里の家ファーム

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 若者はなぜ農業に走るのか

2016年08月06日 | 社会・経済

  東北地方で新たに農業を始める人が増えている

  Nezas 2016年3月8日

   東北農政局が行った、2014年度の新規就農者(起業や会社に就職する形で就農する人)についての調査で、東北6県で新たに農業を始めた人は1419人となり、2013年度に比べると111人、8%増加しました(東北農政局『東北管内の新規就農者の動向(平成21年〜26年度)』より)。これは、同局が調査を開始した1992年度以降で最多の数字となっています。

   東北地方では「青年就農給付金」という、就農前の研修期間(2年以内)及び経営が不安定な就農直後(5年以内)の所得を確保する制度があります。この制度が実施されていない2011年度以前と比べると、年々新規就農者数が増えているのです。年齢別では、44歳以下が1259人と全体の9割近くを占めており、19歳以下も107人となりました。

 うして若者は農業を目指すのでしょうか

   日経産業新聞(2014年9月12日付)によると、東京農業大学は新入生の4割強を女子が占めているといいます。また、明治大学農学部では女子の志願者が7年前から1500人以上増えたのに対し、男子学生の増加は1000人にも満たない状況です。

   こうした人気は、食べ物の安全性への意識が高まったことや、バイオ技術の進展で食料だけでなく環境や生命といった課題の解決も期待されるようになったことが考えられます。生活の基盤を築く学問だとの意識が浸透してきたことが理由ではないかとする識者もいます。

 地方自治体の動き

    受け入れ側である地方自治体は、各県で農業法人立ち上げの動きを活発化させています。「農家」とは農業を家業としている人々のことをいい、「農業法人」とは稲作のような土地利用型農業をはじめ、施設園芸、畜産など、農業を営む法人の総称のことをいいます。

    農業法人は、制度の面から二つの形態に分かれます。一つめは、会社の形態をとる「会社法人」です。営利を目的とする法人で、株式会社などが代表例としてあげられます。二つめは、組合の形態をとる「農事組合法人」です。農業経営等を法人化するため農業独特のものとして設けられたものであり、協同組織的なカラーが強いのです。

   農業法人が増えたことで、以前よりはるかに若者が農業に「就職」しやすくなっています。農業に就職することを「就農」といい、農業法人に就職する「雇用就農」と、自身が経営者となる「独立就農」があります。2014年度に農業法人などに雇用就農した人は東北6県の合計で591人と、前年度より96人増えました。内訳は農家出身者ではなく、会社員のような「就職」による就農が全体の42%を占めているのです。これは受け入れ側が法人化することで、福利厚生など労働環境を整備するケースが増えたことも大きく作用しているでしょう。

   また、各県とも雇用を増やすために努力をしています。福島県の場合、農業法人が求人を増やしていますし、研修などの助成事業や県の緊急雇用対策を活用しています。また同県は、人口減対策の一つとして新規就農を柱に据えており、農業関連の職業の紹介も無料で行っています。

 農業という新しい可能性に賭ける生き方もあり

   ITが全盛の世の中に若者が農業を始める理由は、食の安全に対する意識の高まりだけではありません。農林水産省が行った調査によると、都市住民は農村について「自然が多く安らぎが感じられる」「住宅・土地の価格が安い」「空気がきれい」といったイメージを持っていることがわかりました(農林水産省『農村に関する意識調査(2011年)』)。その他内閣府の調査によると、都市住民の3割が農山漁村地域へ定住してみたいと答えています(内閣府『農山漁村に関する世論調査(2014年)』)。特に、20歳代男性の関心が高く新たな生活スタイルを求めて都市と農村を行き来する「田園回帰」の動きや、60歳代以上の男性が定年退職後の定住志向があるようです。

   今、都会を思い切って離れて地方で農業を始めることは、大きな決断力を必要とするかもしれません。しかし、自治体などの受け入れ側の態勢も、かつてないほど充実しています。どのようなサポートがあるのかを知ることで、地方の意外な一面が見えてくるのではないでしょうか。


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