AERAwithKids 2021/12/24
玉居子泰子
多様性が進み想定外のことが起こる現代社会では、違いを排除せず、失敗してもやり直す力が必要だという
SNSの誹謗中傷やコロナ差別、不登校児童生徒数の増加……。知識や学力だけでは太刀打ちできない時代に大切な「四つの力」とは? 「AERA with Kids冬号」では、大阪市立大空小学校初代校長の木村泰子さんに、多様な仲間とともに過ごす小学生時代にこそ育まれる力についてうかがいました。
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「すべての子どもの学習権を保障する」を指針に2006年に開校した大阪市立大空小学校。初代校長を務めた木村泰子さんは、発達障害がある子や不登校だった子など、「困りごと」を抱えた子もクラスを分けずに、みんな一緒に学び合うことを大切にしてきたと言います。
「みんな同じがいい時代から、一人ひとり違うことが当たり前の時代になってきました。コロナもですが今後は“想定外”のことが起きる時代。数値で見える学力だけでは乗り越えられない。違いを認めていかに共生できるかが、未来を生き抜く鍵になります」
大空小学校では、木村さんが在籍中の9年間不登校児ゼロ。その理由を木村さんは「自分がされて嫌なことは人にしないという約束を徹底しただけ」と言います。
「困っている子を除外しない。大人が上から目線で正解を押し付けない。これを守れば、子どもは必ず、自分で考え、相手の立場に立って友達を大切にする子に育ちます。トラブルを起こしても、そこからどうやり直すか。柔軟性が鍛えられるんです」
■「わかった?」と聞けばシーン
木村さんは子ども一人ひとりを100%尊重するために、45年間の教職人生をかけて「あなたはどう思う? 考えを聞かせて」と問いかけ続けてきました。
「最初はわからないとだけ答えていた子も、大人が耳を傾けさえすれば、必ず自分の意見を表現してくれるようになります。算数の授業で1時間かけて1問を解いたこともありました。授業中も先生が『わかった?』と聞けばシーンとするけど、『わからないところはどこ?』と聞けば、一斉に教えてくれますよ(笑)。そこからまた考えればいいんです」
木村さんが子どもたちに大切にしてほしいと考える四つの力「人を大切にする力」「自分を表現する力」「『自分の考え』を持つ力」「チャレンジする力」は、どれも目には見えないもの。成績や点数にならない分、どう育んであげればいいか親は不安になるかもしれません。
「将来を生き抜く力は、失敗し、考え、行動して学んでいくもの。校長や親も間違うでしょう。そうしたら大人も“やり直し”をすればいい。大空小の子どもたちは『校長先生、アホやな、それちゃうで』と言ってくれました。私も、『先生が悪かった。やり直しさせて』と何度もやり直しましたよ」
■全国1位の県を上回ることも
大人が課題に向き合い、取り組む姿を見れば、子どもも自分で考え、チャレンジする力を育むと木村さん。勉強でも、わからないことを知りたいと思えばこそ、学ぶ喜びを自分で獲得していくと言います。
実際、大空小学校では、全国学力調査の結果が、全国1位の県を上回ることもあるとか。
「学力が高いことだけが大切ではない。わが子のことばかり心配してしまう親御さんには、ぜひ学校に関わって他の子もサポートしてと伝えています。多様な子どもから親が学ぶことはたくさんありますよ」
そばで見守る大人がどう行動していくのか。親である私たち一人ひとりにも大きな課題が手渡されたような気がします。
(ライター・玉居子泰子)
※「AERA with Kids2021年冬号」より。本誌ではさらに詳しく「四つの力」について解説している。
今日も雪です。少々吹雪気味。午前8時氷点下14℃。
北海道は大雪ですね!
去年よりも多いのでしょうか?
北陸や中国地方も今年は大雪です。
夏は暑さが厳しく、冬は寒さが厳しく
なっていくのでしょうか?
食い止めないと、生きていけなくなりますよね!