里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

古賀茂明-台湾有事を起こすのは平和主義を捨てた日本だ

2023年08月26日 | 社会・経済

 麻生氏「戦う覚悟」発言にみえる大きな勘違い 

政官財の罪と罰  古賀茂明

AERAdot 2023/08/22/

 8月になると、戦争に関する報道が増える。今年は特に中国の脅威や台湾有事についての議論をよく目にした。

 そこで、台湾有事についての私とある中国人有識者(A氏)との会話を紹介したい。

*  *  *

古賀:習近平氏は、遅くとも2027年までに台湾を統合したいというが本当か。

A氏:(笑いながら)あり得ないでしょ。なんで27年まで? どうして武力行使? そんなことしたら、台湾住民との関係は最悪になり、その後の統治が非常に難しくなる。台湾で戦争を起こせば、インフラや産業も壊滅する。そんな台湾を統合しても意味はない。中国にとって、最悪のシナリオですよ。

 27年武力統合説は、米軍関係者が流したとんでもないデマです。米政府もわかっている。

 ただ、日本の米国依存度を高めるのに有効で、しかも米国の武器も売れるから、そのまま放置しているのでしょう。

古賀:でも中国は武力行使も辞さずと言っている。矛盾では?

A氏:米国や日本が台湾の独立を支援して武力闘争が始まるような場合でも中国は静かに見守りますと言ったらどうなりますか。そういう場合には、武力行使するぞと脅しておかないと危ないでしょう。

 日米が台湾の独立に反対する従来の立場を堅持すれば、台湾単独で独立闘争を始めることはあり得ません。中国が武力行使することもあり得ません。

 むしろ、今は、日米が一緒になって、台湾独立をあおっていますが、これは非常に危険です。台湾の人に間違ったメッセージを送ることになるからです。

古賀:ではどのようにして統合するのですか。

A氏:中国は決して焦ってはいません。少なくとも、10年前までは、中国と台湾は友好的に経済関係を深め、その距離を縮めてきました。そのままでも何の問題もないくらいでした。

 中国としては、時間をかけて、経済のウィンウィンの関係を拡大すると同時に、文化交流、草の根交流を拡大します。両岸関係がさらに緊密なものとなり、統合した方が双方のためになると両者が認めたのちに統合するのです。

古賀:それは平和統合ではなくて、中国が台湾市民を洗脳する結果にすぎないと言う人もいますが。

A氏:台湾の人は、もともと独立したいなどとは思っていませんでした。むしろ日米の人々が独立しろ、とか中国は独裁で怖いから統合してはダメだとあおっています。洗脳しているのは日米です。

 台湾には中国本土から来た人も多く、親戚もたくさんいる。彼らは本当の中国をよく知っている。悪いところも全部。洗脳なんかできません。

 日本政府は、いたずらに中国は悪い国だという宣伝をすべきではありません。もちろん、中国にも悪いところはあるが、一部だけを強調するのはなんの得にもならない。

 まずは、中国人とよく話をし、中国に来て、見て、感じてほしい。中国は戦争など望んでいない。実績を見てほしい。欧米諸国と違い、決して戦争しない数少ない国の一つです。日本もその仲間です。

 日中は、仲良くするしかない宿命。それができなければ、どんなに不幸なことになるのか、考えてほしい。

*  *  *

 7月25日配信の本コラム「台湾有事を演出する米国に乗せられる無邪気な岸田首相 日本が米中戦争を誘発させる危険も」では、主に半導体制裁が米中対立を強め、それによって台湾有事を誘発するという話を書いたが、今回は、私たち日本人が戦争を誘発するのではないかという話をしたい。

 まずはA氏の話を聞いて誰でも気づくことから始めよう。

 最初に気づくのは、27年までに中国が台湾を武力統合するというのは全くのうそと言っても良いということだ。

 27年武力統合説は、米軍関係者が流した話で、当初は、米軍が言っているという留保がついていたが、今や何の留保もつけずに、27年までに戦争になるからどうすれば良いかという話があふれている。

 しかし、冷静に考えれば、台湾で戦争することは中国にとって最悪のシナリオで、中国政府もそれはよくわかっている。台湾有事は基本的には起きない話なのだ。

【7月25日配信コラム】
台湾有事を演出する米国に乗せられる無邪気な岸田首相 日本が米中戦争を誘発させる危険も

 次に気づくのは、米国が台湾有事をあおる目的である。米国は台湾有事を起こさないために台湾に軍事支援をし、日本と協力して台湾有事に備えるという。

 では、台湾が平和裏に統合されればそれで米国がハッピーかというとそうではない。

 実は、米国にとって、台湾の平和的統合は最悪のシナリオだ。なぜなら、平和統合なら一切文句が言えない。それによって、台湾の最先端半導体産業が中国傘下に入り、経済的にも軍事的にも米国が中国に負ける可能性がある。

 だから、米国としては、中国に責任を押し付ける形で台湾有事をあおり、それを口実に半導体制裁を正当化している。しかも、万一台湾有事が勃発しても良いように、台湾のTSMCや韓国のサムスン電子の最先端半導体工場を米国に造らせている。

 三つ目に気づくのは、日米は、台湾の人たちに誤ったメッセージを送っているということだ。

 日米がそろって、「独裁者習近平」と喧伝し、台湾人の恐怖感をあおる。その上で、米国製の最先端武器を売るから戦う準備をしろとけしかける。台湾独立をそそのかしているのと同じことだ。

 台湾では、独立派は全くの少数派だったが、日米に中国脅威論を唱えられ、台湾有事だとあおられれば、本気で独立を考える人も増えてくる。日米が台湾人を洗脳しているという見方にも一理ある。

 ここから先は、日本人が自分たちで気づくべきことを挙げていこう。

 まず、日本は台湾を守る義務など負っていないということだ。台湾の人たちが良き友人であることと彼らのために日本人が血を流すべきだという二つの話は全く別次元の問題だが、それが連続線上の話として扱われている。二つの話は決して混同してはならない。

 先日の麻生太郎・自民党副総裁の「戦う覚悟」発言は、その意味で全く間違ったメッセージを発していることになる。万死に値すると言って良い。

 ちなみに、台湾は尖閣諸島の領有権を主張している。独立後の台湾は中国同様、難しい隣人になるかもしれない。そんなことも無視して、台湾のために命を捨てよという自民党にはこの国を率いる資格などない。

 一方、台湾有事から逃げるべきだという議論をする勇気のある政党がほとんどないことも大問題だ。「台湾を見捨てるのか!」と炎上するのを恐れて、立憲民主党でさえこの議論を避けている。

 さらに、日本人が気づくべき、より本質的な問題が、日米安保条約の変質である。

 今年の初め、米国のシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)のシミュレーションが大きく取り上げられた。26年に中国軍が台湾への上陸作戦を実行するという想定で、主要なシナリオでは、日米が多大な犠牲を強いられるものの中国に勝利できるという結論だった。

 そのリポートの中で私が最も重要だと考えるのは、日本が在日米軍基地を米軍に使用させることが前提になっているということだ。それがなければ、戦争にならないという位置付けである。

 つまり、日本が基地を使わせないと言えば、米国は戦争を避けるしかなくなる。非常に簡単な戦争回避法があるのだ。

 だが、それはできないという人が圧倒的に多い。なぜなら、米国が怒るからだという。それは日米同盟を破壊することにつながり、日本の平和が守れなくなるから基地使用は認めるべきだという。しかし、この議論は本質的におかしい。

 日本国民の命を守るための日米同盟だったのに、「日米同盟を守るためには日本人が戦争で命を捨てなければならない」というとんでもないパラドックスに陥っているからだ。

 そして、最後に、私が指摘したいのは、「日本が平和主義を捨てつつある」ことだ。

 それは、安倍晋三政権以降の政府とマスコミの宣伝で日本人の多くが洗脳されてしまったということを意味する。

 実は、海外の人の方がこの事実に気づいている。

 この春着任した呉江浩・駐日中国大使は15年ぶりの在日本大使館勤務となるが、「日本には外敵がいるから防衛費を増やすのは当然だ」ということを「一般人が普通に」口にする姿を日本のテレビが流していて心底驚いたという話を聞いた。15年前には考えられなかったことだという。

 一方、日本経済新聞の1月15日付インタビュー記事によれば、前述の米国シンクタンクCSISの日本部長クリストファー・ジョンストン氏は、「2010年ごろは台湾有事のシナリオを話すのは不可能だった。いま日米はより率直に現実的に話し合えるようになり、……前向きな一歩だ」と語っている。

 中国の大使は、日本人の変化を戦争に向かう危険な予兆として捉え、米国の専門家は、逆に、戦争を受け入れるポジティブな変化だと捉えた。方向性は正反対だが、日本人が戦争容認に向けて驚くような変化を遂げたと見ていることがわかる。

 さらに、もう一つ、これは7月18日配信の本コラムでも少し触れたが、英国のBBCのニュースでは22年5月の段階で、すでに日本の安保政策の変化を取り上げて、「日本は静かに平和主義を放棄している」と報じていた。

 これが、海外から見た私たち「日本人の変化」である。

 今年の8月もまた、政治家は口々に「平和主義を守る誓い」のような言葉を並べ、テレビのキャスターも皆同じようなことを口にしていた。

 しかし、「何がなんでも戦争しない」という日本国憲法の誓いは生きているのだろうか。

 それとは本質的に異なる「いざとなったら戦争も辞さず」「正義のためなら戦争もやむを得ない」、そして「平和のための戦争」というようなまやかしを多くの政治家が平気で口にする今日。やはり、どう控えめに言っても、「日本の平和主義は空洞化した」と言うべきだ。

 この事実を認識することこそ、我々を正しい平和主義の道に引き戻すための第一歩なのではないか


「空洞化」のためにあれやこれやと画策している段階にあることは確かであろうが、岸田政権の支持率、自民党の支持率は風前の灯火である。
まだ「独裁体制」には至っていない。
「空洞化」したという前提に立つのはまだ早い。
「憲法」は「憲法」である。
まだ生きている。
今こそ「戦争反対」を叫ぼう!

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。