「しんぶん赤旗」2022年7月18日
新型コロナと物価高騰があいまって、子どもに満足にご飯を食べさせてあげられない―。子どもの学習支援や食料支援などに取り組む、認定NPO法人「キッズドア」が、困窮子育て家庭緊急アンケートを実施。夏休みに緊急食料支援を進めるため13日、オンラインで準備状況を報告し、広くサポートを呼びかけました。(堤由紀子)
物価高騰で生活苦85%
困窮子育て家庭アンケート
キッズドアでは、高校生までの子どもをもつ困窮世帯に対し、困難から抜け出すための物資・情報・就労支援を行う「ファミリーサポート」を実施しています。コロナ禍でさらに困窮する子どもたちを応援したいと、緊急食料支援を重ねてきました。同サポートの登録者を対象に、夏休み支援に関する緊急アンケートを行いました。(6月10~14日、回答者数1386人)
「最近の物価高騰で生活は苦しくなりましたか?」に対し、48%が「大変苦しくなった」と回答。「苦しくなった」も37%でした。
最近の子どもの食事の状況については「食事の質(栄養バランス)が悪くなった」「食事のボリューム(量)が減った」「肉や魚が買えない」「おかずをつけられない」「お米が買えない」などと続き、「特に困っていない」はわずか5%でした。
夏休みの食事については81%が「不安がある」と答えています。
日本のひとり親 世界一働き貧困
キッズドア理事長の渡辺由美子さんが、食料支援を必要とする社会的背景を説明しました。
日本のひとり親家庭の貧困率は48・1%で、OECD加盟34カ国で一番高い割合です。母子世帯の82%が就労していますが、その半数以上が非正規雇用のため収入が低いと強調。「世界一働いているのに、世界一貧困な日本のひとり親、世界一のワーキングプアだ」と指摘しました。
ひとり親の貧困率が高い理由として▽長らく続いてきた就業構造と男女の賃金格差▽養育費の受取率が低い▽税の再分配率が弱すぎる―ことをあげました。
日常的にこうした困難をかかえたひとり親家庭に、新型コロナ感染拡大が襲い掛かりました。
渡辺さんはコロナ禍の経済的被害の特徴として、「仕事をしている現役世代に被害が集中している」と指摘。さらに、震災や自然災害と違って被害が見た目ではわかりにくく「実は、お金がなくてご飯が食べられない人がたくさんいるんです」。また、子育て家庭は仕事に行けないリスクが高いとも。「現役子育て世代は悲惨な状況なのに、社会全般の支援ムードが非常に弱い。平時も子どもに冷たい社会が、コロナ禍でも持ち込まれ自助を求められますが、最優先で支援されるべきです」と訴えます。
お母さんの心を食料届け支える
コロナ関連の昨年末の給付金の使い道については「生活費(食費を含む)」が60%、入学金など半年以内に使用予定のための貯金が19%、「未払いの水道光熱費、通信費等」「未払いの学校関係費、教育費」がそれぞれ17%。「借金の返済」が13%です(グラフ3)。今年度、困窮した家庭の子ども1人あたり5万円が追加給付されましたが、長引くコロナの影響と物価高騰で、とても追いつかないのが実情です。
今回は、ファミリーサポート登録者のうち2375人から食料支援の希望がありました。今月18日から順次発送を予定し、クラウドファンディングを進めています。
「子どもにご飯を食べさせられないことほど、つらいことはありません。メンタルを病んで働けなくなった親もいます。まずは食料を届けることが、お母さんの心を支えます。皆さんのご支援をよろしくお願いいたします」
(※クラウドファンディングは、キッズドアのホームページから)KIDSDOOR | NPO法人キッズドアは「日本の子どもの貧困」に取り組んでいます!
コロナ禍食料支援を受けた人からのメッセージ
○1人で2人の息子を育てていくことになり、時に不安でつぶれそうになります。何度も多摩川に飛び込もうと思いました。周りに親や親せきもいないので、頼れる人がいません。(中略)顔も知らない私たち家族の食糧を送ってくれ、こんなあたたかなご支援に涙が出ました。コロナによって仕事も厳しく、不安しかありませんが、子どもたちだけは何とか守っていきます!!
白いご飯だ!!と喜んで
○息子たちに白いご飯が食べたいと言われつつ、麺やパンやお好み焼きと主食も安くすませるために、我慢させています。お米、子どもたちが白いご飯だ!!と喜んでいます。
おなかいっぱいうれしい
○今年はママいがい家族全員コロナになってしまったので、びんぼうなのに、お金がたくさん必要になってしまいました。ママが今、三つお仕事してるけどお金がまだ足りないみたいです。おなかいっぱいごはんがたべられて、とてもうれしいです。(子どもから)
こんなことも解決できない「政治」って、なんなんでしょう?自分の利権のためにはよう働きますね。
楽しいはずの夏休みです。給食が食べられなくなります。炎天下の元、どんな生活を送るのでしょう?
園のようす。
キフナツリソウ
ピンボケでした。