在22歳の人を考えた場合、単純計算で、74歳まで支払う保険料の軽減額は平均で合計約2万円にすぎない一方で、75歳以降は毎年平均3万4千円の負担増です。

 現役世代も人生全体でみれば今回の法改定で負担が大幅に増えるのが実態です。しかも、75歳以上の負担増は高齢の家族の生計を支える現役世代にも当然打撃となります。

 今回の法改定で負担が減るのは国・自治体の公費負担が年980億円と最も多く、事業主の保険料負担も年300億円は減ります。

 現在の後期高齢者医療制度の前身である老人保健制度ができた1983年、老人医療費に占める国庫負担の割合は45%でした。その後の改悪で後期高齢者医療制度を導入した2008年度には、後期高齢者医療費に占める割合で36%にまで低下。20年度では33%にまで減っています。

 現役世代の負担が増えたのは、政府が国庫負担を減らしてきたからです。「現役世代の負担軽減」をいうのなら減らしてきた国庫負担を元に戻すべきです。

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医療費2倍化は人権侵害

立教大学教授(社会保障論) 芝田英昭さんに聞く

「しんぶん赤旗」2021年6月2日

 「高齢者医療費2倍化法案」について立教大学の芝田英昭教授(社会保障論)に聞きました。

 今回の法案による75歳以上の一部負担(窓口負担)の増加で病院に行くことに対する自己抑制が起きることは明らかです。国民が必要な医療が受けられなくなることを政府が事前に知りながら負担増をはかるというのは、あってはならないことであり、人権侵害だと思います。

 政府は「能力に応じた負担を」と言いますが、応能負担は、受診抑制をもたらす一部負担ではなく、税と保険料で、コロナ禍のもとでも富を増やしている富裕層や大企業にこそ求めるべきです。

 そもそも一部負担自体が問題だということにも目を向ける必要があります。

 社会保険は、公的社会的責任のもとに運営されています。私的保険とは違い強制加入です。当初から低所得者やリスクの高い人の加入を前提に制度が構築されています。そして、必要な給付を、保険料だけではなく、むしろ公的負担や事業主負担で保障するという人権原理で成り立っています。

 そもそも保険事故が起こる前から保険料を支払っているにもかかわらず、サービス利用時に再度一部負担を強いるのは費用の二重徴収であり、利用抑制が目的とのそしりは免れません。

 命を守る医療保障は無償が原則であるべきです。実際に先進諸外国では近年、医療の一部負担が軽減されたり、なくなっていく方向にあります。日本も1980年代までは「健保本人は無料」「老人医療費無料制度」でした。

 基本的人権を保障するのは国の当然の責務との発想で社会保障の未来像を構築し、それに向けて運動を展開していくことが必要ではないでしょうか。

 政府は、制度の「持続可能性」を言うのなら、公費負担こそ増やすべきです。

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今やるべきは負担軽減策

高齢者も現役もコロナ禍で失業拡大 医療費2倍化を批判

「しんぶん赤旗」2021年6月2日

倉林氏、首相に迫る 参院委

 日本共産党の倉林明子議員は1日の参院厚生労働委員会で、75歳以上に医療費窓口2割負担を導入する「高齢者医療費2倍化法案」をめぐって、コロナ禍で高齢者も現役世代も容赦なく雇用が奪われているとして、「いまやるべきは負担軽減策を手厚くすることだ」と迫りました。(法案の問題点3面)

 倉林氏が、コロナ禍で、足りない年金を補うために働かざるをえない高齢者やその生活を支える現役世代の廃業・失職が広がっているとただしたのに対し、菅義偉首相は「少しでも多くの方に支える側に立っていただく」と負担増を正当化しました。倉林氏は「全世代が苦しんでいる時に高齢者狙い撃ちの負担増など断じてやるべきではない」と批判。政府は「現役世代の負担軽減のため」と言うものの、軽減分は労働者1人あたり月平均33円(2025年度)にすぎず、公費負担は年1140億円減(同)だとして「公助である国庫負担の引き上げこそ必要だ」と求めました。

 菅首相は「安定財源の確保という難しい課題がある」と言い訳に終始。倉林氏は資産1億円以上の富裕層と同5億円以上の超富裕層が11年度比で世帯数6割増、資産約8割増だと示し、「ここにこそ負担増を求めるべきだ」と強調しました。

 さらに倉林氏は、コロナ禍で医療のひっ迫、インド型変異株の拡大の懸念、ワクチン接種の遅れなどの問題があるなか、「総理は『国民の命よりオリンピックを優先することはない』と明言した。それならきっぱり中止すべきだ」と主張しました。


菜の花情報。
写真なし。やや色あせてきた感じ。

当初☁の予報が☀に代わってしまった。気温もようやく20℃に達したようだ。ハウスの中は35度を超えている。ミニトマトの定植作業。気温が低かったので生育が良くない。つい先日までストーブを点けていたのだ。体にきつい。外へ出て日陰に入ればひんやりしている。

オダマキ