里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

古賀茂明 円安アリ地獄の日本

2022年04月06日 | 生活

政官財の罪と罰

AERAdot 2022/04/05 

 

 3月28日の欧州為替市場で、1ドル=125円台という6年7カ月ぶりの安値が記録された。その後もかなりの円安水準が続いている。

 政府や日銀は、円安は良いことだと言ってきた。円安で輸出企業やその関連企業が儲かる。それらの企業の設備投資が増えてその効果は国内に広がり、賃金も上がって消費も増えれば景気全体が良くなる。政府の税収も増えて財政再建にも貢献。バラ色のストーリーだ。

 しかし、今は円安で大変だという論調ばかり。なぜなのか?

 まず、原油価格の水準。6年前にはニューヨーク原油の相場が1バレル30ドルを切るほどの安値だったから、円安でも原油輸入代金増加はさほど気にならず、貿易収支も黒字だった。だが、現在、原油は100ドルを超え、円安で海外への支払いは大きく増える。一方で、輸出は、工場の海外移転などもあり、円安で大きくは増えず、差し引きでは、円安によって、日本から海外に支払う金額が増えて、貿易収支は赤字となり、国富が流出して行く。

 原油以外の資源価格や食料などの国際価格も高騰しているので、そこに円安が加われば、輸入代金の支払い額が増えるので、そのためにドルを買う実需が増えてさらに円安要因となるという悪循環も止まらない。

 輸入物価の上昇で国内物価も上昇。ガソリンから始まり電力・ガス料金に波及し、食料品などの値上げも日々実感する。

 物価上昇を超える賃上げがあればよいが、安倍政権以降、実質賃金は下がったまま。今年の春闘では「満額回答」が続出したが、これは大企業と豊かな正社員の話に過ぎない。庶民の方は、時給が多少上がるだろうがこれまでのマイナスを取り戻すようなことは起きない。その結果、物価上昇に耐えられない消費者の節約強化で景気は悪化する。

 円安政策を止められればよいのだが、実は、それがもうできなくなってしまった。円安を進める最大の要因が金利である。日本は低金利政策を続けるが、米国はじめ諸外国は、物価上昇防止のために金融引き締めに入った。金利の高いドルで運用した方が円で運用するより得だから、市場では円を売ってドルに換える動きが強まり、円安が進む。

 一方、日本で金利を上げれば、株価は下がり、住宅ローン金利上昇で破綻する人も続出する。低金利で生き延びる多数の企業も倒産。さらに、安倍政権下のバラマキで積み上がった1200兆円の政府債務は、ゼロ金利なら利息もほぼゼロだが、金利上昇で利息が膨大となり財政は立ち行かない。つまり、いかなる意味でも、日本は金利を上げられないのだ。一方、トヨタなどの輸出企業は、円安で何もしなくても儲かる。利益は増えて株価は上がり、経営者の報酬や社員の賃金も上がる。

 日本経済は、一部の輸出大企業とその株主や正社員がさらに潤い、それ以外の庶民の生活がどんどん苦しくなるという道から抜け出せなくなっているということだ。

 今国会が終われば、参議院選挙が待っている。その時、リベンジ消費や物価上昇対策発表などが囃し立てられるだろうが騙されてはいけない。

 誰がこんな国にしたのかよく考えて投票しなければ、円安アリ地獄から抜け出すのは不可能なことを肝に銘じるべきだ。

※週刊朝日  2022年4月15日号より


今日午前中は雪だった。積もりはしなかったがハウス予定地の雪はまだ残った。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。