1年で33万部減った朝日新聞、切り捨てる販売店主向け“転職指導”で家電FCへの加盟など斡旋――「危篤」寸前の新聞業界
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MyNewsJapan17:5809/18 2018 黒薮哲哉
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朝日新聞本社(東京・築地)で先月(2018年8月)、関西発で全国1千店弱の家電店をフランチャイズ展開するアトム電器が、朝日販売店主向けに加盟説明会を開催した。新聞の表向き刷り部数であるABC部数が凄まじい勢いで減るなか、業界全体で会社の垣根を越えた販売店の統廃合計画(1つの販売店で全紙を配達)を水面下で進めざるをえなくなり、多くの店主が廃業・業態転換を迫られているのだ。いわば、切り捨てられる販売店主向けに、朝日が転職活動を斡旋しているのである。「私のところにも案内状が来ました。大谷選手(MLBエンジェルス)と同様、“二刀流”はむつかしいです」(参加を見送った店主)。1年間の研修を受けられるとはいえ、新聞屋から“町の電器屋さん”への転換は容易ではない。だが、それも選択肢に入れねばならないほど、新聞業界の将来に光は見えない。既に、エアコン掃除などの事業を副業で始めた店主もいるという。新聞崩壊の内情をレポートした。
【Digest】
◇地方紙のABC部数の減部数幅は小さいが・・ ◇『押し紙』小屋が消え始めた ◇千葉県の毎日新聞販売店で「押し紙」率7割 ◇販売店が家電のフランチャイジーに? ◇新聞奨学生がかつての4分の1に ◇新聞社による不動産業 ◇新聞業界からの政治献金 ◇「押し紙」にかかかる消費税51億円 ◇山谷えり子会長らが新聞人と接触 ◇光が見えない新聞業の未来 新聞業界が焦りの色を鮮明にしはじめている。この1年で朝日、読売、毎日、日経、産経の中央紙5紙は、計約129万部を減らした。この部数は、地方紙として定評があり、約43万部を発行する京都新聞社3社分に相当する。地方紙の発行部数も下落しており、たった1年で、京都新聞社が4社ほど倒産した計算になる。こうした新聞業の衰退を示すかのように、今世紀の初頭に比べて新聞奨学生の数も、約4分の1にまで減少した。
新聞の表向きの部数は、急斜面を転落する様相を呈してきた。次の表は、2018年7月度のABC部数である。
かつては、「読売1000万部」、「朝日800万部」などと言われた。ところが、読売はまもなく800万部の大台から脱落する情勢で、朝日はすでに600万部を切っている。 上の表で着目すべき点は、前年同月比の著しい減部数である。
読売がこの1年間で約39万部を減らしたのを筆頭に、朝日も約33万部を減らした。毎日は約23万部の減部数。毎日の総部数が約270万部であることを考慮すると、減少の規模は読売や朝日よりも大きく、もはや「危篤」寸前だ。 日経に至っては、総部数の約240万部に対して年間の減部数が朝日なみの約30万部であるから、尋常ではない。しかも、2017年10月から11月にかけての日経のABC部数を調べてみると、信じがたいことにひと月で一気に約24万も減らしている。通常ではまずありえず、もともとABC部数を水増しして公表していた疑惑もあるのだ。 日経は、電子新聞については、今年6月に自らの紙面で、「有料会員数が60万人に達しました」(6月7日、電子)と報じ、その好調ぶりをアピールしている。しかし、これは第三者による調査結果ではない。昨年の12月には販売店主が東京大手町の日経本社のトイレで、抗議の焼身自殺をする事件を起こした。自殺した店主は、「押し紙」(注:後述)に苦しめられていたとも言われている。 中央の5紙は、合計すると年間で約129万部を減らした。この部数は、地方紙として定評のある京都新聞社(7月度のABC部数は約43万部)の3社分に相当する。「紙」新聞の時代は、終末期に入ったのだ。 ◇地方紙のABC部数の減部数幅は小さいが・・
ただ、このところ地方紙で「押し紙」のトラブルが増える傾向があり、ABC部数の下落幅が少ないのは、新聞購読者が減っても、新聞社が販売店へ搬入する部数をほとんど減らさない結果である可能性もある。これについては次の節で述べよう。 全日刊紙の7月度のABC部数は右表の通りである。 ◇『押し紙』小屋が消え始めた |
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黒薮さんに聞いてみた。(2011時点)
――「押し紙」とはなんですか。
押し紙とは、新聞の発行会社が、その新聞を配達する販売店に対して、必要部数を超えて押しつけているとされる新聞のことです。「押し」つけられた新聞「紙」ということで、販売店の人たちは「押し紙」と呼んでいますが、新聞社側はそういう言い方をしないで「残紙」と言ったりしています。
たとえば、読者が1000人いるとした場合、必要部数は1000部ということになるのですが、そんな場合に1500部の新聞を販売店に送りつけるということが行われています。この場合の過剰になっている500部の新聞が「押し紙」となります。
――なぜそのような「押し紙」が存在するのでしょうか。
新聞社にとっては、発行部数が多いと紙面広告の交渉が有利になるというメリットがあります。新聞の発行部数は、日本ABC協会が調査して発表していますが、そのベースになっているのは新聞社から販売店に送り込んだ新聞の部数ですので、「押し紙」の分だけ発行部数が多くなるというわけです。
――販売店にとってのメリットはあるのでしょうか。
販売店には、搬入部数に応じて補助金が出ます。また、販売店の折り込みチラシの広告料も搬入部数に応じて決まります。したがって、補助金と折り込みチラシの収入をあわせれば、販売店も損しない仕組みがあったのです。
――現在の状況はどうでしょうか。
最近は不景気の影響もあり、販売店に入る折り込みチラシの収入が減っています。そのため、いくら新聞社から補助金をもらっても、押し紙で生じる損害を相殺できないという問題が起きています。しかし、新聞社と販売店の力関係は、圧倒的に新聞社が強いので、販売店は断りたくても断れないという状況があります。
新聞の購読者数はどんどん減っているはずのに、ABC調査の発行部数はそんなに大きく減っていません。ということは、押し紙の比率が以前よりも大きくなっていると考えられます。新聞販売店に取材したところ、押し紙の比率が5割に達する販売店は珍しくなく、7割が押し紙という例もありました。
凄まじい減紙傾向です。
もう紙の新聞の時代ではないのかも・・・
わたしの住む町では、配達する人が辞めたくても人がいなくてやめさせてくれないそんな状況だそうです。
昔は小中高の学生が小遣い稼ぎにやったものですが、今は子供たちの姿はあまり見られないようです。
新聞の役割はもうなくなるのでしょうか?